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与野党 政党色どこまで 自民推薦決定構図固まる 2陣営 地元は抑制/共産 前面に【静岡県知事選】

 自民党本部は8日、静岡県知事選(9日告示、26日投開票)に立候補を表明している元副知事大村慎一氏(60)=無所属=の推薦を正式に決めた。前浜松市長鈴木康友氏(66)=同=への推薦を出している立憲民主党、国民民主党との対決構図が固まり、双方にとって終盤国会の攻防や次期衆院選をにらんだ負けられない戦いとなる。ただ、両陣営が「オール静岡」を掲げて政党色を抑えた戦略を打ち出す地元事情から、中央の関与の仕方が難しい選挙戦になるとの見方も広がる。

 「組織を動かして、しっかりとやっていく」。自民の小渕優子選対委員長は8日、推薦決定を受けて党本部での取材にこう答えた。
 県連から4月23日に大村氏推薦を上申されて以降、党本部内では賛否が交錯した。全敗した同28日の衆院3補欠選挙で派閥裏金事件などでの厳しい世論が浮き彫りとなり、推薦を出すこと自体が「マイナス」との声があった。リニア新幹線問題も絡み全国的な注目度の高い知事選を衆院3補選に続いて落とせば、岸田文雄首相の政権運営に打撃となる危機感も根強かった。
 最終的に情勢を分析した上で、地元意向を尊重した形となったが「推薦を出すか、出さないか、首相本人は相当悩んだようだ」と明かす党関係者は複数いる。ある党幹部は「推薦を見送っても『腰が引けた』という批判は避けられない。それならば、前を向いて戦った方がいいという判断に傾いたのでは」と推測する。
 対する立民は、衆院3補選全勝の勢いを知事選につなげたい考えだ。大串博志選対委員長は「地方の選挙とは言え、裏金事件をはじめとした自民の政治姿勢が問われる」と指摘。「応援の具体的な相談も始めている。要望に応じて弁士も投入したい」と意気込む。国民の榛葉賀津也幹事長(参院静岡選挙区)は「与野党ガチンコの知事選」と対決姿勢を鮮明にしている。
 一方で、地元では中央の“身内”の思惑を制するかのような発言が両陣営ともに相次ぐ。自民県連の城内実会長(衆院静岡7区)は「党本部推薦は非常にありがたい」としつつ「県連は(大村氏の)有力な支援グループの一つとして、後ろで支えていく」との立ち位置を変えていない。自民の県内国会議員の1人は「政党を選ぶのではなく、静岡県民が静岡県の将来を選択する選挙だ」と強調する。
 鈴木氏を推薦し、選対の中核を担う連合静岡の角山雅典会長は「混乱した県政の立て直しが急務。国政の対立を持ち込むべきではない」と懸念し、与野党対決を仕掛けることに前のめりな立民、国民両関係者にくぎを刺す。
 対照的に共産党は知事選で11年ぶりとなる公認候補として党県委員長の森大介氏(55)を擁立し、党が前面に出て臨む構え。田村智子委員長は8日の記者会見で「リニア建設の中止を静岡県政の場でも、国政の場でも主張してきた。この立場に立って戦える候補者が必要。国会議員も入って応援していく」と述べた。
 (東京支社・関本豪、武田愛一郎、中村綾子)

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