【男性の生きづらさ】ジェンダー平等は女性だけのものではない!? 「男らしさ」という固定観念に悩む男性も!
(山本)今日はジェンダーの問題について取り上げます。
静岡新聞では、読者の方から疑問や質問をSNSなどで寄せていただき、記者が取材をして調べて紙面で答える「NEXT特捜隊」というコーナーがあります。今回、ジェンダー平等への意識が高まり、女性の地位に対する関心が集まる中で、「男性も生きづらさを感じている」というご意見をいただいたので、Webアンケートを実施しました。
(鬼頭)そのご意見を紐解いていきたいと思います。まずその前に、3月8日が「国際女性デー」に当たるんですよね。
(山本)そうなんです。国連が定めていて、女性の地位向上や女性差別の払拭を目指す国際的な連帯と統一行動の日となっています。
静岡新聞ではこの日に合わせて、どのぐらい男女平等が進んでいるのかというものを研究者グループが数値化した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」に関する特集を組んだので、読んでいただければと思います。
(鬼頭)それで今日は「男性の生きづらさ」というタイトルですけども。
(山本)女性を中心にジェンダー不平等が社会課題になってきた中で、逆に男性にも生きづらさのようなものに気づいてきた、と指摘する識者もいます。Webアンケートでは、10代から80代まで70人近い方から回答をいただきました。
男子だって着替えを見られたくない!
男性にどんな生きづらさや悩み、ストレスがあるかを尋ねたところ、学生さんからは「学校に男子更衣室がない」という声をいただきました。女子生徒は更衣室で着替えるのに、男子は更衣室がない。その理由は「男子だから」というだけで、目に見える形で学校の設備が整っていないということでした。これはある意味平等ではないですよね。(鬼頭)確かに。
(山本)性別にかかわらず、誰にも見られない所で着替えたいですよね。
(鬼頭)その方が通っている学校には男子だけ更衣室がなかったでんしょうね。
(山本)今は男子の更衣室を備えた学校もあるとは思いますが、わたしたちが子供の頃はありませんでした。いまだに状況が変わってないということですね。
(鬼頭)自分も小学校時代ではありますが、体育の時間に女子も教室で着替えていたのを思い出しました。きっと今はまったく環境が違うんでしょうけど。
(山本)仕事をしている方からは「仕事をして家族を養わなければいけない男性は、そのプレッシャーがストレスでもある」という意見をいただきました。勤めている別の方は、「家庭では家事と育児を夫婦で分担することが当たり前になっているが、職場では男だからという理由で長時間労働が強いられている」とし、「もう限界」という切実な声を寄せました。
(鬼頭)2つの話を聞くと、もはや家族間でどうにかなる問題ではないですね。行政なりのサポートがもっと広がればいいなと思います。
(山本)そうですね。ここで問題なのは長時間労働というところです。そこが是正されれば、家庭で家事と育児の分担がきちんとできる、望ましい姿に近づくのではないかと思います。
(鬼頭)ご意見の中に書いてある上司に言われたという言葉がすごいですね。
(山本)この方は上司が女性だそうなんですが、奥さんが子供を見るべきだという感覚を持っているようです。育児のために休んだ際に嫌味を言われたという経験談を書かれたのかもしれません。
(鬼頭)「奥さん1人で育てられないの?」と上司に言われたそうですね。
(山本)世の中にはまだこういう空気があるのかなということを感じました。
男性が弱音を吐いてはだめなの?
(鬼頭)あと「男だからと、自分で決断しなければならない」というのもありますね。男だから、女だから、というのは昔からありますよね。(山本)考えてみれば、それは固定観念ですよね。私は40代後半ですが、当たり前のように受け止めてしまっていたからか、男だから、という生きづらさや悩みを実感することはあまりありませんでした。70代の男性からは「かなり前からそのことがプレッシャーになっていることに気づいた」ということでした。
別の60代の方も、何か悩みを口にすると「男が弱音を吐いている」と受け止められる、とアンケートに答えています。そのことをずっと我慢していたのかなと推察します。
(鬼頭)世の中の人が男性、女性、それ以外のものもある中で、難しい時代になってきていますよね。誰かにとっては当たり前だけど、誰かにとってはそれが必要でないことかもしれないし、考えつかないことかもしれないですね。
国際女性デーなどもあるので、改めて家庭内や学校などで改めて考え直すきっかけになればいいですよね。
(山本)大方は生きづらさをアンケートに書いてくださいましたが、「今の職場では男女によって仕事の配分が変わったりということは一切ないので生きづらさを感じてはいない」というご意見もありました。
(鬼頭)例えば、生きづらさを抱えている男性が相談できるような場所などはあるんでしょうか?
(山本)実は行政機関も、男性からの相談を専門に受け付ける「男性相談」を行っているところがあります。
(鬼頭)へぇー。
(山本)今回、何件ぐらい相談があるのかを聞いてみたところ、ある機関は年間100件ぐらいということでした。
(鬼頭)そんなにあるんですか。
(山本)ただ、おそらく女性相談はもっと多いと思います。
(鬼頭)自分が女性だからかもしれないですが、存在自体を知りませんでした。
(山本)アンケートで尋ねたところ、ほとんどの方は相談窓口があることを知らないと答え、周知不足が課題だと思います。
悩んだら行政の相談窓口へ
相談内容は多岐にわたるんですが、男性の相談員が何でも話を聞いてくれます。多くは電話で相談する仕組みになっています。今は静岡県、静岡市、浜松市、藤枝市が窓口を設けています。開設の時間や曜日が限定的なので、あまり知られていないのかもしれません。専門家の方は「もし悩みがあれば人に相談してもいいんだという意識が広まればいい」と話しています。
(鬼頭)女性は電車でも専用車両ができたりと、そちらのほうが重視されてきた時代の流れがありますが、実はその陰で男の人たちが悩んでいるということは女性も知るべきだと思いますね。「女性が」とか「男性が」ということがない社会になるといいですね。
(山本)専門家の方の話ですと、男性は悩みを一人で抱え込む傾向にあるそうです。「強くなければいけない」という思い込みがあったり、そもそも相談するという発想がなかったりするようです。
その結果として、はけ口が家族に向かって家庭内暴力などにつながる恐れがあるとのことです。相談することで、そういったことを避けられるかもしれません。何かあれば相談窓口を利用してほしいとのことでした。
(鬼頭)X(旧Twitter)上でも「結局、男の人も女の人もお互いさま。基本はお互いを尊重したいですね」というコメントが寄せられています。
(山本)その通りですね。
(鬼頭)人間同士ということで尊重し合えたらいいなと本当に思いますね。今日の勉強はこれでおしまい!
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