みのりんの帰ってきた3丁目の昭和! 初詣にまつわる昭和レトロ
SBSテレビで2019年まで放送していた「イブアイしずおか」という番組内で、2012年から足かけ8年間『3丁目の昭和』という、静岡県内に残る昭和レトロをご紹介するコーナーを担当していました。このコーナーがきっかけで、仕事だけでなく私生活でも昭和レトロが趣味になりまして! プライベートでも仕事でも、日々撮影しているすてきな昭和レトロの写真をアップしていこうと、昨年3月にアナログの昭和女が重い腰をよっこいしょとあげて、ついにインスタグラムを開設しました。
静岡でも、特にここ数年、昭和から続いていたであろう風景が変わっていってしまってすごく寂しいと感じています。私のカメラに残っているすてきな風景を、ひとりでも多くのみなさんにお届けしたいという思いで、自撮りなどは一切載せない!いわゆる女子アナのキラキラインスタみたいなことはできないけれど、セピア色の世界をみなさんにお届けしようと、レトロな写真だけを集めたインスタです。すでにフォローしてくださっているみなさん、本当にありがとうございます!
今回はそのなかから、1月らしく初詣にまつわる昭和レトロをご紹介します。初詣というと三が日のイメージがありますが、昨今は新型コロナウイルスの影響で分散参拝が推奨されています。神社やお寺の方からも「節分までに行けば御利益はある」と聞いていますので、まだ十分間に合うはず! ぜひご参考にしてみてください!
昭和なおみくじマシーンは必見!浜松市方広寺
ひとつめは私の大好きなお寺、浜松市にある方広寺です。秋の紅葉の時期に行ったのですが、「そうだ 京都、行こう。」の必要がない! 県内でもすばらしい紅葉の写真が撮れたんです。2021年11月14日に私のインスタグラムにアップした写真を見ていただきたいのですが、真っ赤に燃えるような紅葉とお寺の一部をお借りしての撮影で、ものすごくいい写真が撮れました。
この方広寺、臨済宗方広寺派の大本山で、1371年に創建された立派なお寺です。本堂は明治38年から大正7年にかけて竣工されたもので、間口が32m、奥行き27mもある東海地方屈指の建物。山門を入るとたくさんのお地蔵さんがいて圧巻の景色が広がります。ここまで紹介すると、「昭和じゃないじゃん!」と思うかもしれませんが、あるんですよ、すごい昭和が!
貴重なおみくじマシーン
方広寺で、ぜひ初詣の際に見てもらいたのが、全国にも数台しかないといわれる貴重な昭和20年代のおみくじマシーン! 2013年の取材時に、「60年以上前から動いているおみくじマシーン」と聞いたので、70年前から稼働している、つまり昭和20年代から動いていることになるのですが、これが今も現役で動くんです!
このおみくじマシーンの何がすごいかというと、ただおみくじがコロンと出てくるだけではないんです。おみくじマシーンの箱の中には年季の入った巫女さんのお人形がいるんですが、その巫女さんが、100円を入れると背中を向けて歩いていってお社の中に入るんです。そこでおみくじを選んでくれて、10秒後くらいにまたお社の扉から巫女さん出てきて、その手からコロンとおみくじを渡してくれるシステムなんです。
これ、今では日本に数台しかないそうで、全国のイベントなどに頼まれ貸し出しているほど、貴重なものなんです。巫女さんの表情がまたなんともいえず……、70年間働いてきましたというようなちょっとお疲れの表情をみせています。
今回お寺から動画を送っていただいたんですが、70年経った今でもしっかりと滑らかに動いていました。たまにおみくじがコロンっとうまく入らず落ちちゃうときもあるんですが、それもご愛敬。それもアナログの良さですよね。ぜひ、方広寺に参拝されたときには、この昭和20年代のおみくじマシーンをご覧いただきたいと思います。私の2022年1月5日のインスタに動いている動画もアップしたのでご覧ください。
お寺で食べられる「精進うな重」
