「ACL メリット乏しい」サッカー選手会アジア支部、問題点指摘 過密日程、長距離移動、クラブ負担
負担が大きく、コストを上回るメリットがない-。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を巡り、国際プロサッカー選手会のアジア支部が数々の問題点を指摘する報告書をまとめた。同支部の山崎卓也代表は「現状をデータに基づいて知り、前向きな議論のきっかけになれば」と話す。
決勝トーナメントに突入した2023~24年大会で、日本勢は横浜Mだけが8強に勝ち残った。初制覇を狙った川崎は2月13、20日の山東(中国)との1回戦で敗退。J1開幕直前期に国内外で富士フイルム・スーパーカップを含め8日間で3試合が組まれ、鬼木監督は「頭の切り替えが非常に必要だった」と語った。過密日程や長距離移動は、報告書でも浮き彫りにされた大きな課題だ。
20~22年にACLに参加した5リーグ、15クラブの選手へのアンケートでは、67%が疲労による悪影響を感じたと回答し、72%は負傷リスク増大を感じていた。ACL出場回数と当該選手の移籍金には相関関係がなく、選手の価値向上とは無縁の現状も示された。40クラブが出場するACLの試合の平均的な質は日本、韓国、サウジアラビアの1部リーグより低いというデータもある。
クラブの負担も大きい。主催するアジア連盟(AFC)の補助金では、多くの試合で旅費をまかなえないのが実情だ。さらに欧州CLでは優勝と準優勝のクラブへの賞金額が全体の21%だが、ACLは86%といびつで、実入りのない多くの参加クラブが苦しんでいる。
24~25年からの大会再編で最上位のACLエリートは参加が24クラブに絞られ、試合の質は向上が期待される。ただ、各クラブへの賞金額や、集中開催となる決勝トーナメントの収益分配法は不透明だ。