環境、省力化に配慮した水圧駆動装置 日本アキュムレータが開発
油圧機器製造の日本アキュムレータ(静岡市清水区)は、水道水を動力とする機械駆動装置を開発した。モーターなど部品を丸洗いできるため、従来の油圧や電動式の装置と比べて衛生的に使える。静岡県に集積する食品加工業向けに提案し、維持管理作業の省力化や工場の環境負荷低減につなげる。
資源価格高騰やSDGs(国連の持続可能な開発目標)への対応として、安価でクリーンな駆動源を求める企業ニーズを踏まえた。潤滑油使用に伴うオイルミスト発生や漏電のリスクをなくし、労働環境の改善にも寄与する。
水圧式の新装置「NADSシリーズ」は出力200~750ワットの3種類のステンレス製モーターやポンプ、バルブなどで構成する。水は油に比べ潤滑性が劣るため、モーター内部に滑り特性が高い部品を採用して課題を解決した。電源が全くない環境や電源喪失時の使用も想定し、水道の蛇口と直結して駆動する30ワットの低出力モーターも用意した。
国内で先行流通する高出力の欧州メーカー製品に対抗し、出力と価格を抑え独自性を打ち出した。
1955年設立の同社は油圧蓄圧機の国内主力メーカー。新分野開拓に向け、今回の水圧装置は4年前から研究を進めた。県内外の食品機械メーカー4社が手がける生産ラインに装置を導入し、用途開発を続ける。担当の杉村健副社長は「油圧、空圧、電動に続く『第4の選択肢』として、今後は医薬品や精密機械向けにも提案したい」と展望する。
(経済部・高松勝)