工場内撮影禁止!? 実はあちこちで使われている「レキセイ」静岡瀝青工業株式会社/静岡

カメラマンの望月やすこさんが取材中に出合った、身近にあるけど「へ〜〜」な求人情報を紹介する企画「こんな求人見つけてきました」。今回は、静岡瀝青(れきせい)工業株式会社です。
※11月4日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

古代エジプト、縄文時代から使われていた「瀝青」とは?

望月:今回は静岡市にある「静岡瀝青工業株式会社」を紹介します。

原口:レキセイ?

望月:瀝青は、道路の舗装などに使われているアスファルトのことなんです。アスファルトはものすごく昔から利用され、旧約聖書に書かれたノアの箱舟の防水や、バベルの塔のレンガを固定する接着剤としてアスファルトが登場しています。

原口:そうなんですか!?

望月:一般社団法人日本アスファルト協会によると、古代エジプトのミイラに防腐剤として塗られています。日本では、縄文時代に接着剤としてアスファルトが使われていました。日本書紀には、668年の天智天皇即位式の際に「燃える土=アスファルト」が献上されたと書かれています。

そして1800年代半ば、ロックアスファルト運搬中の荷車から「かけら」がこぼれ、それを車輪で粉砕して踏み固められたものが、自然に良好な路面になっているのをスイスの技師が発見しました。これを応用したのが現在のアスファルトのはじまりです。

原口:接着に使われていたアスファルトが「道路でもいけるじゃん!」となったんですね。

望月:日本で最初のアスファルトを用いた舗装は、1870年代、東京の神田昌平橋で施工された橋面舗装です。

シズレキの建築用アスファルト

望月:静岡瀝青工業、略して「シズレキ」では、建築用のアスファルトを作っています。シズレキによると、アスファルトの95%は道路舗装用で、残りの5%が建築の防腐剤・防音材・防錆剤(サビ止め)用です。この5%を作っているのがシズレキです。全国で建築用アスファルトを作ってるのはわずか8社、静岡県内ではシズレキだけです。

シズレキは東京・名古屋・盛岡に営業所があり、焼津市に大井川工場があります。私はシズレキ大井川工場にお邪魔して製造工程を見せていただきました。そもそもアスファルトは、原油からガソリン・灯油・軽油・ナフサ(プラスチック原料)などを抜いて、最後に残ったものでできています。

原口:原油って、そんなに余すところなく使われているんですね。

望月:混ぜ方・練り方などさまざまな工夫をして、それぞれの会社ならではのアスファルトを作っています。狭い業界だから、製造工程がキモになります。だから製造工程は撮影禁止で、工場の入口しか撮れないんです。私は何やってるかちんぷんかんぷんだから見せてもらえたんですよ。わかる人が見たらわかっちゃう。

原口:なるほど(笑)。

望月:混ぜているものの内容はもちろん、温度や速さ、混ぜ方の違い、混ぜる機械は巨大な泡立て器型かスリコギ型か、そういうところを工夫されています。

アスファルトで防水

望月:シズレキで作った建築用アスファルトがどう使われているのかというと、ひとつは「防水」です。屋根下葺材として、シート状にしたアスファルトを敷いています。

望月:高速道路や橋にも使われています。道路用のアスファルトを施工する前に、このアスファルトの防水シートを敷くと、建築寿命が格段に伸びるそうです。

原口:アスファルトの下にアスファルトのシート、専門的なことはよくわからないけどすごいんですね!

サビ止めや防音にも

望月:ほかには「防錆」です。サビ止めですね。水や石油のタンクでアスファルトを使っています。意外だったのが「防音」です。シズレキさんからお借りした、アスファルトでできた多目的防音テープが貼ってある鉄板があります。原口さん、叩いてみてください。

原口:(叩いてみて)これ、すごい! 叩いても金属音がしないし、持っている手に響かない。振動がこないですね。

望月:ガムテープみたいなものをピーッとつけただけなのに、音がしないんですよ。これをシート状にしたものを床材の下に敷くと、2階の足音が1階に聞こえにくくなります。バレエスタジオの床や、重量挙げの選手がバーベルを置く場所にだけ使うこともあるそうです。振動を抑える効果もあるので、車のドアにも使われています。ドアを閉める音や振動を軽減するそうです。

原口:アスファルトの用途は多岐にわたるんですね。

望月:そんなシズレキでは、製造作業員の求人を募集しています。現在社員は68名、門外不出の製造工程を知っているのは、この68名のみ! この製造に携われるチャンスです!

原口:ぜひ、気になった方は問い合わせてみてください。

<DATA>
■静岡瀝青工業株式会社
住所:静岡県静岡市葵区紺屋町4-8 
TEL:054-273-2781
会社情報
今回、お話をうかがったのは……望月やすこさん
静岡県内を中心に個人の撮影や取材撮影をするフリーカメラマン。撮影歴は25年。「人を笑顔にする撮影」と「面白いネタ探し」を得意とする。著書「子連れのタダビバ」シリーズ(静岡新聞社)では執筆も担当。ラジオ・テレビの出演など様々なメディアで活躍。公式ホームページ「フォーシーズン 望月やすこ」、インスタグラム( @mochikoyasuko

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