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「鳥インフル」の感染拡大で食生活にも多大な影響が

3月に入ってからもいろいろな商品の値上げが続き、物価の優等生と言われている卵の価格も高騰しています。原因のひとつとして、昨年10月から感染が相次ぐ鳥インフルエンザの影響で、国産の卵の供給が不足していることが挙げられています。今回は「鳥インフルエンザ」について、北海道大学大学院教授の迫田義博さんにSBSアナウンサー近江由佳がお話をうかがいました。
※2023年3月15日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

鳥インフルエンザウイルスは人には感染しない?

近江:鳥インフルエンザは、鳥の病気と捉えていいですか。

迫田:名前の通り、鳥に感染する感染症です。鳥の病気の中では急速に感染拡大し、感染したら死んでしまう「大横綱」です。一番恐れられており、死亡率が特に高いのがニワトリです。

近江:人間やほかの動物に感染することはないのですか。

迫田:基本的には、鳥から鳥への感染になります。同じインフルエンザウイルスでも型は違うものです。ただし、鳥から人への偶発的な感染は、1997年以降、世界中で800人近くあったことが報告されています。ただ、鳥から人への感染ということであって、人から人へのパンデミックを現在まで起こしてはいません。

近江:特に注意したほうがいい人はいますか。

迫田:鳥インフルエンザウイルスにたくさん暴露されると感染が偶発的に起こります。鳥を扱う養鶏場の職員、動物園の飼育員、個人でニワトリやチャボを飼っている人は、感染の恐れがあるため、予防の意識を持ってください。

流行時期

近江:人の季節性インフルエンザは冬に流行しやすいと言われていますが、鳥インフルエンザも流行の時期はありますか。

迫田:日本や韓国での流行は、基本的には渡り鳥がウイルスを運んできてしまうために発生します。鳥の渡りのシーズンは秋口から4〜5月くらいなので、やはり冬場が流行のピークになります。

近江:どうしてこんなに鳥インフルエンザが広がっているのですか。

迫田:過去に遡ると2010〜2011年や2016〜2017年の冬も、鳥インフルエンザの大きな流行がありましたが、何年かに一度のことでした。それが最近は状況が変わってきていて、3年連続でニュースになっている状況です。我々研究者や専門家が一番懸念しているのが、渡り鳥の間での流行拡散が、いろいろなところで起きている点です。鳥の渡りのルートはいくつもあるため、様々なルートを介してウイルスを日本に運んでしまっていることが、流行の原因だと考えられます。

対策と今後の展望

近江:そういった状況は防ぐことはできないのですか。

迫田:渡り鳥も我々を苦しめるために渡りをしているのではありません。越冬するために来ているだけで、本当は彼らには罪がないんです。我々ができることは、環境中でこれ以上の感染・汚染を広げないような対策を地道にすること。また農場での発生や封じ込めの徹底を世界レベルでやるということです。

近江:世界でも今、かなり高範囲で鳥インフルエンザは広まっているのですか。

迫田:アジア地域でいうと、韓国も日本と同じような状況です。ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカまで、ウイルスが渡り鳥を介して、リレーのバトンのように感染が繰り返され、世界中を駆け巡っています。世界中の養鶏に関わる人を悩ませています。

近江:私たちが注意できることはありますか。

迫田:コロナウイルスと同様に、鳥インフルエンザウイルスもアルコール消毒ですぐに殺滅します。特に鳥インフルエンザに関しては、獣医師、および自治体の関係の方々が、この冬もしっかりと対応をされていると思います。まずは情報がしっかりと伝達され、正しい理解をしてもらうことが、一番大切だと考えています。そのうえで市場に出ている、卵や鶏肉は安全なので、少し高いかもしれませんが、これまで通り食べてほしいです。

今回、お話をうかがったのは……迫田義博さん
北海道大学 大学院獣医学研究院微生物学教室 教授。国際獣疫事務局の指定する鳥インフルエンザの診断拠点長を兼任。鳥インフルエンザや豚熱など、動物の重要なウイルス感染症の診断、予防、治療に関する研究を専門。研究室ホームページ

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