方広寺に行ったら食べてもらいたいものもあります、「精進うな重」です! お寺だからうなぎは出せず、「うなぎの蒲焼もどき」なんですがこれが絶品なんです。精進料理なので、れんこんや山芋、お豆腐を使って丁寧に作られていて、裏には皮を模した海苔がついています。タレを塗った精進うなぎというのは、見た目も本物そっくり! うなぎの食感を出すために、いろいろ練りこんですごくふっくら焼き上げています。粉山椒を振りかけて食べたら、うなぎの蒲焼そのものなんです。お値段は税込1500円(拝観料は別)。ものすごくおいしいので、ぜひ召し上がっていただきたいです。
お団子とドSなおみくじを!袋井市法多山
ふたつめは、有名な袋井市の法多山。法多山といえばやはりお団子と思う人も多いですよね。子どものころ、祖父や両親が法多山に行くと必ずお団子を買って帰ってきてくれたので、小学校低学年くらいまでは、法多山というお団子屋さんだと思ってました(笑)。
法多山のお団子
今このお団子は、1軒の大きな茶屋で団子を買ってお茶と一緒にいただくスタイルですが、昭和41年まではまったく違う風景だったんです。昭和41年に団子の組合ができるまでは、境内に小さな団子屋が15軒も立ち並んで、競うように団子を売っていたんだそうです。形はどこも今と同じあの形ですが、サービスや味がお店ごと違って、お気に入りの団子屋に立ち寄るのが楽しみだったということです。江戸時代から変わらない超ドSなおみくじ
法多山はおみくじについてもお伝えしたい! 法多山のおみくじって、超ドSなんですよ。おみくじ100本のうち、凶が30本も入っていて、「日本一厳しいおみくじ」ともいわれています。あの福山雅治さんが、以前エコパにライブに来た時にオープニングトークで『法多山で昨日おみくじをひいたんだけど「やべーのがでた」』と話し話題になったこともあるほど!
なぜそんなに厳しいのかというと、江戸時代に作られた日本初のみくじを、そのまま採用しているからなのだそう。この日本初のおみくじを作ったのは、延暦寺の高僧の元三大師といわれています。人の運勢や吉凶を漢詩で表現した元三大師みくじ、辛口に感じる内容も、江戸時代に書かれていたこととほぼ同じもの。みくじ100本のうち、大吉が17本、凶が30本という超ドSな割合も、元三大師みくじに忠実に何百年も受け継がれてきたものなんだそうです。
私はロケで2回おみくじを引いたんですけど、第39番の凶が出たんです。
そして左側にも! よろこびごとも待ち人もこない、なくなったものも出てこない、商売は損、生死十に八、九は死! 最後の道具というのは、今でいうラッキーアイテムのことですが、刃物、キズのある金物、鍋、かま!? 普段、持ってないよ……と思うんですけど(笑)。此のみくじにあふ人は運気甚だ悪しく望みごとあれ共叶ひ難く(中略)もし短気にまかせことをなさば火災又は盗なんにあふか身代保ちがたきほどの損失すべし (法多山観音籤)
なんとも恐ろしいおみくじ……。私の何がすごいかというと、2019年のロケのときに第39番の凶おみくじを引いたんですが。ディレクターが昔のVTRを調べたら、2016年のロケでも全く同じ第39番の凶をひいてるんです! 2回も第39番の凶をひくってどれだけの確率だよと、本当に怖くなりました。
でも江戸時代の日本は、常に死と隣り合わせだったので、ちょっとの風邪やケガから死に至るケースも珍しくない時代だったのか?そんな時代背景を想像しながらおみくじを読み解いていくと、今、幸せに平穏に暮らせる命があることのの尊さに気づくんじゃないかなと思います。
今回のお話は……小沼みのり
静岡市清水区出身。清水東高、早稲田大学卒業。局アナ時代16年間で静岡県の全市町を訪れ5000以上の店・人をリポートしてきた。2021年春 SBSを退社しフリーに。活動テーマは「しずおか愛」。静岡県を元気に!県民が地元をより好きになるお手伝いをしたいと、豊かな経験をフルに生かしてアナウンサー活動を続けている。
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