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日本初!駿河湾で採集された、深海生態系の頂点に君臨する魚の冷凍標本を公開

今回は、「静岡にゆかり深い“アレ”を日本で初公開!」ということで、東京・池袋にあるサンシャイン水族館飼育スタッフの上市光之さんに、これから始まるイベントの内容について、「鉄崎幹人のWASABI」パーソナリティの鉄崎幹人、SBSアナウンサーの堀葵衣がお話をうかがいました。
※11月22日にSBSラジオ「鉄崎幹人のWASABI」で放送したものを編集しています。

深海生物の魅力

鉄崎:まずは上市さんが働いている「サンシャイン水族館」(東京・池袋)について教えてください。

上市:1978年にサンシャイン国際水族館としてオープンし、2011年に全館リニューアル。ビルの屋上の地上40メートルにあり、日本初の「都市型水族館」だといわれています。

堀:サンシャイン水族館には、いろいろな生き物がいると思いますが、上市さんは主にどんな生き物の飼育を担当されていますか?

上市:主に、深海生物やサンゴ礁の水槽を担当しています。

鉄崎:まさに浅い所から深い所まで。元々深海生物に興味があったんですか?

上市:それがなかったんですよ。担当で飼育するようになって魅力に気づきました。

鉄崎:深海生物の魅力ってどんなところですか?

上市:愛らしいへんてこな見た目とは裏腹に、生き抜くための技を持っているところが一番の魅力です。ちょっと“ぶさかわ”っていうのも魅力の一つかもしれません。

鉄崎:わかるわかるわかる。水圧に耐えるために独特な形をしていたり、確かに興味深いですね。

静岡とゆかり深い“アレ”とは?


堀:今回のテーマが「静岡にゆかり深い“アレ”を日本で初公開!」なんですが、このことについて詳しく教えてください。

上市:今年9月に駿河湾焼津沖の水深2,200メートル付近で、「ヨコヅナイワシ」の採集に成功しました。この冷凍標本を2023年1月から始まる水族館のイベントで一般公開する予定です。ヨコヅナイワシの冷凍標本は、日本初公開となります。

鉄崎:あらためて上市さんからみてヨコヅナイワシはどんな生き物なのか教えてください。

上市:ヨコヅナイワシは、水深2,000メートルより深いところで生態系のトップに君臨し、トッププレデターと言われています。敵がいない、最強の魚なんです。

鉄崎:ヨコヅナイワシが見つかるまでは、きっと深海ザメなどが最強といわれていたんだよね?

上市:実は、1,000メートルより深くなると深海ザメはおらず、2,000メートルクラスだとムネダラやソコダラなどの魚のグループがトッププレデターと思われていました。

鉄崎:それを塗り替えたのがヨコヅナイワシなんですね。イワシと聞くと可愛らしいイワシを想像するけど、この魚はイワシでも何でもないんだよね。

上市:分類としては全く違うグループなんです。

堀:イワシを想像していました......。

鉄崎:しかも、上市さんはヨコヅナイワシを実際に採集する計画から冷凍標本にするまでずっと携わったんですよね?

上市:2023年の深海イベントの企画から担当しています。裏話なんですが、実は焼津の深海魚ハンター・長谷川久志さんの船に白い「ソコボウズ」を狙って乗船していたのですが、もっと大物を採集できちゃったんです。それが「ヨコヅナイワシ」でした。

鉄崎:その後、話はどのように進んでいったんですか?

上市:ヨコヅナイワシは展示するしかないだろうという話になりました。静岡県で液浸標本の展示はあるので、他ではやっておらず、よりリアルに見せられて迫力のある形にしようと思い、冷凍標本での展示となりました。

鉄崎:これは感動と驚きだよね。深海魚ハンターの長谷川さんですら驚いていたでしょう?

上市:長谷川さんは過去にヨコヅナイワシを見たことがあったそうですが、それでもすごく感激していました。

堀:上市さんは初めて実物を見たんですか?

上市:はい、写真でしか見たことがなくて今回初めて見ました。想像より大きくてびっくりしました。135センチあるんですよ。大人の女性の身長より少し小さいくらいと言えば大きさが伝わるかと思います。

鉄崎:これが深海生物の面白さだよね。今まで考えもしなかった見たこともなかったものが揚がってくる。だって、まだ駿河湾にいるかもしれないし、我々が知っている魚なんてほんの一部かもしれないですよね。

日本初!冷凍標本の一般公開に向けて


上市:2023年1月13日から「ゾクゾク深海生物2023」のイベントで、世界で7番目の採集例として展示しますので、ぜひ見に来てください。

鉄崎:冷凍標本としての展示は日本初ですから、ぜひチェックしたいですね。

堀:「ゾクゾク深海生物2023」では、他にも生き物の展示があるんですか?

上市:昨年も展示をしましたが、人気の「メンダコ」の採集にもチャレンジしたいと思っています。あと、水中ドローンを用いた駿河湾での深海調査を行っていますので、新たに捉えた生物の様子など、どこも公開していない最新映像を目玉としてお届けできたらと思っています。

鉄崎:深海の世界に足を踏み入れたら、もう浅瀬に戻れないんじゃないの? 

上市:そうなんですよね。ただ、深海生物って稚魚のときは浅瀬にいたりするのでそれも面白いですよ。

鉄崎:しかも、駿河湾に面した水族館じゃなくて、東京の池袋で展示というのがすごいよね!

上市:昔から駿河湾が一番よく調査に行くフィールドで、お世話になっている場所なんです。

鉄崎:まだまだ駿河湾は謎や魅力を秘めているので、また来てくださいね。そしてみなさんも展示を見に行ってください!ありがとうございました。

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