SNSやYouTubeも大人気!ジャニーズのデジタル戦略とは

ジャニーズのデジタル戦略

ジャニーさんが亡くなって2年半。ジャニーズ事務所が新体制になり、滝沢秀明さんが副社長になるのに前後して、SNSの解禁やYouTubeチャンネルの開設など今までのジャニーズでは考えられなかった動きが活発に行われています。このような「ジャニーズのデジタル戦略」はどんな狙いで、どんなことが行われているのでしょうか。詳しいことを、「ジャニーズは努力が9割」の著者、霜田明寛さんに、SBSアナウンサー牧野克彦がうかがいました。
※2月16日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

牧野:ジャニーズのデジタル戦略はいつから始まったのでしょうか?

霜田:ジャニーズというと、ネット上では顔にボカシがかかっていたりデジタル戦略が遅いイメージがあるかもしれません。あながち間違いではないのですが、実は2010年にすでにYouTubeのような動画サービスを自前でやっていたんです。なかなか知られていないのですが、その名を「滝CHANnel」といいます。YouTuberという言葉もなかった時代、有料会員サービスではあるものの、滝沢秀明さんがプロデュースしたジャニーズ Jr.の出演動画を見ることができました。

牧野:そのあたりから、タイミングをうかがっていたのかもしれませんね。

霜田:そうですね。先見の明はあったと思います。

牧野:広く知られているのは、2018年に、当時はまだジャニーズJr.だったSixTONESやSnow Manなどが出演するYouTube「ジャニーズJr.チャンネル」が開設されたことだと思うのですが、当時の反響はいかがでしたか? 

霜田:まず、ジャニーズの動く姿がネットにあがっていることが衝撃でした。YouTubeにミュージックビデオ(MV)があがるということだけでも珍しかったんです。さらにジャニーズJr.チャンネルは、開設半年で約30万人が登録していたというのもすごい! 現在は160万人まで増えています。

牧野:それはすごい! 当時すでにMVもあがっていたんですね。

霜田:なかでもインパクトがあったのは、デビュー前のSixTONESのMVです。滝沢秀明プロデュースによる初のオリジナルMV「JAPONICA STYLE」は、130万回も再生されました。その勢いもあって、SixTONESはショーン・メンデスやBTSが務めてきた「YouTube アーティストプロモ」キャンペーンにも抜擢され、「ジャニーズをデジタルに放つ新世代」というキャッチコピーがつけられました。

牧野:なるほど、世の中的にはタッキーが進めたみたいなイメージでしたけど、ジャニーさんの時代からもう始まってはいたんですね。

嵐のサブスク解禁の意図

牧野:そして2019年に活動休止前の嵐が楽曲をサブスク解禁、さらにTwitterやInstagram、TikTokも開設しましたが、この意図は何だったのでしょうか。

霜田:これは当時、その流れで全ジャニーズアーティストがサブスク解禁か!?とも言われていたのですが、そこまではいっていないのが現状です。今考えると、活動を休止する嵐からファンへのギフトや実験の意味合いもあったのかなと思いました。

ジャニーズタレントのSNSやYouTubeチャンネル

牧野:嵐というと、現在、二宮和也さんなどが出演するYouTube「ジャにのちゃんねる」が非常に人気を集めているんですよね。チャンネル登録者数300万人以上になっています。私も見たんですが、クオリティが非常に高くて驚きました。そこまで人気を集めている理由は何ですか?

霜田:そもそもこれまでジャニーズの中で、グループを越えてのトークってなかなか見られる機会がなかったんです。テレビ番組では、どうしてもテレビの企画ありきの、テレビ用のふるまいになる。ラジオは比較的近いかもしれませんが、デビューしているタレントがここまで素を晒す姿を見られる場というのは貴重! 事務所公式コンテンツなんですが、完璧に作られたものではなく、どことなく非公式な感じがあるというか、ゆるい雰囲気も魅力なんじゃないかと思います。

牧野:編集も自分たちでやっているんでしょうか? 

霜田:そうなんですよ。最初は中丸さんがやっていたんですが、二宮さんもコメントの文言を考えたり、自分で編集も学び始めたんです。

牧野:アイドルも何でもやる時代というか……、アイドルとしてもトップオブトップの有能な人たちが、アイドル業以外にもいろんなことに挑戦されているんだなと感じますよね。ほかにも、霜田さんが注目するジャニーズのSNSやYouTubeチャンネルはありますか?

霜田:生田斗真さんのインスタがすごいんです! まず写真が、(プロが撮影の)写真集かというくらいのクオリティなんです。ストーリーズもアラフォー男性だったら刺さるんじゃないかという選曲で、急に光戦隊マスクマンの曲を流して「誰か語り合おうぜ」と呼び掛けたり(笑)。男にも刺さる共感できる面白いインスタになっています。

「ジャニーズファミリーボイス」とは

牧野:チェックしてみます! そして最近、新たなコンテンツが発表されましたよね。「ジャニーズファミリーボイス」、これは一体何ですか?

霜田:クラブハウスのような感じで、選ばれたファンがタレントと話せるというサービスです。最初にTOKIOがファンクラブ会員を対象に行うと発表したところ、若いファンから「自分の好きなタレントが他の女の子と喋っているのを見たくない」というちょっとした反発の声もありました。

これから察するに、やっぱりジャニーズのファンは、「ジャニーズのタレントは雲の上の存在であってほしい」と思っていたんだなと。地上に降りてこないでという気持ちなんじゃないかなと! 逆にいうと、ジャニーズのこれまでのブランディングがうまくいっていたことの裏返しなのかもしれないですが、なかなか難しいなと思いました。

牧野:A.B.C-Zなんかは、ライブ会場にファンと歩いていくなどもあったりしたので、近づいていくのかなと思いきや、やっぱり雲の上の存在であって欲しいというファンの願いもまだまだ存在するってことですか......、難しい! これからジャニーズのデジタル化はどうなっていきますか?
 
霜田:ネットを使うこと自体がファンとの距離を縮めると思っていたのですが、縮まれば縮まるほどいいというものでもなくて、そこの距離感も大事にしないといけないと思ったのと同時に、サブスクを上手く使えば、ジャニーズ事務所は過去の遺産が膨大なので、解散したグループが再ブレイクするなんてこともあり得るかなと思います。

牧野:確かに、再発掘ということもあるかもしれませんね。ありがとうございました!
今回お話をうかがったのは……霜田明寛(しもだ・あきひろ)
1985年東京都生まれ。SMAPに憧れ、18歳でジャニーズJr.オーデションを受けた「元祖ジャニヲタ男子」。早稲田大学卒業後、WEBマガジン「チェリー」の編集長を務め、著名人のインタビューを行う。ジャニー喜多川の「育てる力」に迫った「ジャニーズは努力が9割」ほか著書も多数。

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