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日本の水族館にいるラッコは3頭だけ!? 最近のラッコブームについて

ラッコの魅力は、かわいいだけじゃない!? 

今、ラッコがブームになっているのは知っていますか? 実は、2022年はラッコが初めて日本の水族館に来て40年という節目でもあるんです。ちなみに日本で最初にラッコが来たのは、伊豆・三津シーパラダイスだそうです。一方で、日本の水族館でラッコを見られなくなるかもしれないという危機なんです。今回は最近のラッコブームについて、ラッコが大好きでラッコを追いかけているというライターの小林優太さんに、SBSアナウンサー原口大輝がお話をうかがいました。
※6月24日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

鳥羽水族館 メイちゃん(小林優太さん提供)


原口:小林さんがラッコを追いかけ始めたきっかけはなんですか?

小林:12年ほど前に、和歌山県のアドベンチャーワールドで見たのがきっかけなんです。飼育員さんがエサやりしながらお話をいろいろしてくれる中で、「ラッコは食いしん坊で、きれい好きなんだよ」みたいな言葉がありました。要は、いっぱい食べるし食事中も体が汚れないように回っているというお話でした。そのご飯もいっぱい食べたいのに体も綺麗にしたい、というのがなんか面白いし、なぜなんだろうなって気になってしまったのです。

家に帰ってから本を買って自分で調べてみました。すると、たくさん食べるのも毛を綺麗にしておくのも、野生の環境で生きていくために必要なことだとわかりました。そういう生態も独特で面白く、さらに、人との関わりの歴史も興味深かったり、水族館では多彩な仕草を見せてくれたり、ずっと追いかけても飽きない面白い動物だと思っています。

原口:ラッコというとかわいいイメージがあるのですが、いろんな表情もやっぱり違うのですか?

小林:そうですね。本当にいろんな仕草を見せてくれます。かわいいイメージが強い動物ですが、野生の環境で生き抜くためにたくさん食べたり、一日中毛づくろいをしたり、オンリーワンのたくましさを感じて、かっこいいなとも思うんです。僕も人として、自分の強みをしっかりと持てるラッコのような生き方がしたいと思っています。

日本の水族館にいるラッコは何頭?

原口:ラッコは、昔は多くの水族館にいたイメージがあります。今も水族館に行けば普通にラッコは見られるものだと思っていたのですが、今の日本で見ることのできるラッコはどれくらいいるのですか?

小林:すごく身近な動物なのでそう思われる方が多いのかなと思うのですが、実は2022年6月現在、三重県の「鳥羽水族館」と福岡県の「マリンワールド海の中道」の2カ所で、3頭のラッコがいるだけなのです。

原口:3頭しかいないのですか!?

小林:そうなのですよ。パンダも結構話題に上がることが多いですが、それよりも数が少ないのです。

原口:身近に感じていたので、たくさんいるものだと勝手に思っていたのですが、3頭しかいないと......。何でここまで数が減ってしまったのですか?

小林:先ほどおっしゃっていたように、一番多い時には122頭のラッコが全国の水族園館にいました。2000年代に生まれた子もいますが、飼育個体数は徐々に減っています。出産も輸入も決して簡単ではないと聞いたことがあります。

原口:昔はたくさんいたのに現在3頭しかいないのは、ちょっと不思議です。このペースだと居なくなってしまうのではないかと懸念してしまうのですが...。今後、日本の水族館からラッコがいなくなる可能性はあるのでしょうか?

小林:ラッコの数が減っているという話題の中で、そのような話がされることもありますね。ただ、水族館の方々がどのように考え、動かれているのかは分かりません。絶対にないとは言えないのかもと思うと、寂しさも感じます。

原口:今いる3頭に、もしかしたら今しか会えないタイミングかもしれないっていうことなんですね。

小林:でも、今は「鳥羽水族館」と「マリンワールド海の中道」で会えるので、ぜひたくさんの方に足を運んでいただきたいと思っています。

水族館以外でラッコは見られる?

北海道にいる野生のラッコ(小林優太さん提供)


原口:水族館では見られますが、自然界でも見ることができるのでしょうか?

小林:最近話題に上がることもあるのですが、北海道の沿岸の方で野生のラッコの出産や育児をしている話があります。北海道のずっと東の方なんですが、僕も実際に足を運んで見ました。NPO法人で見守り活動をしている人がいて、もちろんそこに足を運べば絶対とは言えませんが、野生のラッコを見られることもありますね。

原口:野生のラッコはちょっと違うんですか? 

