「日本一の茶どころ、再興を」静岡茶市場で新茶初取引 最高値はやぶきた1キロ88万円

新茶初取引で、両河内茶業会のやぶきたに最高値での商談が成立し、手合わせする関係者=18日午前、静岡市葵区の静岡茶市場 2025年新茶期の幕開けを告げる静岡茶市場(静岡市葵区)の新茶初取引が18日、行われた。初取引日としては初めて入札販売を取り入れる試みを実施。詰めかけた茶業関係者ら約500人が「日本一の茶どころ」再興に向けた決意を確かめ合った。
 同市場は今期から相対取引とは別に、入札箱に手書きの用紙を札入れする取引を導入した。場内に相対取引の成立を意味する手合わせの音が響く中、茶商が希望する取引価格を入札する新しい風景が加わった。品質に応じた価格での取引が増え、長年下げ基調が続く平均単価を反転させる一手として期待される。
 県内産一番茶の取扱数量は528・5キロ。このうち6点計22・2キロが入札に出品された。1キロ当たり平均単価は1万986円で、最高値は相対取引が両河内茶業会(静岡市清水区)のやぶきたで88万円、入札が山平園(富士市)の有機手もみ茶で60万円だった。
 今期の新茶の摘採は4月下旬から盛期入りし、八十八夜(5月1日)に向けて新茶商戦が本格化する。
入札販売の試行スタート 落札少なく、慣習との併存に課題
 2026年から電子入札システムを導入予定の静岡茶市場で18日、入札販売の試行が始まった。生産者が決めた最低落札価格を大きく上回る取引があった一方、茶商の札入れは低調だった。これまでの商慣習との併存には課題が残る船出となった。
 最高値60万円の茶を出品した平柳博利さん(70)は「苦労して作った茶を適正に評価してもらった。仲間にも出品を勧めたい」と話した。落札した竹沢製茶の竹沢重人社長(68)も「生産者と茶商が互いに利益を共有できる」と入札導入の意義に理解を示す。
 ただこの日の出品数6点のうち、落札はわずか2点。静岡茶市場の内野泰秀社長(63)は「茶商の要望に応じる茶の集荷に汗をかき、必要とされ続ける茶市場を作っていく」と話す。

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