【災害ボランティア】「足湯」ボランティアも募集中!多岐にわたる能登半島地震の支援メニュー。現地はまだまだ人手が足りない!
(山本)能登半島地震が6月1日で発生から5カ月になりました。倒壊したままの建物がいまだ多く残る石川県輪島市などに静岡新聞の記者が入りました。今日はそのお話をしたいと思います。
(山田)先日も石川県でまた大きな地震がありましたね。
(山本)今回は5カ月たった今の状況がどうなっているかを見るために企画しました。
(山田)現地に行って?
(山本)はい。取材テーマにしたのは災害ボランティアです。能登半島地震被災地では、静岡から現地に入っている方もいます。
災害ボランティアという言葉はよく耳にすると思います。実際にどんな活動をしているのか、どうやって行くのか、あるいは、逆に静岡が被災した場合はどのように災害ボランティアを迎えるのか。こうしたことについて同僚記者が現地の様子を見てきました。
(山田)東日本大震災のときにも、ボランティアはすごく活躍しましたよね。
(山本)そうですね。災害ボランティアは1995年の阪神淡路大震災のときから、今のような形に発展してきたという歴史があります。
今回は5月29日に静岡を出発し、鉄道と車で能登半島北側の海沿いにある輪島市に赴きました。鉄道と道路はほぼ復旧している状態ですが、それでも移動には丸1日かかっています。ボランティアの活動は翌日から5月31日までの2日間、取材しました。
輪島市では片付け、農作業、炊き出しなどの活動を支援
輪島市は火災が発生したり、家屋が倒壊したりと、昔ながらの町並みが崩れるほどの大きな被害が出ました。ここでの災害ボランティアは倒壊した家屋、商店、工房などの片付けをする仕事が一つありました。
内陸部の方にある栗農園では、畑に垂れ下がった電線を取り除いたり、農園主の方々が避難しているために枝を剪定するといった農作業をしたりという活動がありました。
(山田)なるほど。
(山本)学校などに開設された避難所で寝泊まりする生活がまだ続いている地域もあり、そこでは炊き出しの手伝いに従事する人がいました。今回の取材は静岡からボランティアに参加した若い2人の動きを追う形で行ったのですが、限られた短い期間だけでもバラエティーに富んだ活動をしていました。
(山田)ボランティアもいろいろなことをやらなければいけないんですね。
(山本)現地にはボランティアをコーディネートする団体の拠点があります。参加者たちはそこに行き、今日はここに行ってこういう作業をしてくださいというような指示を受けて働くという形が取られていました。
(山田)皆さん現地で宿泊して活動するんですよね。
(山本)今回訪れたのは、輪島市の内陸部にある「のと復耕ラボ」という団体の拠点です。そこにはボランティアが宿泊できるような施設がありました。
少ない状況が続く能登半島のボランティア
(山田)ボランティアからはいろいろ話を聞けたんですか。(山本)現地で取材した2人は20代の方だったんですが、このうちの1人は、最近は報道も少なくなったので、そんなに必要とされていないのではないかと半信半疑で参加したそうです。だけど、行ってみたらやることは山のようにあり、「自分のように何かの資格を持っているわけではなくても、働けることがあるということを新たに発見した」と話をしていました。
(山田)そうか。確かにボランティアの話題も減ってきているから、最初はいらないのではないかというぐらいの気持ちがあったんですね。
(山本)いろいろなつてをたどって、ボランティアを募集しているNPOのところに行くことになったようです。1人の方は「友達を誘ってもう1回行きたい。まだまだ仕事はあるし、人手も足りていない」と言っていました。
(山田)皆さんはNPOなどのボランティア募集告知を見て行っているんですか?
