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冬も脱水症に注意!水分補給、足りてますか?

今回は、「冬も脱水症に気をつけよう!」というテーマで、教えて!「かくれ脱水」委員会から、医師の富和清訓(とみわ・きよのり)さんに、SBSアナウンサー近江由佳がお話をうかがいました。
※1月18日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

1日に2.5リットルの水分が体外へ

近江脱水症というと、暑い日が続く夏のイメージがあります。冬も気をつける必要があるんですか?

富和:そうなんです。実は冬も脱水症に気をつけなければいけない時期です。暖房の強いところにいると、湿度が低くなって、皮膚がカサカサして「乾燥してるなあ」と感じることはありませんか?

近江:あります。

富和:普段、我々の身体からは、1日に2.5リットルの水分が出ていきます。そのうち35%、900ミリリットルぐらいは、汗と感じずに皮膚から蒸発したり、吐息などで出たりして、身体から水分が失われていきます。特に乾燥したところでは、水分がより多く出ていくという報告があります。

近江:へえー。

富和:冬は汗をかきにくいと思われがちです。近江さんは秋田の生まれじゃないですか。雪かきの後、汗すごくなかったですか。

近江:たしかに、スポーツした時と同じぐらい汗かきましたよ。

富和:雪かきは朝からやることが多いので、水分補給していない状況で、朝ごはんの前に雪かきをしたら、脱水症に近づいてしまうと思います。たしか静岡市でも、井川にはスキー場があると聞きますので、雪かきが必要ですよね。

水分補給は常温? 一度凍らせたスポドリには注意

近江:番組をお聞きの方からメールをいただきました。水分補給は冷たいもの・常温・温かいもの、どれが適当なのでしょうか。

富和:温度はこだわらなくていいと思います。ただ急に冷たいものを飲んで胃が痙攣してしまうのには注意が必要です。それから、スポーツドリンクを冷凍した場合ですね、氷の部分と水の部分で味が違うって経験あると思うんですよ。

スポーツドリンクなどのミネラルが入った飲み物を冷凍した後は、必ず完全に溶かしてから飲んでほしいです。成分が偏ってしまいます。

近江:ツイッターからも質問が届きました。「冬の脱水症、朝ふくらはぎがピキーンとつった時は水分不足なのかな?」

富和:おっしゃっている内容は、こむら返りに近いと思います。筋肉を動かす時にミネラル分を使っているんですね。ミネラル分が不足してしまった時に、筋肉が硬直したり、痙攣したりする症状があります。筋肉の痙攣とかこむら返りは脱水症から出てくる症状だと思いますので、注意してほしいですね。

冬の「隠れ脱水」 高齢者、二日酔いの方は注意

近江:夏の脱水症と、冬の脱水症の違いはどんなところにありますか?

富和:先ほどお話ししましたように、特に冬は乾燥していて、知らず知らずのうちに身体から水分が抜けていってしまうというのはあります。また、インフルエンザとか新型コロナウイルス感染症など何らかの病気の時に、発熱によって脱水が進んでしまうのが心配ですね。

近江:冬の「かくれ脱水」になりやすいのはどんな人ですか。

富和:ご高齢の方が、知らず知らずのうちになってしまうんじゃないかなと思います。ご高齢の方で、若い時より筋肉が少なくなっている方は、特に心配です。実は筋肉がキーなんですよ。筋肉は水分の貯蔵庫になっています。筋肉が少なくなってしまうと、脱水に対応できる予備能力が小さくなって、あっという間に脱水症が進んでしまいます。

最近は、新型コロナウイルス感染症で飲み会が減ったと思うんですけれども、二日酔いの翌日「なんだかお手洗いが近いな」っていう方、いらっしゃると思うんですよ。アルコールを摂取した後の利尿作用によるものなので、「かくれ脱水」の兆しになると思います。

水分控えるのは✕ 3食きちんと、鍋・お粥がおすすめ

近江:脱水症にならないためにできる対策や、富和さんご自身が気をつけていることがあれば、教えていただけますか。

富和:まずは、必ず3食しっかり食べることが大事です。僕は整形外科医なので、手術がある日は必ず朝ごはんを取るようにします。また、水分を控えるということはやらないほうがいいと思います。例えば放送業界の方だと、長時間の放送の時は水分を気にすることがあると思うんです。

近江:そうですね。

富和:1日に必要な水分の4割が食べ物に含まれている水分からできています。やはり3食しっかり食べるという、従来から言われている内容がとっても大事です。

近江:おすすめの料理はありますか。

富和:今の時期ですと、鍋料理は知らず知らずのうちに水分摂取ができると思います。脱水に近い時にはお粥がおすすめです。
 

家に「経口補水液」ありますか?

近江:もし脱水の症状を感じてしまった時は、どのように対処したらいいですか。

富和:最近はドラッグストアで「経口補水液」が売られています。これは経口摂取で補給できるならば点滴に近いような作用まであるという報告を受けていますので、自宅に数本置いておくといいと思います。

近江:意識が遠くなってしまった場合は、すぐに医療機関ですよね。

富和:そうですね。意識障害がある時には、急いで医療機関を受診したほうがいいと思います。これは待ったなしですね。

近江:脱水症が原因で引き起こる病気などはありますか?

富和:脱水症が進んでしまうと、血液がドロドロになって、脳梗塞、心筋梗塞、エコノミークラス症候群といわれるような血栓症のリスクが上がってしまいます。また、立ちくらみもこの一つ(脱水症が原因の一つ)なので、やはり水分摂取を日頃から行って、脱水症の予防に努めてほしいと思います。

近江:ありがとうございました。

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免責事項
今回お話をうかがったのは……富和清訓さん
教えて!「かくれ脱水」委員会 委員医師。社会医療法人田北会 田北病院整形外科。
1981年6月10日、奈良県生まれ。岩手医科大学医学部医学科卒。医学博士、日本整形外科学会専門医、日本DMAT医師、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。特に自転車競技に精通しており、レースドクターとして従事し国際自転車競技連合のエリートナショナルコミセールも取得している。バイシクル・シティ(ライジング出版)編集委員。

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