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「宇宙日本食」から主婦の気持ちを考えたレトルト食品まで製造する石田缶詰株式会社/焼津

カメラマンの望月やすこさんに、取材中に出合った身近にあるけど、「へ〜〜」な求人情報を紹介してもらう本企画。今回は、「石田缶詰株式会社」をご紹介いただきました。※価格はすべて税抜です。
※10月7日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

望月:今回は焼津市にある「石田缶詰株式会社」を紹介します。今回はわかりやすい社名ですよね? ところがこの石田缶詰、なんと、缶詰を作っていないんです(笑)!

原口:缶詰を作りながら他のものを作っているならわかりますけど、本当に缶詰を作ってないんですか!?

望月:もちろん昔は作ってたんです。それが、1998年に缶詰の製造をやめて、今は「レトルトパウチ」を作っています。昔は食品保存といえば缶詰だったけど、時代が変わってレトルトパウチが増えてきたので切り替えたという感じです。

今はレトルトパウチの食品を、なべつゆ・カレー・シチュー・おでんなど100種類以上作っています。OEMで作っているので販売者名に「石田缶詰」の名前は書いていないパターンが多いです。観光地のお土産カレーや日本平ホテルのオリジナルカレー、あとは名前が言えなくて本当に残念なんだけど、誰もが知ってる意識高い系の暮らしブランドの食品も石田缶詰で製造しているんです。

今回、なぜ石田缶詰を取材しようと思ったかというと、知り合いの、主に飲食店の販促コンサルタントをやっている増田郁理さんから「小6の娘・結桜(ゆら)ちゃんが『静岡食材で宇宙日本食をつくりたい』という夢を持っているんだけど、どこか夢を叶えてくれるような缶詰会社を紹介してもらないか?」と連絡が来たんです。

なので、以前このコーナー「こんな求人見つけてきました」で紹介した、焼津の「イシダテック」は食品製造機械の製作会社だから、どこか良い会社を知っているんじゃないかと思って伺ったんです。

そのイシダテックさんから出てきた社名が「石田缶詰」。なんと、石田缶詰はすでにJAXAが宇宙に持っていくレトルトパウチを製造している会社なんです。

原口:そうなんですね!すごい!

望月:焼津にそういう会社があったんです! そして、「それなら大丈夫だろう、宇宙食楽しそう!」と、気軽に石田缶詰さんを繋いだんですが、これが想像以上に大変なことだったんです。

「宇宙日本食」とは


望月:そもそも「宇宙日本食」というのは、JAXAによると「宇宙日本食は、食品メーカーなどが提案する食品をJAXAが定める宇宙日本食認証基準と照らし、基準を満足している場合に宇宙日本食として認証するものです。ISS(国際宇宙ステーション)に滞在する日本人宇宙飛行士に、日本食の味を楽しんでもらい、長期滞在の際の精神的なストレスを和らげ、ひいてはパフォーマンスの維持・向上につながることを目的として開発したものです。」

現在、宇宙での食事は3食はアメリカで用意されたものだけど、1食はボーナス食として日本食を食べているそう。要するに、宇宙飛行士だって長く宇宙に居たら日本食が恋しくなるでしょと。日本食を食べられれば宇宙でホッとして、いい仕事ができるよね、ということで認められた食事なんです。ここでいう「日本食」は「和食」という意味ではなく、日本の家庭で普段食べられているものという意味です。

この「宇宙日本食」に認証されるのがかなり大変なんです。 宇宙に持っていける日本食は、日本で現在28社50品目のみ。なぜこんなに少ないかというと、まず製造工場を、世界で通じる食品安全マネジメントシステムである国際規格ISO22000等の認証を取得できる環境にしないといけません。ISO9001というのは時々聞くことがあると思うけど、ISO22000を取得している会社はあまりないんです。

石田缶詰が最初に宇宙日本食を作ろう!と思った時、工場をこの規格に即したものに直そうと思ったらかなりお金がかかると言われ、やめちゃおうかと社長は思ったそうです。でも、社員の士気向上にもなるし、求人にも繋がるし、みんな楽しく働けるんじゃないかと、わずか社員40名の会社が思い切って勝負に出たんです。

それからが本当に大変で、JAXAの認証に3年かかったんです。3年間の間に多くの書類をやりとりして、その間も組織や工場レイアウトの変更などがあれば全部JAXAに報告。検査だけでも何項目もあり、多くの時間とお金がかかったんです。

