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気になる体臭。その対策とは

サラサラの汗をかこう!

夏は、汗の臭いをはじめ体臭が気になる季節です。今回は「汗の臭い、体の臭い対策」について、医師の桐村里紗先生に、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
※7月27日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

牧野:汗の臭いが気になるとき、どういう対策をしたら良いですか?

桐村:サラサラの汗をかけるようにすることが対策になります。本来、汗は99%が水分で全く無臭なんです。サラサラの汗はすぐに乾きやすく臭いにくくなります。ただし、放置すると皮膚に暮らす常在菌の働きで、お酢と同じ成分の酢酸が発生して酸っぱい臭いがします。さらに、普段汗をかいていない人は、汗を出す汗腺の働きが弱ってしまい、ミネラル分の多いベタベタした汗しかかけなくなります。そういう汗は栄養分が多いので常在菌の活動が活発になり、さらに臭いやすい汗になってしまいます。

牧野:基本は、サラサラ汗をかけるようにすることなんですね。そのためにはどういうことをすればいいですか?

桐村:日常的にしっかり汗をかく習慣を持つことが大切です。汗をかかないようにしようと思っていると、ベタベタの汗しかかけなくなってしまうので、しっかり汗をかくようにして欲しいです。対策としては、有酸素運動やしっかりお風呂に浸かって汗をかくことです。さらに、汗が乾かずに蒸れると臭いの原因になるので、汗をかいたらすぐに濡れタオルで拭き取ったり速乾性のある衣類を選ぶのもいいと思います。

牧野:お風呂の入り方には、何かポイントはありますか?

桐村:根本的な方法としては、しっかり汗をかくまで40度程度のお湯にゆっくり浸かること。浸かる時間は個人差があります。血流を高めて発汗を促すことが大事なので、最近販売されている「エプソムソルト」などを加えると温浴効果が高まっていいと思います。

牧野:「エプソムソルト」は、塩の一種ですか?

桐村:塩ではなく海水から取った硫酸マグネシウムのことです。いろいろなお店で販売しているので探してみてください。

牧野:あとは何かありますか?

桐村:即効性の対策であれば、汗は流せば落ちるので、外出前にお風呂に入ったりシャワーで汗を流すことです。

牧野:おすすめのシャンプーやボディーソープがあれば教えてください。

桐村:汗だけでなく、体臭の原因は皮脂も関係します。皮脂は油成分なのでベタベタします。特に頭はベタつくので、いわゆる洗浄力の高いシャンプー(高級アルコール系シャンプー)を使うと良いです。逆に頭皮の乾燥があれば、洗浄力の弱いアミノ酸系シャンプーを使うこと。これでも十分に落ちますので、成分を使い分けていただければと思います。

あとは、殺菌効果のあるものは臭い対策にはなりますが、皮膚を守る働きがある常在菌の活動を弱らせてしまいます。全身に使うなら殺菌効果がないものの方が皮膚のためには良いと思います。

加齢臭とミドル脂臭

牧野:その他にも「加齢臭」というのもありますよね。リスナーから「枕から臭いがします」とメッセージが来ています。

桐村:枕から臭いがするとのことですが、これは「加齢臭」と勘違いされやすい「ミドル脂臭」というものです。後頭部から発生するもので、40代がピークになり枕臭の原因にもなります。それが終わってから、主に胸や背中に発生して50代がピークになるのが「加齢臭」なんです。

牧野:対策は違うのでしょうか?

桐村:「加齢臭」も「ミドル脂臭」も皮脂が関係します。皮脂に関わる臭いについては、皮脂の発生を防ぐことが大切です。不摂生な生活をして体内の中性脂肪が増えてしまうと皮脂が増えてしまいます。ですので、中性脂肪が増えないように運動をしたり、脂っぽいものや砂糖が多いものを控えたりすることが大切になります。

牧野:体の管理も大事なんですね。

ストレス臭や疲労臭

牧野:仕事が忙しくてストレスが溜まって臭いがしている人もいるようですが?

桐村:それは、「ストレス臭」や「疲労臭」といわれるものです。ストレスが発生したら、汗の中からネギみたいなニオイが発生するんです。さらに、肝臓が弱ってアンモニア臭が体臭として発生してしまうこともあります。体臭が変化したなと思ったら、ストレスが過剰に蓄積していないか、自分の体に目を向けてもらいたいですね。

牧野:根本的なストレスを無くしていくことが一番いいのでしょうか?

桐村:ストレスリリースとしてゆっくりとした時間をとる、ゆっくり眠る、有酸素運動をする。あとは、笑うというのがすごくいいです。笑うと一瞬でストレスをリリースできて、ストレスモードからリラックスモードに変わることができます。

牧野:日常に笑いをもたらしていきましょう! そうはいっても、すでに臭いが出始めていたらどう対処すればいいですか?

桐村:拭き取るのが一番ですね。ただ、乾いたタオルで拭き取ってしまうと熱中症のリスクがあるんです。汗は体温調節の機能があるので、乾いたタオルで拭き取ってしまうと蒸発して体温を下げる機能が奪われてしまいます。できれば汗をかいたら濡れタオルで拭いていただいて、水分を皮膚の上から蒸発させてもらいたいです。

牧野:汗は自分の体を冷やしてくれるので、乾いたタオルだと体温調節を妨げてしまうのですね!

桐村:汗をかくと嫌だなと思うかもしれませんが、あまり嫌わないでいただければと思います。ただ、臭いの原因にはなるので濡れタオルで拭いてあげてください。

牧野:自分で臭いに気づいていないときが一番怖いのですが、チェックする方法はありますか?

桐村:最近は、体臭チェッカーが販売されているのでそれを使ってください。あとは家族を味方につけるのが一番です。他人はなかなか指摘してくれませんので、近しい人に体臭が変化したら教えてと伝えておくといいと思います。

牧野:ワキガはまた違うのでしょうか?

桐村:ワキガは、体温調節の汗ではないアポクリン汗腺から出ています。日本では10%くらいしかおらず遺伝的な体質なので、アポクリン汗腺自体の対策をしないといけないので、場合によってはレーザー治療や外科治療等が必要になってきます。

牧野:わかりました。今回はありがとうございました。

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免責事項
今回お話をうかがったのは……桐村里紗先生
東京大学大学院工学系研究科 道徳感情数理工学講座共同研究員(2022年9月1日〜)、tenrai株式会社 代表取締役医師。予防医療から生活習慣病、在宅医療まで幅広く臨床経験を積み、現在は鳥取県に移住し、日野郡江府町において人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決「鳥取江府モデル」の普及を行う。東京大学では研究員として量子ゲート数理「四則和算」の社会実装により、人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営し、新しい文明の萌芽を描く。新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。

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