(山本)この方々はそういう形でした。「のと復耕ラボ」に長期間常駐して調整役を務める静岡市のNPO職員斉藤雄大さんは「過去の他の大規模災害に比べて、能登のボランティアは当初から少ない状況が続いている」と話していました。
(山田)現地に行けるようになるのに時間かかりましたもんね。
(山本)そういうイメージがどうも強すぎるのではないかと思います。何か迷惑をかけるのではないかという意識が皆さんの中にあるのかもしれません。
(山田)それはあると思いますね。一時期、SNSなどでボランティアに行ったのに逆に迷惑をかけてしまったというような話題が出ましたよね。それで現地に行くことを躊躇してしまう方が増えたという話を聞いたことがあります。
(山本)斉藤さんもそういう風潮があるのではないかとみているそうです。他の団体の方に聞くと、例えば重機を扱えるなど、専門的な技術を持った方が今は最も求められていると言います。
現地の状況や地域によって、どのような人手が足りないかというのはまちまちなのではないかと思います。どんな災害現場でも一律ではないでしょうし、特に能登の場合は復興の度合いも違います。珠洲市のように、まだ水道が復旧していないところもあります。
(山田)これから気温も上がってくる季節になるので心配ですよね。
(山本)ニーズがますます多様化してくると思います。
「足湯」ボランティアの効果とは?
(山田)ラジオを聞いてる方の中でも、ボランティアに参加したいと思っている方もいるかもしれません。その場合はどうしたらいいですか?
(山本)さまざまな方法があります。今回、記者が密着した2人の場合は知り合いを通じて静岡のNPOが関わっている現地の復興支援拠点の活動に参加しました。
これとは別に、石川県には災害対策ボランティア本部という組織が立ち上がっていて、特設サイトが設けられています。そこに登録して、いつ、どんな活動ができるか、何かの資格や技能を持っているかというようなことを書き込み、本部からの連絡を受けて参加するという方法もあります。
このほか、さまざまな民間団体が活動拠点をもyけてボランティアを募集しています。静岡県ボランティア協会は全国規模の団体と提携し、月に何回かボランティアを募って「足湯ボランティア」を派遣しています。
(山田)足湯ボランティア?
(山本)参加された方に話を伺ったんですが、仮設住宅の集会所でたらいにお湯を入れて足湯でリラックスできる場を作るそうです。現在、7月に2回、8月に3回のボランティアを募集しています。静岡から皆さんで車に乗って往復するそうで、全部で3日間ぐらいの日程になります。これは力仕事ではありません。
(山田)足湯でリラックスしてもらうということですか?
(山本)リラックスできる場を作り、コミュニケーションを取るのがお仕事です。被災者が何に困っているのかということを聞き出したら、他の団体に繋いで支援していくということもできるそうです。
(山田)なるほど。そういう役割もあるんですね。
(山本)被災者同士ではなかなか話ができないことも、外から出向くボランティアには本音を話せるということがあるそうです。そういう場を作るということですね。
(山田)参加方法はいろいろありますから、自分に合った内容や日程に応じて応募するのが良いのかなと思いますね。それにしても、まだまだ能登では災害ボランティアが必要というわけですね。
(山本)そうですね。取材に行った記者の報告では、まだまだ人手が足りてないという印象だったということでした。
(山田)われわれ静岡県も今後、今度は災害ボランティアを受け入れる側になる可能性も十分あるわけですからね。
(山本)われわれはそこを想像しながら取材しました。実際にどのような災害が起こるかということは予測できないんですが、何か起きたときにそういうボランティアの方々をうまく受け入れることができる体制ができれば、復旧復興も早めることができるということは念頭に置いておきたいですね。
(山田)そうなると、災害ボランティアを経験しておいた方が良いという部分があるかもしれませんね。
(山本)今回取材したボランティアの1人は「自分としてはそういう種まきをしているんだ」と話していました。「自分が石川に出向けば、静岡で何か起きたときに少しでも静岡のことを思い出してもらえるのではないか」ということをおっしゃってました。確かにそうですよね。
(山田)必要なことかもしれませんね。今日の勉強はこれでおしまい!
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