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テーマ : スポーツしずおか

21歳の新星・平林 衝撃V 陸上・大阪マラソン

 大阪マラソンは25日、大阪府庁前から大阪城公園までのコースで行われ、男子は21歳の平林清澄(国学院大)が日本歴代7位の2時間6分18秒で優勝した。初マラソン日本最高で、日本学生記録を更新した。

男子で2時間6分18秒をマークし、優勝した平林清澄=大阪城公園
男子で2時間6分18秒をマークし、優勝した平林清澄=大阪城公園

 スティーブン・キッサ(ウガンダ)が4秒差の2位。パリ五輪代表に決まっている小山直城(ホンダ)が2時間6分33秒で3位、吉田祐也(GMOインターネットグループ)が4位、土井大輔(黒崎播磨)が5位に入った。
 日本陸連が定めた男子の五輪代表選考設定記録2時間5分50秒を破る選手は出なかった。選考対象大会は3月3日の東京マラソンが最後となる。
 女子はワガネシュ・メカシャ(エチオピア)が2時間24分20秒で勝ち、川村楓(岩谷産業)が2時間25分44秒で日本勢最高の5位。(スタート時雨、気温6・4度、湿度83%)
五輪設定記録 突破なし  【男子成績】 ①平林清澄(国学院大)2時間6分18秒②キッサ(ウガンダ)2時間6分22秒③小山直城(ホンダ)2時間6分33秒④吉田祐也(GMOインターネットグループ)2時間6分37秒⑤土井大輔(黒崎播磨)2時間6分54秒⑥丸山竜也(トヨタ自動車)2時間7分52秒⑦フセン(エチオピア)2時間8分0秒⑧キプルノ(ケニア)2時間8分2秒⑨東瑞基(愛三工業)2時間8分3秒⑩呉向東(中国)2時間8分4秒⑪大塚祥平(九電工)2時間8分6秒⑫ラマコンゴアナ(レソト)2時間8分9秒⑬市山翼(サンベルクス)2時間8分11秒⑭董国健(中国)2時間8分12秒⑮聞谷賢人(トヨタ紡織)2時間8分33秒⑯竹井祐貴(JR東日本)2時間8分44秒⑰中山顕(ホンダ)2時間8分52秒⑱村山謙太(旭化成)2時間9分0秒⑲細谷翔馬(ロジスティード)2時間9分5秒⑳土方英和(旭化成)2時間9分10秒
 【女子成績】 ①ワガネシュ・メカシャ(エチオピア)2時間24分20秒②デゲファ(エチオピア)2時間24分37秒③ウェイトマン(豪州)2時間24分43秒④ベケレ(エチオピア)2時間25分25秒⑤川村楓(岩谷産業)2時間25分44秒⑥チェムタイ(ケニア)2時間28分11秒⑦市田美咲(エディオン)2時間30分34秒⑧パーム(豪州)2時間32分25秒

 【経過】1キロ3分弱で進んだ大きな先頭集団が、25キロ前後で3分台にペースダウン。29キロ過ぎで小山がペースを上げると10人弱に絞られ、32キロ付近の上り坂で平林が一気に前に出た。背後に付いて追いかけたキッサを、残り1キロを切ってのスパートで突き放した。吉田、土井とともに粘ったものの徐々に遅れた小山は、最終盤に踏ん張って3位に入った。

上り坂「余裕」の笑顔 2時間6分18秒 初マラソン最高 日本歴代7位  32キロ付近のきつい上り坂。平林が、駆けつけた大学の仲間の声援に反応した。「余裕がある時の方がいい結果が出る。力むよりも余裕を持ち『やるぞ』と気合を込めて」、親指を立てた右拳を笑顔で突き出した。168センチ、44キロの細い体が力強く、五輪代表の小山から先頭を奪って主役に躍り出た。
 その後は2時間4分台の記録を持つキッサとの一騎打ち。背後に付かれ「怖くて仕方なかったが、開き直って自分のペースで押そう」と脚を動かした。力を振り絞ってトップを譲らず、また満面の笑みでゴール。「未知の領域を知るのは楽しみだった。テレビにもずっと映っていたと思う。楽しかった」と、初の42・195キロを勢いよく駆け抜けた。
 小学校までの片道約4キロを自転車で通学するなど、福井県の山あいで健脚を磨いた。中学はバドミントン部。本格的に走り始めた美方高2年時に、国学院大の前田監督の目に留まった。「マラソンで勝負できる逸材」と期待する指導者との二人三脚で、急成長した。
 昨年もこの大会に挑む予定だったが、駅伝シーズンの影響で仙骨を疲労骨折して断念。悔しさと反省を胸に、昨年8月は月間1200キロ走るなど、土台づくりに徹した。才能を開花させた21歳の新星は「どんどん上を目指してやっていく。守りに入るより攻めていきたい」。前途をその脚で切り開き、視線の先に4年半後のロサンゼルス五輪をとらえた。
五輪代表・小山 歴代9位の好走  パリ五輪をにらんだ調整の一環として出場した小山は、自己記録を1分以上更新する日本歴代9位のタイムに笑みがこぼれた。「(昨秋の五輪代表選考レース)MGCに比べて8割くらいの状態だった中で、目標だった自己ベストを更新できてうれしい」。冷たい雨中で力走した結果を前向きに受け止めた。
 先頭集団は、ペースメーカーが1人となった25キロ付近からペースが落ちた。「自分は気楽な立場。トップで走ると海外勢がどう動くか見たかった」と29キロ過ぎで前に出て揺さぶった。最終盤は粘りの走りで、日本人3選手となった3位グループの競り合いを制した。
 一方で、伏兵の平林には32キロ付近の上り坂で置いていかれた。「今大会より起伏が激しい」というパリのコースに向けて、課題を突きつけられたと言える。「起伏対策と暑さ対策をして、いい状態でスタートラインに立ちたい」と残り半年を切った五輪本番を見据えた。
五輪男子代表 最後の枠は 3日、東京 記録突破者か 大迫か  パリ五輪男子代表の最後の1枠を巡る選考大会は3月3日の東京マラソンを残すのみとなった。設定記録2時間5分50秒を突破した最速選手が代表となり、該当者がいなければMGC3位の大迫傑(ナイキ)が2大会連続の代表となる。
 東京マラソンには2時間4分56秒の日本記録を持つ鈴木健吾(富士通)、世界選手権代表の山下一貴(三菱重工)らがエントリーしている。
 代表選考の対象は過去に日本陸連の指定したマラソンで完走したことなどが条件で、今大会の平林は対象外だった。

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