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進む転出 雇用創出急務【迫る 藤枝市長選㊦】19日告示26日投開票

 昨夏に開かれた藤枝市の課題解決を図る新総合戦略策定に向けた懇話会。市の担当者が近隣市に人口が転出している現状を説明すると、市自治会連合会の増田勝利会長(79)は驚きを隠せなかった。「まさか、焼津などに人口が流れているとは思いもしなかった。原因をきちんと把握すべきだ」。初耳の情報を受け、分析と対策を強く求めた。

子育て支援施設を利用する親子連れ=藤枝市上薮田の葉梨わくわく広場
子育て支援施設を利用する親子連れ=藤枝市上薮田の葉梨わくわく広場

 2011年3月の東日本大震災後、沿岸部の津波被害を恐れて近隣市からの移住が加速し、市の人口は16年に14万6530人まで増加したが、以降は減少に転じて24年3月で14万365人。市によると、地価と家賃相場が安価な近隣市に向け、子育て世帯の流出が顕著という。
 藤枝市の移住相談件数は19~22年度でいずれも千件以上。移住者は22年度で109人と増加傾向にある。
 葉梨地区交流センター内の子育て支援施設を利用する同市の沢井珠紀さん(29)=埼玉県出身=は、結婚を機に静岡市から藤枝に移住した。育休後に藤枝市外の職場に復帰することを念頭に、「子どもたちだけで安心して遊べる場所がほしい」と願う。24年度から始まった子ども医療費の無償化などを挙げ、「子育てに関する情報が行き届いていない」とも話す。
 市は政策の柱の一つとして「子育てがしたくなる環境づくり」を進める。生活の利便性が高い藤枝駅前に18年、高齢者や子育て世代が暮らしやすい都市機能を集約した新たな居住中核サービス拠点を整備した。17階建ての住宅棟、医療施設、立体駐車場…。市によると、市外からの転入者が4割を占めている。
 ただ、駅前で洋品店を営む鈴木健夫社長(55)は子どもの頃に目にした商店街の活気とは異なり、「にぎわいは取り戻せていない」と指摘する。雇用の場の少なさも課題で、「起業や出店に挑戦したい若者、子育て世代に安価で貸すのも一策では」と提案しながら、働き場所の創出支援の必要性を強調する。
 (藤枝支局・青木功太が担当しました)

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