ポッドキャスト「ゲイと女の5点ラジオ」 パーソナリティインタビュー!二人が目指すゲイバーの空気感とは

インターネットラジオの一種であるポッドキャスト。「ゲイと女の5点ラジオ」は、しょうちゃんとヴァジャさんの二人がパーソナリティを務めるポッドキャスト番組です。「5点の私も愛していこう」というコンセプトのもと、二人の等身大の言葉が共感を呼んでいます。

10月からは、ニッポン放送のラジオ番組として「しょうちゃんとヴァジャのBAR GOTEN」(毎週土曜午後8~9時)が始まりました。初回のポッドキャスト配信版は、配信後1日でApple Podcastランキング総合1位を獲得。リスナーでもある筆者が、しょうちゃん、ヴァジャさんを迎え5点ラジオの魅力に迫ります。

ラジオ放送の様子(ニッポン放送「しょうちゃんとヴァジャのBAR GOTEN」公式Xより)

弱い自分をさらけ出せる場所に

ゲイと女の5点ラジオのターゲットは「ネオおばさん」。目を引くネーミングですが、母、妻、夫のような肩書のない人を指します。

ー番組の第一回のテーマが「ネオおばさん」でしたね。ターゲットを絞った理由は

ヴァジャさん:私自身がそうだからっていうのが大きいと思います。雑誌も映画もラジオも、私に向けて作られていないなって感じていました。でもそういう人って絶対他にもいるはずって、5点ラジオを始める前から予感があったんです。

あと、ポッドキャストって「意識高い」ってイメージがあって。私、You Tubeのいわゆる「クズ系動画」が好きで。自分のちょっと恥ずかしい暮らしをさらけだすような。自分の恥ずかしいところも出してくれる人に私は信頼を感じたんです。隠そうと思えば隠せるのに、隠さないっていう姿勢は、ポッドキャストではまだいないんじゃないかなと思ったんです。

ポッドキャスト番組「ゲイと女の5点ラジオ」サムネイル画像

ー自分をさらけ出すことについて深く聞いてもいいですか?

ヴァジャさん:ネオおばさんもそうですけど、属性がない人ってちょっと強く見せたかったり、寂しいって思われたくなかったりするんじゃないかと思うんです。「私、別に気にしてません」みたいに振る舞わなきゃって思ってる人もいると思うんですよね。「一人で」生きているかもしれないけれど、「一人を」選んで生きているわけではないっていう。 自分の弱いところも、ここでは見せてもいいかなみたいな場所にしたいなっていうのは最初に決めていて。


ただ、どういう流れで「ネオおばさん」って言葉が出てきたのか全然思い出せない。

しょうちゃん:そう。本当に思い出せなくて。多分自然に、今みたいな話をしていて出てきた言葉だったと思います。
 

ー多様性の時代に肩書を求める事自体が、あまり良くないんじゃないかなって思っていたんですけど、ネオおばさんという言葉を初めて聞いた時、ほっとしたんです。肩書がないってけっこう不安なんですよね。
 

しょうちゃん:それが所属した安心感みたいなことかもしれないですね。多様性原理主義者みたいな人はそういうカテゴライズすることもよくないとかあるとか思うんだけど。まあまあ、うちらは5点だから、そのぐらいでっていうところで。

5点フレンズ=ゲイバーの緩い繋がり

「5点フレンズ」というファンのコミュニティーも特徴的。SNSで番組の感想を呟いたり、イベントに参加したり、外部には表明しなくとも聴き続けたりとそれぞれの形で応援しています。

「しょうちゃんとヴァジャのBAR GOTEN」初回放送がApplePodcastで配信された直後には、総合1位を目指す二人の呼びかけに、5点フレンズが結束。自分のSNSなどで再生を呼びかけました。
 

ー5点フレンズのつながりはどう捉えていますか

 

ヴァジャさん:コミュニティ作りをしたいと最初から思っていたんですけど 、最初は「5点フレンズ」のハッシュタグをつけてX(当時Twitter)でDMから自己紹介しましょうぐらいだったので、なんかこう、思わぬ方向に広がるっていいことですよね。