原口:聞くだけで頭が痛いです...。乗り越えなければいけないハードルがいくつもあるんですね。

望月:使用するレトルトパウチにも制限があって、石田缶詰ではJAXAのものを使っています。パウチの裏側の3カ所にマジックテープを着けて、希少重力(無重力ではなくてちょっとだけ重力がある)の国際宇宙ステーションの中で、パウチを机や壁にちょっと置けるようになっているんです。すべてが地球上の商品と違う、宇宙規格で作らないといけないんです。

石田缶詰は、これだけの難関をクリアした末に、サガミホールディングスと相模女子大と連携してやっと2021年1月に「サガミ純鶏名古屋コーチン味噌煮」を作って認証を受けたんです。2022年10月に宇宙に旅立った若田宇宙飛行士が宇宙滞在中に食べる用に、現在この商品の注文が入ってるそうです。JAXAに納品した後にNASA経由で若田さんに運ばれるそうです。それと同じようなことを、小6の増田結桜ちゃんはやりたい!と言っているんです。

原口:純粋な夢だったんですが、それだけの難関を聞かされるとちょっと見え方が変わってきました(苦笑)。

望月:結桜ちゃんは静岡食材のみかんを使った「みかんゼリー」と、若田光一さんのふるさとの郷土料理「けんちん汁」を作りたいと頑張っています。

原口:夢を口にすることでもすごいですが、行動力もすごいですね!

発想がすごい!石田缶詰オリジナル商品


望月:石田缶詰に話を戻すと、オリジナル商品で、考え方がすごくて私がもっとびっくりしたものがあるんです! 原口さん、これ何に見えますか?

原口:レトルトカレーですよね?

望月:左上になんて書いてあります?

原口:あ!「カレールウは入っておりません」。

望月:そうなんです! レトルトカレーに見えるけど「レトルトカレーの具」のパウチなんです。これをお鍋に入れてカレールーと混ぜて煮込むと、約8分でカレーが完成します。なんでそんなよくわからない商品を作るのか。

原口:レトルトカレーだったら温めるだけですよね?

望月:そう思う原口さんは、主婦の気持ちをわかってない(笑)!石田缶詰は、商品を作る時に製造スタッフも含めた社員みんなでブレストするんです。そこで、「レトルトの袋を切って、ただ皿に入れて出すのはいかにも手抜きで、主婦が罪悪感を持つ」という話になったそう。じゃあ、「何をすると料理になるのか?」を考えたら、答えは「鍋を汚すかどうか」だったんです。カップ麺を家族に出すのは罪悪感があるけど、袋麺を鍋で茹でて出すと料理になるから罪悪感がないじゃないですか。「じゃあカレーを抜いて、具だけの商品をルーと混ぜて使うようにすれば罪悪感がない」ということで誕生したのがこの「ママカレーの具」なんです。

しかもこれ、具だけなのでルーを変えればクリームシチューにもポトフにもなります。

原口:それはすばらしい!カレーも辛口、甘口なども自由に変えられますね。

望月:そしてこの「ママカレーの具」がツイッターで広まって、今度は「キャンプカレーの具」も作ったんです。キャンプも、いきなりレトルトを出してもいまいち盛り上がらないけど、鍋で煮込むと料理をやった感じがしますよね。

原口:なるほど!

望月:石田缶詰は、常に斜めの角度で面白い商品を展開していますが、求人を募集しています。主な職種は、現場と品質管理。製造する人だってクリエイティビティーがないとつまらない!ということで、商品開発のブレストに参加したり、社長が一人ずつと面談して毎年1年間の契約書を作るそうです。

石田雅則社長


今回は社長の石田雅則さんに話を聞いたのですが、石田社長の次の夢は「月に行きたい」ということなんです。来年は創業70周年なので、月はまだ無理だけど社員旅行でみんなで沖縄に行きたいねと盛り上がってるそうですよ。

原口:ぜひ、問い合わせてみてください!
<DATA>
■石田缶詰株式会社
住所:静岡県焼津市大住1176 
TEL:054-624-6395
会社情報
今回、お話をうかがったのは……望月やすこさん
静岡県内を中心に個人の撮影や取材撮影をするフリーカメラマン。撮影歴は25年。「人を笑顔にする撮影」と「面白いネタ探し」を得意とする。著書「子連れのタダビバ」シリーズ(静岡新聞社)では執筆も担当。ラジオ・テレビの出演など様々なメディアで活躍。公式ホームページ「フォーシーズン 望月やすこ」、インスタグラム( @mochikoyasuko

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