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詐欺から身を守るには”まずは立ち止まること”!

春は入学や就職など、新たなスタートのシーズン。その時、特に気をつけたいのが詐欺です。今回は「春に増加する詐欺」について、詐欺・悪徳商法ジャーナリストの多田文明さんにSBSアナウンサーの原口大輝がお話をうかがいました。
※2023年3月30日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

若者こそ注意!新生活に潜む罠

原口:新生活が始まるこの時期は、やはり詐欺が増えるのでしょうか。

多田:「友達が少ない」「相談できる人が周りにいない」「環境に馴染めない」といった不安につけこんで、詐欺や悪徳商法が近づいてきます。

原口:入学や就職のために上京する人も多いと思います。若い方が特に気をつけたい詐欺や悪徳商法について教えてください。

多田:「友達が少ないので友達になりませんか」と、正体を隠して近づいてくる悪質なマルチ商法には気をつけてください。マルチ商法とは、例えば数十万円のお金を払って、販売組織に参加します。そこに参加した人が別の人を誘うと、バックマージンが入るシステムになっていますが、儲かるのはその組織の一番上の人たちだけです。「必ず儲かる」と言って近づいてきますが、それ以外の人はほとんど儲かりません。本来、マルチ商法というのは会社名や「マルチ商法であること」を告げないといけない仕組みになっています。しかし友達のフリをして食事に誘ってきたり、「良いアルバイト・副業がある」とあまりはっきり目的を告げずに誘ってきたりします。そして、最近はマッチングアプリを利用して近づき、勧誘してくるケースも多くあります。

原口:友達が少ないからこそ、友達関係を構築するところから入っていき、誘ってくるのが手口なんですね。ほかに気をつけたいことはありますか。

多田:カルト的な思想を持った団体が大学生や新社会人を誘う詐欺、インターネットから申し込みをするエステや脱毛トラブルも、男女問わず増えているので注意が必要です。

どんな事例かというと、「SNSの広告を見て無料の脱毛に行き、断りきれずに何十万円の契約をしてしまった」というケースや、もっとひどい事例になると「30年間通い放題と言われて契約したが、半年に一度しか予約が取れないうえに、次々とお店が閉店してしまうトラブルに遭ってしまった」というケースもありました。「今日なら安くする」などといった、聞こえのいい勧誘業者の言葉には気をつけてください。

原口:判断を早めに求め、裏も取れないうちに契約させようとするのが手口なんですね。

多田:一度立ち止まって、すぐには契約しないでほしいです。

特殊詐欺対策の新たなサービスも

原口:春に増える傾向のある特殊詐欺についても教えてください。

多田:特に若い世代は、SNSで「副業など稼げるものがないか」を調べている人が多いです。そんなとき、闇バイトの募集には本当に気をつけてください。「短時間で1日2〜3万円儲かる」なんてありません。受け子や強盗をさせられる場合もあります。「身分証明書を送れ」と言われて送ってしまうと、個人情報を把握されてしまいます。特に気をつけてほしいのが、大手求人サイトにも詐欺の募集が載っていたケースもありました。昨年そういった詐欺で30人以上が捕まっています。大手の求人サイトに載っている「荷物を運ぶ仕事」でも大丈夫とは限らないんです。

原口:そのほかにもありますか。

多田:メールやSMSで届く架空請求もあります。大手の通販サイトをかたって、「こういう注文がありましたが身に覚えがありますか」と偽サイトに誘導されてしまうケースがあります。そして昨年多かったのが、確定申告が終わった時期に国税庁をかたって、「税金の未納がある」とメールが届く詐欺もありました。応じてしまうとお金を払うことになってしまいます。

原口:こういったさまざまな甘い誘惑や詐欺にひっかからないようにするには、どう気をつけたらいいですか。

多田:一番大事なことは立ち止まること。すぐに契約しない、すぐにお金を払わないこと、誰かに相談することです。ただ人間関係を構築してから騙してくる詐欺もあるので、気をつけてください。

原口:対策といえば、NTT西日本とNTT東日本があるサービスを発表しましたよね。

多田:70代以上の高齢者を対象に「発信者の番号を表示するナンバー・ディスプレイ」や「犯罪被害理由にした電話番号変更工事費」などを無料にするサービスを5月からスタートします。70代以上でずっと番号を変えていない人は、詐欺名簿に載っている可能性が高いので、番号を変えることをおすすめします。

原口:4月は新生活が始まりワクワクするタイミングですが、詐欺には特に気をつけてください。
今回お話をうかがったのは……多田文明さん
悪質業者などへの潜入数は100ヶ所以上に及ぶ。数々の現場経験と被害者への聞き取り取材から、詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリストとして一線で活動している。2017年には消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員も務めた。近著「信じる者は、ダマされる。」(清談社Publico)

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