
同市場は今期から相対取引とは別に、入札箱に手書きの用紙を札入れする取引を導入した。場内に相対取引の成立を意味する手合わせの音が響く中、茶商が希望する取引価格を入札する新しい風景が加わった。品質に応じた価格での取引が増え、長年下げ基調が続く平均単価を反転させる一手として期待される。
県内産一番茶の取扱数量は528・5キロ。このうち6点計22・2キロが入札に出品された。1キロ当たり平均単価は1万986円で、最高値は相対取引が両河内茶業会(静岡市清水区)のやぶきたで88万円、入札が山平園(富士市)の有機手もみ茶で60万円だった。
今期の新茶の摘採は4月下旬から盛期入りし、八十八夜(5月1日)に向けて新茶商戦が本格化する。
入札販売の試行スタート 落札少なく、慣習との併存に課題
2026年から電子入札システムを導入予定の静岡茶市場で18日、入札販売の試行が始まった。生産者が決めた最低落札価格を大きく上回る取引があった一方、茶商の札入れは低調だった。これまでの商慣習との併存には課題が残る船出となった。
最高値60万円の茶を出品した平柳博利さん(70)は「苦労して作った茶を適正に評価してもらった。仲間にも出品を勧めたい」と話した。落札した竹沢製茶の竹沢重人社長(68)も「生産者と茶商が互いに利益を共有できる」と入札導入の意義に理解を示す。
ただこの日の出品数6点のうち、落札はわずか2点。静岡茶市場の内野泰秀社長(63)は「茶商の要望に応じる茶の集荷に汗をかき、必要とされ続ける茶市場を作っていく」と話す。