
昭和の時代から長らく「日本一の茶どころ」として栄えた静岡県ですが、荒茶の生産量で鹿児島県に抜かれ、大きな転換期を迎えています。
このピンチを何とかしようと、県はクリエイティブディレクターの佐藤可士和(さとう・かしわ)さんをプロデューサーに迎え、新たなブランド作りに乗り出しました。佐藤さんが描く静岡茶の未来とは。
生産量日本一からの陥落、問われる「ブランド力」
<クリエイティブディレクター 佐藤可士和さん>
「もともと母が静岡出身ということもありまして、恩返しじゃないですけれども、何か貢献できることがあればと」
クリエイティブディレクターの佐藤可士和さん。これまで「くら寿司」や「ユニクロ」のロゴを考案するなど、数々の大企業のブランディングを担当してきたこの人に、静岡茶の未来が託されました。

長年、日本の茶業を支えてきた静岡茶。しかし、生産量は鹿児島県に抜かれ、後継者が足りないなど、かつての「日本一の茶どころ」はいま、大きな課題に直面しています。
<静岡県 鈴木康友知事(6月10日)>
「静岡全体で、静岡茶のブランド力がないと、なかなか海外では勝負できませんので、今回は静岡全体に静岡茶のブランド力を強化していく」
県は世界に通用する静岡茶ブランドをつくり出そうと、佐藤さんを総合プロデューサーに据え、新たなプロジェクトを2025年に立ち上げました。
「みんなが知っている」という前提を捨てる
佐藤さんが考える静岡茶復興へのロードマップ。最初に考えるべきは、自分たちの立ち位置を認識することです。
<佐藤総合プロデューサー>
「『静岡茶ってみんな知っているもんだ』っていう前提で話がどうしても進んでしまう。かつ、どうしても国内向けの話になってしまう。ちょっともう1歩手前に戻って仕事をしないと」

今、若者の「お茶離れ」などから、世帯ごとのリーフ茶の消費量は右肩下がりとなっています。特に若い世代にアピールするには、最初の一歩が重要だと説明します。
<佐藤総合プロデューサー>
「何かきっかけが掴めれば。例えば、コーヒーでもすごく手間をかけて豆から挽いてドリップしてなんてことも楽しんでやる人もいるわけで。だから、うまく何かそういう価値が伝えられたら、そういうことを楽しんでくれる若者たちというのも可能性はなくはない」
産地間のライバル心を越えて
その歴史ゆえに、県内には多くのお茶の産地があり、これまでしのぎを削ってきました。
このライバル心をどうやって乗り越えていくのか。ブランド構築への一番の壁です。

<佐藤総合プロデューサー>
「みんなで共有できる象徴的なものみたいなことを、どうつくっていくかってことが、すごい要素としては非常に重要」
求められるのは「新たな価値の創造」。静岡茶の存在感を取り戻すための挑戦は始まったばかりです。








































