小林:生息地によって体のサイズが違うと聞いたことがあります。海外から水族館へやってきたラッコと比べると、北海道のラッコは体がひとまわり大きめだとか。

原口:なるほど。生息地や食べるものによっても体の大きさとかも変わってくるんですね。

小林:そういうことだと思います。

最近のラッコブームについて

原口:見られる数が少なくなっているということもあってか最近ラッコがブームになってます。このブームを小林さんはどう見ていますか?

小林:ブームだと言えるかは分かりませんが、SNSでラッコの写真をアップしている方がたくさんいらっしゃいますし、テレビで目にする機会も増えている気がします。個人的にはすごく嬉しいです。ラッコファンがいっぱいいるんだと感じることは多々あります。

原口:SNSは、珍しいものや愛らしいものなどはツイート数やリツイート数が上がる傾向があるので、みなさんの目に入る確率が非常に高くなっているのかなと思います。

小林:インスタグラムでも本当に毎日のようにあげている人がたくさんいます。

日本の水族館にいるラッコの見分け方

鳥羽水族館 メイちゃん(小林優太さん提供)


原口:先ほど日本の水族館で見られるラッコは3頭とおっしゃっていました。それぞれのラッコの見分け方はあるのですか。

小林:そうですね。今いる3頭ですと、僕は鼻とその周りの感じで見分けています。

原口:鼻とその周辺で見分けることができるということなのですね。

小林:鳥羽水族館でいうと、メイちゃんとキラちゃんという子がいます。メイちゃんは鼻に、キズらしきものがあるんです。それが目印かなと。キラちゃんは、真っ黒の鼻でちょっとヒゲが多めというか長めというかその辺りが特徴的です。

鳥羽水族館 キラちゃん(小林優太さん提供)


あと、マリンワールド海の中道のリロくんは、鼻の周りがちょっと茶色というかちょっと色が変わってる感じです。その辺りが一番見分けやすいのかなと思って、顔だけ見るときはそこに注目しています。

マリンワールド海の中道 リロくん(小林優太さん提供)


原口:鼻とその周辺という、私たちにわかりやすい形で表現してくださいました。小林さんは、ぱっと見れば見分けはつきますか?

小林:ぱっと見れば、大体わかるんじゃないかなと思います。

原口:体の大きさとかですか?

小林:雰囲気ですかね(笑)。

原口:写真を見比べてみるだけでも微妙に表情ですとか、キリッとしてるのか、ちょっと愛くるしい感じなのか、というのでも結構変わって見えますし。

小林:それぞれの個体が本当にいろいろな顔つきを見せてくれます。

原口:性格などもやはり違ってくるんですか? 行動のパターンとか、個体別にあるのかなとか思ったのですが?

小林:僕自身は、話したことも触れたこともないので分かりません(笑)。ただ、水族館の飼育員さんのブログや水族館での紹介を見ると、「穏やか」などと書かれていることがあるので、やっぱり違うんじゃないかなと思います。

水族館に直接見に行けない場合は?

原口:日本では2カ所にしかいないということで、なかなか見に行けないという方も多いと思うのですが、ラッコの様子を見られる方法ってあるんですか?

小林:各水族館がSNSなどで発信しているので、見ていただければと思います。あとは、飼育員さんがブログを書いていたり、水族館の定期刊行誌などでラッコの話を書いていたりすることがあります。様子を見るだけではなく、飼育員さんたちがどんな思いでラッコと触れ合っているのか、飼育に携わっているかも見るといいのかなと思います。あとは、先ほどの話にもあったように、いろいろな方がSNSにあげているので、「#ラッコ」などで検索すると山ほど出てくると思います。

原口:リスナーから「学生時代、三重県の鳥羽水族館でラッコを見ました。とってもかわいいし、仕草がおつまみを食べている親父という感じで(笑)、人っぽいところに親近感を覚えました。人気のゆえんでしょうか」とメッセージがきました。

小林:確かに、親近感が湧くかもしれないですね(笑)。

原口:おなかいっぱい食べて、さらにきれい好きなんですよね。確かにちょっと憧れの要素もありますし、さらにひとりで戦ってるという自然界としての野生の強さもあるんですよね。

小林:そうですね。本当にアイドル的存在なので、ある意味うらやましいところがあります。

原口:聞けば聞くほどラッコの魅力というのが伝わってきました!今回は、ありがとうございました。
今回お話をうかがったのは……小林優太さん
1986年、愛知県出身。フリーのコピーライター。広告業を営むかたわら、大学非常勤講師やまちづくり事業でのファシリテーターなどもつとめる。12年ほど前からラッコの魅力に心惹かれ、日本各地の水族園館へ足を運んできた。たくさんの人にラッコの魅力を伝える活動をライフワークにしたいと考えている。

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