匿名だからバレない? SNSの投稿による身バレの危険性と対策

今回は、「SNS投稿からの身バレの危険性と対策」について、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター客員研究員で、情報リテラシーの専門家の小木曽健さんにSBSアナウンサー原口大輝がお話をうかがいました。
※2023年3月31日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

匿名投稿のSNSから身バレ

原口:SNSの投稿からの身バレは、どういった危険性がありますか。

小木曽:最近はSNSに投稿したり、YouTubeで動画を配信したりする人も多く、それを知らない人に見られる機会も多いです。人生では、恋人がストーカーになったり、対人トラブルで揉めたりするなどのピンチもやってきます。そんなとき、もし知識を持っていたら、少し対応の仕方が変わってくるはずです。具体的には、自宅や行動パターンがバレる、また公開するつもりのない情報がバレてしまうなどのことが様々なリスクにつながります。

原口:過去SNSから個人の特定につながり、それが事件になってしまったというケースはあるのですか。

小木曽:私が相談を受けたケースで「SNS上の友達に自宅がバレて、その友達が自宅まで来てしまった」というものがありました。半年間やり取りをしていたSNS上の友達から「星が綺麗だから電気を消してみてごらん」とメッセージが送られてきて、電気を消したら、その後に「いま、電気を消したでしょ」とメッセージが送られてきたことで、自宅を特定されたことがわかりました。さらに女子高校生同士のやり取りのはずが、自宅の下に来ていたのはサラリーマンだったんです。半年間のささいなやり取りから、パッチワークのように情報をつなげて、最終的に電気を消させて確認した、ということです。このときは、警察を呼んでもらいました。

原口:とても怖いですね。

SNS投稿の注意点

原口:どういった投稿が個人や場所の特定につながってしまうのですか。

小木曽:例えば、ジョギングや犬の散歩など、自宅の近所でしかやらない行動を写真付きで投稿するときは注意が必要です。自宅周囲の特徴的な建物、真っ黒な車のボディに反射した風景、最近できた新しいお店からも特定しやすいですね。マンホールからも地域を特定できます。写真に限らず、文字だけの「今日から工事なんだ」「今、急にゲリラ豪雨が降ってきた」「停電になった」という投稿でも地域を特定できます。

原口:普段、SNSに投稿する際はどういうことに気をつけたらいいですか。

小木曽:例えば自転車に乗る人が「今日はここをサイクリングしました」と、アプリのルートマップをSNSに投稿するケースが見受けられます。このスタート地点が自宅のパターンが多いので、自宅がバレてしまいます。「今日から旅行に行きます」という投稿も、「数日、自宅を空ける」と言っているようなものなので注意が必要です。

あとは、SNSの設定で、公開範囲を友達限定にしていたり、あるグループだけに公開投稿するようにしたりしていても、知らない間に設定が変わっていることもあります。時々自分の意図した公開範囲になっているのかを、友達に自分のページを見てもらって確認することも大事だと思います。

原口:公開範囲の設定などより、実際に特定されないような投稿を心掛けたほうが良さそうですね。

私も食事に行ったとき、そのお店を出た後にSNSを投稿するように心掛けるようにしています。過去に個人情報やエリアを特定できるような情報をSNSに投稿してしまった場合、今からでもその情報は消したほうがいいですか。

小木曽:基本的にはどんなものでも特定できてしまいます。自分がどれくらいのリスクを抱えているのかを、自分の基準で決めてください。例えば、自宅の鍵が写っている写真を投稿してしまった場合、鍵は製造番号で複製できることがあるので、その投稿は消したほうがいいです。あとは、値段の上がっている日本のスポーツカーも、すぐに盗まれ輸出されてしまう場合があります。泥棒の欲しがるものは基本的に注意が必要です。

先程、原口さんが言っていたように、時間と場所を工夫することは、誰でも今すぐできるSNSのコツかなと思います。「今、何をしているよ」ではなく「さっきあそこで何をしていたよ」のほうがいいと思います。

あとは、タレントやアナウンサーなど著名人のSNSの裏垢を知りたいという人もいます。自宅を特定した著名人の自宅玄関前に変わったもの(例えばカニ)を置き、それにびっくりした著名人がその写真を裏垢に投稿してしまうと、あとからその時間にカニについて投稿したものを検索して、「これは〇〇さんの裏垢だ」と特定する人もいるかもしれません。

原口:みなさんくれぐれもSNSの使い方には気をつけましょう。
今回お話をうかがったのは……小木曽健さん
講演や書籍、メディア出演などを通じて、炎上の「火消し」から、ネットで絶対に失敗しない方法、フェイクニュースの見破り方まで幅広く発信中。著書は「炎上しても大丈夫! 今日から使える企業のSNS危機管理マニュアル」(晶文社)ほか多数。全国の学校・企業・官公庁向けに40万人、2000回以上の講演実績あり。

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