高速道路で見かける「カントリーサイン」。どんな意味やデザインがあるの?

高速道路を運転しているとき、自治体の境界に、これから入る自治体の特徴をイラストで表した標識があるのを見かけたことはありますか。今回はその標識「カントリーサイン」について、城西国際大学観光学部教授 佐滝剛弘さんに、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
※2023年4月24日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

カントリーサインとは

牧野:カントリーサインは、どんな目的があって設置されているのですか。

佐滝:本来、道路標識は、速度規制や天候など、走行に必要な情報だけを表示するものです。しかしそれだけでは、せっかくのドライブが単調になってしまいます。そのため自分の位置を確認してもらう意味も込めて、「次はこういう町ですよ」「こういう特徴がありますよ」とイラストで表したカントリーサインが設置されています。

牧野:なるほど。ドライブをより楽しんでもらおうという意味も含まれているんですね。ちなみに、いつ頃から設置されているんですか。

佐滝:日本に高速道路ができたのが1963年ですが、それから15年ほど経った1970年代後半からだといわれています。

牧野:カントリーサインが盛んに設置されている地域はありますか。

佐滝:高速道路には概ねありますが、国道や県道などにも設置されているんですよ。特に北海道はすべての自治体で、大きなイラスト入りのものが設置されているので、北海道をドライブする人にとってはカントリーサインは親しみ深いものだと思います。

牧野:私が北海道を自動車で走っていたとき、大自然なので町の境が分かりにくかったです。そこにカントリーサインが出てきて、温泉マークが描いてあると、「ここには温泉があるんだ」と気づきがありました。

佐滝:実は近年少しずつ変化しています。自治体の合併などで、自治体名が変わったり、境界が変わったりして、新たに作ったところもあります。群馬県では、デザインを一般の市民から募集するコンテストを実施していました。

牧野:ひとつの町にいろいろな産業があると、業界同士でケンカになりませんか。

佐滝:例えばですが、高速道路の上りと下りで、デザインを変えているところもあります。

県内でオススメのカントリーサイン

写真提供:佐滝剛弘さん


牧野:静岡県内で、佐滝さんがここは見てほしいというカントリーサインはありますか。

佐滝:大井川の川越しをデザインした島田市のカントリーサインは、とても可愛くて、さらに歴史もわかるのでオススメです。島田市を通るときは、そのカントリーサインを見ると、ほっこりしますね。

牧野:他はいかがですか。

写真提供:佐滝剛弘さん


佐滝:浜松市もオススメです。浜松市は、浜松城やウナギなど名所や名物がたくさんありますが、カントリーサインは「凧揚げ」だけなんです。面白いですよね。

牧野:確かに浜松市では、凧を揚げている姿をよく見かけますからね。静岡県外では、いかがですか。

織田信長の顔も?!

写真提供:佐滝剛弘さん


佐滝:織田信長は岐阜城を拠点としたことで知られているため、岐阜市のカントリーサインは信長の顔なんです。

牧野:(写真を見ながら)今、手元にありますが、カラフルですね。カラーリングに決まりはないんですね。

他にも変わったところがあれば教えてください。

写真提供:佐滝剛弘さん


佐滝:北海道北広島市も面白いです。クラーク博士がカントリーサインに描かれています。なぜかというと、「ボーイズ ビー アンビシャス」という有名な言葉は、帰国にあたり仲間が見送りに来て、別れる際に発せられた言葉です。その場所が今の北広島市だったからなんだそうです。

牧野:(写真を見ながら)九州も可愛いデザインが多いですね。

佐滝:鹿児島県霧島市は、鹿児島空港の近くということもあって飛行機が描かれていたり、名産のお茶や茶摘み娘が描かれていたり、とても可愛いです。

ご当地マンホールも話題に

牧野:マンホールを使って、自治体をPRしているところもありますよね。全国にはどんな例がありますか。

佐滝:以前は地味なデザインが多かったのですが、カラフルで地域の特徴をデザインしたものが出てきました。マンホールファンも多いです。漫画の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で有名な東京都葛飾区ですが、漫画が地域のシンボルになっています。そのため登場キャラクターの両津さんが、マンホールになっているところもあります。このように名産品ではなく、アニメやドラマとコラボしているところもでてきました。

牧野:ファンは、どのように楽しんでいるんですか。

佐滝:写真に撮っている人もいれば、配布されているマンホールカード(写真と解説の入った名刺サイズのカード)を集めている人も多いです。

牧野:これはどこに行ったらもらえるんですか。

佐滝:自治体ごとに違いますが、多くは市役所の上下水道課や観光案内所などで配っています。

牧野:面白い旅の形ですね。佐滝さん、ありがとうございました。
今回、お話をうかがったのは……佐滝剛弘さん
城西国際大学 観光学部 教授。1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部(人文地理)卒業後、NHKにディレクターとして入局。主に「NHKスペシャル」「クローズアップ現代」など報道系ドキュメンタリーの制作に携わる。2016年から高崎経済大学、京都光華女子大学の教授を経て2020年から現職。専門は「観光学」「メディア学」「世界遺産論」「交通論」など。『高速道路ファン手帳』(中公新書ラクレ)など、多数の著書がある。
 

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