バレーボールSVリーグ・東レアローズ静岡、MB西本圭吾がトップブロッカー&ベスト6受賞

身長189センチで2メートル超に対抗

ブロックに跳ぶ西本選手(右)

バレーボールSVリーグ発足元年のシーズンが閉幕し、東レアローズ静岡のミドルブロッカー西本圭吾選手が、トップブロッカーとベスト6を受賞した。

身長189センチとミドルブロッカーとしては小柄な西本選手が2メートル超の大型選手に対抗し、1セット当たりのブロック決定本数でリーグトップに輝いた。

世界最高峰のリーグを目指して昨年10月に開幕したSVリーグ初年度。海外のトップ選手が続々と参戦し、外国人選手2人が同時にコートに立てるようになった。確実にレベルアップしたリーグ戦で、ブロックのタイトルを獲得した。

バレー界の“常識”覆した

ブロックに跳ぶ西本選手(左)

「日本一を取って初めて気づけたことがあった」と切り出す西本選手。

「自分(の身長) が低いということを、必要以上に気にし過ぎていたんじゃないか。それによって自分の可能性を消していたんじゃないかと。低いことは変わらないし、やってきたブロックで結果が出ているのでそこは否定しない。でも低いからこうという前提を緩和していかないと 、『もう一越え』できないところに来ているんじゃないかと思った」

ブロック決定本数トップ5のうち3人が身長2メートル超。189センチでのブロック賞 獲得はバレー界の“常識”を覆したとも言えるのだが、そこにとどまるつもりはない。

44試合中42試合出場

西本選手の体格の不利を補っているのが瞬発力とフィジカルの強さだ。今季レ ギュラーシーズン44試合中42試合に出場し、欠場はわずか2試合。

過密スケジュールが問題視され、東レ静岡でもけが人が続出して苦しい戦いを強いられた。その中で西本選手はコンディションを保ち続けた。

ほえる西本選手

「体の強さやけがをしないタフさは強みの一つ。それによって練習量もたくさんこなせるし、数やれて気づけたこともあり、技術向上もあった」

気持ちの強さも人一倍だ。「痛くてもやれる。自分の感情に嘘をつくことはこれまでも習慣化してきた」と言ってのける 。

今季、東レの生え抜き選手の中で唯一、チームとプロ契約を結んだ。「プロ初年度。結果を出すために契約してもらっている。いい状態じゃなくても出続けることがプロとしての絶対条件だと思っていた」

「ブロックは得意と思っていなかった」

入団当初は「ブロックが得意だとは思っていなかった」と話す西本選手。「人に恵まれた 」と言うように、東レには一流のミドルブロッカーがそろっていた。

日本代表の高橋健太郎選手(2メートル2センチ、現ジェイテクトSTINGS愛知)や元代表の富松崇彰さん (191センチ、現チームスタッフ)、李博選手(195センチ)らタイプの異なるミド ル陣にもまれて成長した。

「最初は誰がいようが関係ない。絶対負けない、ぐらいの感じだった」と自信満々で挑んだ勝負だったが、なかなか出番は巡って来ない。「自分てこんな に能力ないんだ」と打ちのめされた。

「成長するために、いらないプライドは捨てよう」 と、いろいろな選手に話を聞くようになった。「健太郎さんは試合の映像をよく見る人だったので、そういう姿勢をまねして見ようと思った。どういうタイミングでどういうところを見ているのかを聞いたりした」という。

目指すはロサンゼルス五輪

さらに昨年度、初めて選出された日本代表での活動も「今季良くなった要因」と言う。B代表ではあったものの、国際大会を経験し、高さとパワーのある海外勢にどう対抗するかを学んだ。

データ的要素を重視するようになり、レシーバーと連動するトータルディフェ ンスへの意識も高まり「リベロと会話する回数が増えた」。今年はA代表が目標だ。

「A に行けば、経験できるバレーのレベルが変わってくる。(背が)小さかろうが関係ない。 そこじゃないなと。(そう考えないと)どこかで言い訳しちゃうんですよね」。まずは世界選手権のメンバーに残ること。その先にロサンゼルス五輪へのチャレンジが続く。

(編集局ニュースセンター・結城啓子)
【取材後記】 チーム随一の“元気印”としてメンバーを鼓舞してきた西本選手ですが、今季限りで東レ静岡を離れることが決まっています。ファンの皆さんに向けて「4年間本当にありがとう ございました。優勝という舞台まで皆さんと一緒に行くことはできなかったけれど、自分 のプレーが皆さんの人生の中で励みになったり何かのモチベーションになっていたらうれ しいですし、東レアローズで戦った意味があるなと思います。さらに進化した姿をお見せして、東レにとって一番の脅威になれるよう頑張っていきたい」と話していました。
シズサカ シズサカ

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