しょうちゃん:でもコミュニティ的なものが強化されすぎることも良くはないなと思っていて。悪いとは言わないけど、それがあまりに強固なコミュニティになることは決して自分達は望んでいないんですよ。

ものすごい結束ができちゃうと、そこに入れない人や居心地が悪くなっちゃう人もいると思うんですよね。ヴァジャさんとはゲイバーの緩い結束くらいがちょうどいいよねって話してます。

ヴァジャさん:そう。「ゲイバーの緩い結束」が私にはちょうどよかった。大人になってからの友だちってそれくらいの距離感がちょうどいいのかなって。人によっては本当の友だちを探していたり、友だちがほしかったわけじゃないけど、たまたま気が合ってその後でかけるようになったり。

しょうちゃん:それってまさにゲイバーの空気感。お店で喋って、仲良いけど本名も連絡先も知らないこともある。ゲイバーでの出会いをきっかけに仲良くなって、一緒に旅行に行く時に初めて本名を知るとか、結構あるんですよ。最初から何もかもわかった上での友人関係ではなくて、なんとなく集っている所から、その先に発展したい人はすればいいし、全然しなくてもいいっていうくらいの緩いコミュニティーであってほしいなって思ってます。
 

ー地上波放送が始まってリスナーの層も広がるけれど、気軽に入ってきてねという感じですか?
 

しょうちゃん:入ってくるというより、うちらがここにいるから、近くにいたかったらいていいし、別に無理にいなくていいし、近くの人と仲良くしたければすればいいし…。

ヴァジャさん:ポケモンのゲームと一緒じゃない?(笑)

しょうちゃん:どうゆうこと?(笑)

ヴァジャさん:なんか、ここに行ったら何かもらえるみたいな…。

しょうちゃん:あ、ポケストップ(※ポケモンGO)みたいなね。

ヴァジャさん:そうそう。近くにいて集まるんだけど、そこで別に友だちになってもいいし、基本ならないっていう感じでもいいし。

自己啓発回は有料だけど聞く価値あり

お二人にとっての神回を聞きました。ヴァジャさんは過去、霊感商法にはまった体験を話した回(シーズン1 #85〜88)、しょうちゃんは自己啓発セミナーにはまったエピソード(有料配信、5点ラジオ派生番組「道端ドコカの迷い道」#23〜25)を挙げました。

ヴァジャさん:ポッドキャストで霊感商法のリアルな話を笑って話すっていうのは、多分ですけど、いままでなかったんじゃないかな。被害者ではあるけれど、私的にはけっこう面白い体験だと思っているので。こういうこともあるんだっていう風に伝えられたのが私的にはよかったかなって。

ー霊感商法の体験は、ずっと笑ってお話できたんですか

 

ヴァジャさん:本当に話せたのは多分ゲイバーが初めてですね。霊感商法にはまったことを友だちに話すのは恥ずかしかったし、引かれるんじゃないかと思って。だからこそ、コミュニティーが緩いところで話したかったんですよね。

私はゲイバーでネタの一つとして話したんですけど、他のお客さんが興味を持ってくれて。もっと聞かせてくれる?みたいな。私は笑ってもらったことで救われた感じもあって。 ーしょうちゃんの神回は

しょうちゃん:有料配信で自己啓発セミナーの話をしたあとに、道端さんと一緒に改めて話した自己啓発セミナーの回はぜひ聴いてほしいなって。

ヴァジャさん:1回目はこういうことがありましたっていう事実を伝えたまでだったけど、道端さんとの回はなんでそうなったかみたいなところまで深掘りしていたよね。

しょうちゃん:そう。有料配信なので申し訳ないですけど、ぜひ聞いてほしいなって。


後編につづく>>>5点の自分もさらけ出す!稼げてないけどこれがリアル!?/ポッドキャスト「ゲイと女の5点ラジオ」パーソナリティインタビュー


文:FUJIYAMA BRIDGE LAB 石岡美来

静岡新聞SBS有志による、”完全個人発信型コンテンツ”。既存の新聞・テレビ・ラジオでは報道しないネタから、偏愛する◯◯の話まで、ノンジャンルで取り上げます。読んでおくと、いつか何かの役に立つ……かも、しれません。お暇つぶしにどうぞ!

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