バレーボール・東レアローズ男子 セッター藤井直伸さん逝去から1年。命日、追悼試合で勝利届ける

東レアローズがプレーオフ出場権獲得に向け決意

(東レアローズ提供)


バレーボールVリーグ1部男子の東レアローズは3月9、10日に東京GBと、16、17日にVC長野と対戦します。レギュラーラウンドは残り4試合。上位6チームが進出できるプレーオフ出場権を懸けた大事な試合になります。

中でも10日は昨年、闘病の末、31歳で逝去したセッター藤井直伸さんの命日。16日の地元戦は追悼試合となることがチームから発表されました。

藤井さんとのコンビで超高速クイックを繰り出したミドルブロッカー李博選手と、藤井さんから主将を引き継いだ峯村雄大選手に、藤井さんへの思い、残り4試合への決意を聞きました。

李博「藤井のことは絶対に忘れることはない」

藤井さんの逝去から1年。李選手は「まだ100%受け入れられていないんですよね。藤井の話はすっと出てこない。少し時間をもらっていいですか。ゆっくり振り返ります」と、しばらく目を閉じて沈黙した後、静かに切り出しました。

「これから先も藤井のことは絶対に忘れることはないです。藤井のおかげで、いろんな景色を見せてもらった。自分が今、バレーをやる意義は『藤井の分まで頑張る』『藤井とともに頑張る』という思いが強い。彼の分までやり切る。彼も最後まで優勝を諦めなかったですから」

命日や追悼試合には、いつも以上に気合が入ります。プレーオフが懸かった試合。「気負いすぎないことも大事。いつ出てもいいように準備はできている。目の前の一つ一つのプレーに集中します」と冷静さも忘れていません。

峯村雄大を支えた藤井の言葉とは…

峯村主将も「心は熱く、頭は冷静に」と藤井さんがよく言っていたことを思い出します。自宅療養中の藤井さんを訪ねた際、「お前たちは強いんだから、チームでまとまって戦えよ。(試合映像を通じて見ているチームは)全然楽しそうに見えないぞ。もっと楽しくやれよ」と言われたそうです。

けがを機に出番が減った峯村選手は、主将として、プレーで引っ張ることができないことにもどかしさを感じてきました。「メンバーは『自分が何とかしなきゃ』と思う人が多くて、チームとしてバラバラになることがあった」。連敗が続き、雰囲気が悪くなった時期もあったそうです。その中でこの1年、意識してきたのが藤井さんの言葉でした。

1月末のミーティングで仲間に伝えました。「誰かのミスを責めるんじゃなくて、自分がカバーしてやろうってならないと。チームなんだから、みんなで支え合いながら、チームで戦おうよ」。気持ちがあふれて、涙がこぼれてしまったそうです。その言葉を受け止めたチームはその後、劣勢を挽回する試合展開が増えるなど一丸となっています。

9、10日の東京GB戦は敵地ですが、「自分たちは〝どアウエー〟でこそ燃えるし、反発心がある」と臆せず臨みます。
シズサカ シズサカ

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