
スマホで家族写真を上手に撮るコツは、家族で「くっつく」
望月:まず、家族写真をどう見せたいかを考えると、「家族は仲がいい」というのを見せたいじゃないですか。実際はどうであれ仲良く見えるのが大事(笑)。そう思うと、家族写真の基本は「くっつく」ことなんです。
そもそも写真の特性として、普通に写ると人と人は離れて見えます。だから仲の良さを出すためには、よりくっつかないといけないんです。例えば、3人で写真を撮るとき、みんながフォークのようにまっすぐ並ぶじゃないですか。それはそれでかっこいいんですけど、仲が良さそうかといったらそうでもない。きっちりした家族だな、と。
牧野:整えられた感がどうしても出てしまいますよね。
望月:3人がピタッとくっついて、こめかみやほっぺをくっつけて、できれば体もくっつける。お子さんを真ん中にして、パパとママが両脇で、なんならパパはママの腰などに手を回してもらってぎゅっとくっつけたいんです。もし奥さんに嫌がられたら(笑)、それぞれがお子さんの肩に手をのせたり、手をつないだり、どこか一カ所は必ずくっついているといいです。
子供が生まれると「子供がらみ」の写真ばかりで、夫婦二人の写真を撮らなくなるじゃないですか。そこを旦那さんが「たまには二人で撮ろうよ」と言ってくれると、奥さんだって嬉しいわけです。なんなら子どもに撮ってもらえば、子どもも参加した気分になります。写真を家族円満のツールに使いましょうよ!
牧野:コミュニケーションのきっかけにすればいいんですね!
背景がボケる、ポートレートモード
左:背景がボケていない 右:背景がボケている
望月:あとは、スマホに「ポートレート」機能がついているなら、ぜひ使ってほしいです。意外と使っていない人が多くてもったいないです。機能としては背景がボケます。写真は後ろがボケていると上手く見えるんです。家の中で写真を撮るのに、家が汚いというときもボケるので使えますよ(笑)。
バーストモードで連続撮影を
よく「写真がブレて困る」と言う人がいますが、これは、子どもが動きすぎるとか、場所が暗いとかの理由もありますが、「自分がシャッターを押す力でスマホが動いてブレる」ことがあるんです。みなさんカメラのシャッターは丁寧に押すのに、スマホのシャッターはものすごく気軽に押しますよね。これを連続撮影にすると、ブレの影響を受けるのは最初の1枚目だけで、2枚目以降はブレにくくなります。
複数人で写真を撮るとき、誰かが目をつむってしまうことってありますよね。これ2人を撮ったらリスクが2倍。3人なら3倍……。集合写真のときに、いっぱい写真を撮るのはリスクを減らすためなんです。だから、それだけ連続撮影してくれれば、目をつむっている確率は減ります。
これは20数年の個人的な経験なんですけど、目が大きい人は、まばたきに時間がかかるせいなのか? 目つむり写真が多い気がします。目が大きな家族は特に気をつけて。ちなみに私は一重のせいか、全然目つむりがありません。
うっかり影に注意

左:うっかり影 右:一歩前へ
あとは、室内で撮るときは「壁にくっつかない」のも大事です。なぜかみんな写真を撮るっていうと、壁にくっつくんです。壁にくっつくと壁に「影」が写るんです。写真がヘタに見える要素のひとつがこの「うっかり影」! ファッション写真とか、わざとつける影はかっこいいけど「うっかり影」はめちゃくちゃダサいし、下手に見える要因なんです。
影を防ぐには、まさにこの番組(SBSラジオ IPPO)「一歩前へ」です! 壁から一歩前に離れるだけで、その影がストンと落ちて壁の影が消えるんです。それに、空間ができて抜け感が出るのもいいし。写真が上手く見えやすいんです。
牧野:今のテクニックは、オンライン会議でzoomなどを使用するときにも使えますか?
望月:それはありますね。日本は家が狭いからソファを壁にくっつけるんですけど、そこで家族写真を撮ると隙間がないので、写真が上手く見えにくい! 外国の映画などで素敵に見えるのは、ソファを真ん中に置いてあって抜け感があるからなんです。ソファを動かせないならリビングの椅子を真ん中に持ってきて、そこにみんなが集まって写真を撮る。それだけで抜け感が出て上手く見えます。
牧野:撮る人だけじゃなくて、空間の作り方から変えていった方がいいんですね。
当たり前の「日常」を写真に残して
望月:年末年始でせっかく家族が揃うなら、ぜひ「日常」も撮って欲しいんです。私は、子育て中、毎日あんなに授乳してたのに、1枚も授乳の写真がない! 子どもに「こんな思いをして育てた」と言いたいのに、全部が嘘に聞こえるんです。証拠写真がなかったことがすごく気になるので、例えば奥さんが料理する日常の姿もぜひ撮っておいてほしいです。
牧野:お父さんがいつも撮影係で、なかなか家族写真に写っていないことも悩みです。
望月:そもそも、家事育児、奥さんの負担が多いだろうから写真くらい〜とも思いつつ、お父さんも家族写真は欲しいですよね。「僕も子供と一緒に撮ってほしい」と頼んで撮ってもらって、それをインスタとかにアップして、必ず「妻が撮影してくれました」って書く!
そうすると、奥さんや周りの人が「いつも奥さんが写真を撮ってくれてる」「いい奥さんだな」と思うわけじゃないですか。それが「カゲ褒め」につながるわけです! これを繰り返すと、奥さんが自分から写真を撮ろうとしてくれると思いますよ。
牧野:奥さんが自然に、そんな気持ちになるようにできているかどうかですね!
写真撮影の大原則!とにかく褒めて
望月:最後に伝えたいのは、写真を撮るときはとにかく褒めてほしいんです! 牧野さん、奥さんを撮るときに「カワイイ!カワイイ!愛しているよ!」といって、普段いえない言葉をつっこんでください!
牧野:スマホの家族写真って、非常に奥が深いことがわかりました。家族のコミュニケーションツールとして、みなさん使ってください!
今回、お話をうかがったのは……望月やすこさん
静岡県内を中心に子どもの撮影や取材撮影をするフリーカメラマン。撮影歴は25年。著書「子連れのタダビバ」シリーズ(静岡新聞社)や、朝日新聞エムスタ「望月やすこの#撮りテク」連載などの執筆から、テレビ・ラジオの出演など様々なメディアで活躍。