オールドでコンパクトなデジタルカメラ、家に眠っていませんか?
最近はスマートフォンで写真を撮るのが一般的ですが、若い世代の間で「オールドコンデジ」と呼ばれるカメラで撮影するのが流行しているそうです。今回は、オールドコンデジの魅力について、フォトグラファーの鈴木文彦さんに、SBSアナウンサー井手春希がお話をうかがいました。
井手春希アナウンサー=静岡市駿河区登呂のSBSラジオ スタジオα前(オールドコンデジで撮影)
井手:「オールドコンデジ」とは、どういうカメラのことですか?
鈴木:文字通り、ちょっと古くてコンパクトなデジタルカメラのことです。スマートフォンが登場する前はデジタルカメラで写真を撮るのが当たり前で、手軽に使える小さなデジタルカメラがたくさんありました。
井手:若い世代にオールドコンデジがウケているのはなぜでしょうか。
鈴木:「レトロ」がキーワードになっています。数年前までは、エモーショナルに撮れるカメラとしてフィルムカメラやレンズ付きフィルム「写ルンです」がブームとなりました。それがオールドコンデジに置き換わってきていると感じています。今の若い世代にとって、子どものころの写真はデジカメで撮ったものなので、身近なのかなと思います。
井手:オールドコンデジを使い始めるきっかけは何でしょうか?
鈴木:子どもの成長記録用に買ったコンデジが家から出てきて、「久しぶりに電源を入れたら動いた」という話を聞いています。
鮮明ではない、だがそれがいい
井手:オールドコンデジで撮った写真の仕上がりはいかがですか?鈴木:レトロで鮮明ではなく、記憶の中のイメージに近いような写真になるのかなと思います。今は解像度の高いカメラが多く、目で見ている以上に明るくキレイに写ると思うんです。一方、オールドコンデジは解像度が低くて不鮮明な部分がありますし、明るい部分が白飛びしたり、暗い部分はノイズがのっているような感じになったり、発色も鈍かったりします。
井手:私もオールドコンデジで写真を撮ってみました。あたたかみのある光の具合で、レトロ感がありますね。ドアップの写真はちょっとボヤけていて、ありがたい面もあるかもしれないです。
鈴木:現行のカメラのように解像度が高くないので、ふわっとぼわっと写って見えることがあります。でも、それが味となり、スマホ写真のように画像加工しなくても雰囲気が出るのがおもしろいですね。「加工疲れ」という言葉もある中で、撮ったまますぐ使えるのもオールドコンデジの良さかなと思います。
オールドコンデジ購入前のチェックポイント
井手:実際に「オールドコンデジを買って試してみたい」という時に注意点はありますか?鈴木:デジカメは電子回路を使っているので、基本的には壊れると修理できません。オールドコンデジは中古で買うと思うので、「キチンと撮影できる」というのが大前提となります。「電源が入ります」ではなく「撮影できます」と明記されているものを買いましょう。バッテリーが劣化していないか、充電器が付いているかもチェックするとよいですね。
今回お話をうかがったのは……鈴木文彦さん
フリーランスフォトグラファー、エディター。フィルムカメラ専門誌「snap!」創刊を機に趣味の写真に関するメディア制作に従事。全ページ執筆・撮影をモットーに「オールドデジカメ・ファン」「フィルムカメラ・ライフ」「レンズの時間」などを手掛ける。また、企業・自治体・取材などを中心に撮影業も行っている。
Instagram:@snap_magazine