「普段からモラハラぎみ 家政婦のような扱いを受けて」夫のコーヒー牛乳や薬用酒に不凍液を混ぜて…女は起訴内容認める=静岡地裁沼津支部

夫の飲み物に不凍液を混ぜて飲ませ、回復不能の末期慢性腎不全などの傷害を負わせた罪に問われている看護助手の女の裁判が始まりました。女は起訴内容を認め、その理由について「普段からモラハラぎみなことがあったり家政婦のような扱いを受けていた」と主張しました。

傷害の罪に問われているのは、静岡県裾野市茶畑に住む看護助手の女(44)です。起訴状などによりますと、女は2月、夫の飲み物にエチレングリコールを主成分とする不凍液を混ぜて飲ませ、回復不能で後遺症が残る末期慢性腎不全などの傷害を負わせた罪に問われています。不凍液は、冬の時期に凍結を防ぐために、エンジンの冷却水や暖房ヒーターの内部に使用する薬品です。

6月12日に開かれた初公判で、起訴内容について間違っているところはあるかと問われた女は「ないです」と認めました。

冒頭陳述で検察側は、女は2024年11月から2025年2月までの間、ホームセンターなどで夫に密かに飲ませる目的で自動車用品である不凍液を合計6本購入したと指摘。長距離トラックの運転手として働く夫が、福島県内の仕事先で、エチレングリコール中毒により、病院に救急搬送され、一時は心停止に陥りつつ一命を取り留めたものの、回復不能の末期慢性腎不全の後遺障害を伴う急性肝障害などの傷害を負ったとしました。夫の血液からは、エチレングリコールとその代謝物であるグリコール酸、グリオキシル酸が検出されたということです。

対する弁護側は、争わない姿勢を示したうえで、夫の上申書を読み上げ、「1日おきに透析をしなければいけない身体になってしまったが、これまで(妻に)してきてもらったことの方が大きく、恨むことはできない。むしろ私が気づかないうちに妻を追い込んでしまったのだと申し訳ない」と刑事処分を一切望んでいないことを主張しました。

続く被告人質問で女は、コーヒー牛乳や薬用酒に、不凍液を混ぜて飲ませたことを明らかにしました。

Q.どうして不凍液を飲ませた?
「普段からモラハラ気味なことがあったり、家政婦のような扱いを受けていて、ささやかに嫌がらせじゃないですけど、飲ませてしまいました」

不凍液を混ぜたコーヒー牛乳を一口飲んだ夫が「味が違う」とそれ以上飲まなかったため、残りのほとんどを自分で飲んだという女。特に体調に異変はなかったといいます。

Q.身体に有害なものだという認識を持ってなかった?
「持ってたら、多分、飲んでないと思います。」

Q.なぜ不凍液を?
「友達との話でそれ(不凍液)が出てきたので試しに買いました」

Q.考えがあって飲ませたわけではない?
「なんかちょっと軽い気持ちで、不凍液を混ぜてみようかなくらいの感じで飲ませてしまいました」

Q.飲ませたらどうなるか調べなかった?
「調べなかったです」

Q.どうなっちゃうか分からなかった?
「まさか腎臓が壊れちゃうとかそこまで考えてなくて、ちょっと調子が悪くなるくらいかと」

Q.一度たりとも殺意はない?
「ないです」

Q.生命保険や住宅ローンの支払いの免除を期待したことは一度もない?
「ないです」

女は今後、夫と元通りに、生活をやり直したいと話しました。

Q.今後、夫のためにしたいことは?
「できればなんですけど、私の肝臓を移植したいなと考えています」

検察側は「被告人は生涯にわたり人工透析を必要とする回復不能の末期慢性腎不全という重い後遺障害が残り、将来の生活や仕事への影響も計り知れず、結果は極めて重大」「犯行様態は危険かつ巧妙で、常習性も窺われ、悪質性が高い」などと指摘し、懲役4年を求刑。

弁護側は「結果が重大であるものの、夫はこれまで通り家族で暮らすことを求めている」「将来的には腎臓移植をする意思を示していて深く反省している」などとして、執行猶予付き判決が妥当であるとしました。

判決は6月30日に言い渡されます。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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