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ふくらはぎに急な激痛!「こむら返り」はなぜ起きる?予防策は?

突然起こる「こむら返り」の恐怖……

夜、気持ちよく眠っていたのに、突然ふくらはぎに激痛を感じて目が覚めてしまった……そんな経験はありませんか? 今日は、ふくらはぎの激痛「こむら返り」について、All About「睡眠ガイド」をつとめる医師の坪田聡先生にお話をうかがいました。
※8月19日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。
こむら返り

「こむら返り」とは、どんな症状のこと?

坪田先生:ふくらはぎのイメージが強いかもしれませんが、ふくらはぎ以外にも足の裏やふとももなどの筋肉が突然ひどく痙攣して痛みが出ることもあります。

牧野アナ:どういう時に起きやすいのでしょう?

坪田先生:多いのは、長時間激しい運動をした後や、足が冷えているとき。あるいは体内の塩分のバランスが崩れているときなどに起こりやすいですね。マラソンをした後や、長時間水泳をした日の夜にも起こりやすいです。

牧野アナ:それではスポーツマンや、普段から体を鍛えているという方でもなる時はあるのですか?

坪田先生:そうですね、結構あります。

牧野アナ:夏の暑い時期にも、起きる人は結構いるのでしょうか?

坪田先生:やはり塩分バランスが崩れやすいので多いですね。

牧野アナ:「足がつる」というのとは、少し違いますか?

坪田先生:ほぼ同じ意味で使われていると思いますよ。

牧野アナ:寝ている間になる方が多いのでしょうか?

坪田先生:筋肉というのは動かすことでその中の血液がポンプ作用で絞り出されて血液が循環していくものなのですが、寝ていて筋肉を動かないと、そこの血流が悪くなって老廃物が溜まったり、塩分のバランス、酸性やアルカリ性のバランスが崩れてしまう。その状態で時間が経つと、筋肉が痙攣してしまうということになるんです。

「こむら返り」が起きやすい季節、起きやすい人に傾向はある?

坪田先生:それはこむら返りが起きる原因も関係してきます。足の冷えが原因でこむら返りが起きやすい人は、寒い冬に注意。一方で、塩分バランスが崩れて起こりやすいという場合は、脱水しやすい夏に多くなってきます。

牧野アナ:年齢でいうと、どの年代に多いなどの傾向はあるのでしょうか?

坪田先生:やはり高齢者になってくると、だんだん増えてくる傾向がありますね。50〜60歳台以上の人では、一度は経験していると言われています。

「こむら返り」は予防できる?

牧野アナ:では、起きないよう予防する方法について教えて下さい。リスナーのみなさんから「夜、トイレに起きたときに水を飲むようにしている」「水分と塩分を取るようにしている」というコメントをいただきました。この辺りは正解としていいのでしょうか?

坪田先生:先ほどからお伝えしているように、塩分バランスが原因ということがありますからね。水分も大事ですが、水分と塩分を寝るまでに取っておくことが大事ですね。

牧野アナ:具体的には、どれくらいの量をとればいいのでしょうか?

坪田先生:もちろん個人差はありますが、暑い時期ですと1日に1500ccとか2000ccくらいは水分が必要とされているんですが、寝る前にたくさん飲もうとすると、寝ている間にトイレに行きたくなって睡眠が分断されてしまいます。ですから、夕食や就寝3時間くらい前までにある程度の水分と塩分をとっていただくのがいいと思いますよ。

塩分をとるタイミングは、水分と一緒でも食事のときでもいいと思います。液体でとるなら、生理食塩水の0.9%からスポーツドリンク程度の濃度がいいです。取り過ぎると血圧が上がるので、そこは注意が必要ですね。

牧野アナ:寝る直前でなくても、それまでに水分を多めにとっておけば、体内にはある程度水分がたまるということですね。これ以外にも何か方法はありますか?

坪田先生:寝る前まででしたら、こむら返りを起こしやすい部分のストレッチやマッサージをしておくと予防できることが多いです。

冷えが原因で起きるという人は保温も大事です。重い布団を掛けて寝ているという人は、足首がつま先立ちみたいに伸びた状態になると思います。そうすると、こむら返りが起きやすいということがあるので、なるべく軽い布団で寝ることも大切かと思います。

牧野アナ:布団の重さも関係があるのですね。ふくらはぎがなりやすい人の場合は、アキレス腱を伸ばすようなストレッチなどもいいのでしょうか。

坪田先生:基本的には有効です。膝を伸ばした状態でもちゃんとアキレス腱を伸ばしておくと、ふくらはぎの筋肉が充分ストレッチングされます。

予防していても、なってしまったときの対処法は?

坪田先生:こむら返りになるとつま先が下の方に向きやすいのですが、それを頑張って起こすことが大事です。いわゆるアキレス腱伸ばしみたいに伸ばす、あるいは座っている状態で膝を伸ばして、足の裏にタオルをかけタオルの両端をぎゅっとひっぱるとか、家族に足の裏を押してもらう。充分にストレッチングをして、そのあと軽く少しマッサージをしておくと痛みが早くとれると言われています。

牧野アナ:ケガをしたあとはすぐ冷やしなさいと言われたりするのですが、こむら返りに関しては、どうでしょう?

坪田先生:冷やすとまた起こってしまう人もいるので、あまりおすすめはできません。でも、冷やすことで気持ちがいいと感じる方は、冷やしてもいいかと思います。

牧野アナ:対応する薬などはあるのでしょうか?

坪田先生:漢方薬でいう芍薬甘草湯はよく使われる薬ですね。病院に行って症状を話せば、医師の判断で処方してくれることが多いですし、薬局でも販売していると思います。病院ではその他にも、抗けいれん薬や筋弛緩薬などを出すこともありますし、人によってはマグネシウムのサプリを飲むと楽になる人もいます。

60歳以上の6%に毎晩こむら返りが!? 慢性化することもある?

牧野アナ:うちの親もそうなんですが、こむら返りが頻繁に起こるという人がいます。慢性化することもあるのか、それとも他の病気が要因にないっているのか……そのあたりはいかがでしょうか?

坪田先生:60歳以上の方のおよそ6%に、毎晩こむら返りが起きているというデータもあるので、高齢者になると起こりやすいというのは確かだと思います。その他に病気でいうと糖尿病や肝硬変、甲状腺機能低下症のような全身の病気でも慢性的に起きることはあります。

牧野アナ:ある程度歳を重ねてきたら、事前にストレッチングをしたり対策をした方がよさそうですね。

坪田先生:毎日のように起きるという人は特に対策をした方がぐっすり眠れていいかなと思います。

牧野アナ:リスナーさんから、「マグネシウム不足も原因でしょうか? 普段の食事で気を付けた方がいいことがあれば教えてください」といただいています。

坪田先生:マグネシウム不足が原因となることはありますので、足りない方は充分にとった方がいいです。でも、食生活の基本はバランスよくとることが大事じゃないかと思いますよ。

牧野アナ:わかりました! 食事はバランスよく栄養をとって、夜も寝る直前ではなく3時間くらい前までにしっかり水分・塩分もとる。みなさんもぜひ対策をしてみてください。

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今回、お話をうかがったのは……坪田聡さん
医師、雨晴クリニック副院長、生活情報サイト「オールアバウト」睡眠ガイド。医師として診療に当たりながら、「快眠で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、予防にも重点を置き、睡眠の質を向上するための指導に努める。インターネットやテレビ、雑誌など多くのメディアで、睡眠に関する情報を発信している。
 

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