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テーマ : スポーツしずおか

五輪3人目は「大阪・日本新」前田 初V安藤 届かず 陸上・名古屋ウィメンズマラソン

 パリ五輪代表最終選考大会の名古屋ウィメンズマラソンは10日、名古屋市のバンテリンドームナゴヤ発着で行われ、東京五輪1万メートル代表で29歳の安藤友香(ワコール)が2時間21分18秒の自己新記録で初優勝した。代表入りの条件だった、1月の大阪国際で前田穂南(天満屋)が樹立した日本記録の2時間18分59秒には届かなかった。鈴木優花(第一生命グループ)一山麻緒(資生堂)に続き、前田の2大会連続の代表入りが決まった。

41キロ過ぎ、ユニスチェビチー・チュンバ(奥)を引き離す安藤友香=名古屋市(代表撮影)
41キロ過ぎ、ユニスチェビチー・チュンバ(奥)を引き離す安藤友香=名古屋市(代表撮影)

 鈴木亜由子(日本郵政グループ)はトップから15秒遅れの3位、加世田梨花(ダイハツ)はさらに38秒遅れて4位だった。
 海外勢は、ユニスチェビチー・チュンバ(バーレーン)が2位だった。(スタート時晴れ、気温10・2度、湿度46・8%、北東の風0・2メートル)
 (共同)

 ▽成績 ①安藤友香(ワコール)2時間21分18秒②チュンバ(バーレーン)2時間21分25秒③鈴木亜由子(日本郵政グループ)2時間21分33秒④加世田梨花(ダイハツ)2時間22分11秒⑤夏雨雨(中国)2時間25分45秒⑥メリンガー(ルーマニア)2時間26分9秒⑦大西ひかり(日本郵政グループ)2時間26分12秒⑧大森菜月(ダイハツ)2時間26分54秒⑨フレンチ(ニュージーランド)2時間28分23秒⑩エピス(イタリア)2時間28分24秒
 (共同)

 【経過】26キロ付近で先頭集団から抜け出した海外勢2人を、安藤が粘り強く追いかけた。40キロ付近でチュンバを捉え、しばらく並走。残り1キロを切ってからスパートを仕掛けて振り切った。
 25キロ付近から失速した鈴木亜は終盤に挽回し、39キロ付近で加世田を抜いて3位に上がった。序盤からレースを引っ張っていたゲブレシラシエは37キロ手前で棄権した。
 (共同)

誇りを持って 世界で力発揮  前田穂南の話 2大会連続で日本代表として走れることに誇りを持ち、世界でしっかり自分のパフォーマンスを発揮したい。経験を生かし、継続して練習に取り組んで準備していきたい。
 (共同)

それでも「諦めぬ」前へ 万感 7年ぶり自己新  五輪切符はつかめなかった。それでも安藤は前だけを見て、懸命に足を動かした。7年ぶりの自己ベストで、マラソン初優勝。「パリには行けないけど、優勝できてよかった」と歓喜に浸った。
 26キロすぎで先頭集団から離され、五輪代表入りに必要な日本記録が遠のいた。加世田との並走から33キロ付近で抜け出し、残り約3キロでトップのチュンバ(バーレーン)に追い付いた。「諦めたくない。優勝したい」。ゴールまで1キロを切った終盤に、杭州アジア大会女王を突き放した。
 2017年の名古屋ウィメンズで当時日本歴代4位、初マラソン日本最高記録の2時間21分36秒で2位に入る鮮烈デビュー。「てんぐになってしまう記録」を塗り替えられず、それが重荷にもなった。東京五輪に1万メートルで出場したものの、自身の「本業」と認めるマラソンでは苦しんだ。
 前田の日本記録を目指して練習を積み重ね、自己記録を18秒更新。7年前の自分をようやく超えられた。「時間がかかったことに意味がある。この気持ちを忘れずに、また踏み出せたらいい」。16日で30歳。20代最後のレースをさらなる飛躍の糧にする。
 (時事)

鈴木亜 後半脱落 「力不足」の3位  ○…3位の鈴木亜はレース後、しばらく動けなかった。先頭集団から25キロ付近で脱落。懸命に追い上げて自己ベストを19秒更新したが、東京大会に続くマラソンでの五輪出場を逃し「中盤の手前からきつかった。力不足。悔しい」と目に涙を浮かべた。
 代表入りの条件だった日本記録更新を目指して臨んだレース。愛知県出身とあって地元の声援を受けた終盤に見せ場はつくり「最後のチャレンジを名古屋でできてうれしい。やり切った」と周囲の支えに感謝した。
 (共同)

代表選考レース レベル向上実感も パリは「日本人向き」 激しいアップダウン  パリ五輪の女子マラソンには、鈴木優、一山、前田の3人で臨むことになった。MGCファイナルチャレンジでは、日本新記録を出した前田に加え、安藤と鈴木亜が日本陸連の設定記録(2時間21分41秒)をクリア。高岡寿成シニアディレクターは代表選考を振り返り、「少しずつだが、レベルが上がっている」と評価した。
 五輪本番のコースは激しいアップダウンが続き、瀬古利彦ロードランニングコミッションリーダーは「日本人向き」と指摘する。2019年9月に行われたMGCで優勝した前田、東京五輪8位入賞の一山とも、夏場のレースで結果を出した経験がある。難コースでの消耗戦なら、04年アテネ五輪で金メダルに輝いた野口みずきのようなレース運びを思い浮かべる関係者もいる。
 世界記録は2時間11分台に突入し、前田の日本記録とは7分以上の開きがある。メダルに挑むのは簡単ではないが、「五輪は記録ではない」と瀬古氏。ペースメーカーに頼らず五輪切符を勝ち取った代表3人のたくましさには期待が持てそうだ。
 (時事)

 

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