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「誰が書いたか」より「何を書いたか」で広がるSNSの威力

みなさんはSNS上でほかの人と適切な距離間をとれてますか?今回は、「ネット上での他者との適切な距離感」について、国際大学グローバル・コミュニケーションセンター客員研究員の小木曽健さんに、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
※2023年6月5日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。
 

SNS上の姿が自分の本当の姿?!

牧野:SNS上だと顔が見えないので上手な距離間がとれず、トラブルに至るケースが多いですか。

小木曽:顔が見えないというよりも、SNSやインターネットはその人の本当の姿がバレやすい道具なんです。

牧野:その人の本質が出るということですね。

小木曽:実際に対面で会っているときは普通なのに、SNS上では攻撃的だったり、自慢が大好きだったり、「こんなことを言ってしまうんだ!」という人がいますよね?それがその人の本当の姿だったりするんです。

牧野:自分がそうなってないか不安です。

小木曽:自分がバレやすい道具なのでそれを意識して使わないと、距離感どころか人間関係に影響が出てしまいます。SNSに投稿しているときは自分が丸出しになっているにも関わらず、あまりそれを意識していないからトラブルが起きやすいのかなと思います。

牧野:よく耳にするトラブルの例には、どんなものがありますか。

小木曽:誰かが何気なくコメントしたものにすごい勢いで持論や反論を書いたり、いきなり自分の話に持っていってしまったり、本人は気づいていないが周囲はドン引きしているケースはよくあります。

あとは、「自分の情報」や「子どもの名前」、「通っている学校」、「住んでいる地域」を、それらを投稿しないように注意している人の投稿のコメント欄で、わざわざガンガン書いてしまう人もいますね。勝手に自分の基準で判断し、それをどんどん相手に押し付けてしまうのがトラブルの共通点ですね。

牧野:これは身に覚えのある人もいるかもしれませんね。

投稿の基準は”家の玄関に貼れる内容かどうか”

牧野:SNSの投稿って意図しないところで広がっていることがありますね。ツイッターだとフォローしていない人の投稿もおすすめ欄に出てきてしまいます。「その人に送るつもりがなかったのにトラブルになってしまった」ということもありますよね。

小木曽:そもそもSNSは赤の他人に見せるための道具なんです。フェイスブックみたいな知り合いで集まっているものもありますが、知らない人に見せる道具として、その本質をちゃんと理解して使った方がいいです。知り合い限定で投稿しても、それも無意味です。投稿内容に拡散していくパワーがあったら、見た人は誰かに伝えたいと思ってスクショを撮りますよね。それがあっという間に広がっていくんですよ。そのため誰かに見られたら困るものは一切ネットに載せてはいけません。

「私の投稿は今まで誰も見なかったから」と言う人もいますが、それはその人の過去の経験であって、注目される投稿をすればあっという間に拡散し炎上します。ネットは「誰が書いたか」ではなくて「何を書いたか」で、広がったり広がらなかったりする道具なんです。タレントよりも無名の一般人が炎上するケースの方が多いわけですから、物事を知らない人に見せる道具だとわかったほうがいいです。

牧野:私も自分の10年前のツイートを、いまだにリツイートとする人がいてビックリしています。「10年後にまた再拡大する情報だ」と時間差も考えた方がいいですね。

牧野:トラブルを起こしがちな人の特徴はありますか。

小木曽:ネットだけで失敗する人はいなくて、日常でトラブルを起こしやすい人は、ネットでも間違いなく同じことをしています。私は、初めて知り合った人のことを手っ取り早く知りたいときは、その人のSNSを見にいったりします。

牧野:なるほど。これから丁寧に「ですます調」でツイートするようにします。あらためてSNSと上手に付き合うためのポイントを教えてください。

小木曽:SNSは「本当の姿がバレやすい道具」だということを意識して使ってください。SNSの細かい設定や公開範囲などは、小さな要素でしかありません。大事なことは私がバレてしまう道具だと意識することです。

牧野:保護者の目線で、子どもがSNSのトラブルに巻き込まれるか不安な人もいると思います。その点はいかがでしょうか。

小木曽:巻き込まれるという言い方に若干違和感があって、実際相手のトラブルは本人が行なった投稿からスタートしているものが多いです。私が自信を持って言うのは、「あなたの家の玄関ドアに貼れるものはSNSに投稿しても絶対に大丈夫!貼れないものは絶対に投稿してはダメ!」と伝えています。静岡県内の学校でもこの話をしています。この玄関のドアの話が感覚的に理解できないうちは、まだスマホを渡してはいけないのかもしれません。それは我々、大人も一緒です。

牧野:子どもたちはスマホでSNS投稿する前に、練習をするのも良いかもしれませんね。

小木曽:ネットはただの道具です。使うかどうかも使い手である私たちが決めています。だから私たちのほうがネットより偉いんです。使いたい人が人生を豊かにする道具なので、失敗している暇はありません。「玄関ドアの基準」を念頭に、自分がバレてしまう自覚をもって楽しく使ってください。

牧野:今の時代はネットを使わない人はいないと思うので、みんなに当てはまる話だと思います。小木曽さんありがとうございました。
今回お話をうかがったのは……小木曽健さん
講演や書籍、メディア出演などを通じて、炎上の「火消し」から、ネットで絶対に失敗しない方法、フェイクニュースの見破り方まで幅広く発信中。著書は「炎上しても大丈夫! 今日から使える企業のSNS危機管理マニュアル」(晶文社)ほか多数。全国の学校・企業・官公庁向けに40万人、2000回以上の講演実績あり。

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