
「静岡茶」を世界に広めるためのプロジェクトで総合プロデューサーに就任した佐藤可士和さんが静岡県内の生産現場を視察しました。浮かび上がってきたのは「静岡茶」とは何か、という根本的な問題です。
6月18日午前、静岡県菊川市で製茶工場を視察したのは、クリエイティブディレクターの佐藤可士和さん。茶工場では生葉などを手に取り、加工されていく工程を見学、写真を撮るなどして丁寧に観察していました。
佐藤さんは、静岡茶を世界に売り出す新たなプロジェクトの総合プロデューサーです。
<佐藤可士和さん>
「僕がいいと思えなければ、その話はちょっと受けないんですよね」
佐藤さんはこれまで多くの人が知る企業のブランド構築を数多く手がけてきました。「ユニクロ」や「楽天」、「くら寿司」など私たちに身近な企業のロゴを考えたほか、企業のあり方そのものもプロデュースしてきました。
そんな佐藤さんに「静岡茶」のブランディングを手がけて貰おうと、静岡県が白羽の矢を立て、今回のプロジェクトが始動しました。
静岡のお茶の生産量は、2024年鹿児島に抜かれて2位に転落。若者のお茶離れなどから世帯ごとのリーフ茶の消費量は、年々、右肩下がりになるなど、茶業界を取り巻く環境は一段と厳しさを増しています。
<静岡県お茶振興課 佐田康稔課長>
「静岡茶というものを国外、海外区切りなく知ってもらうためにどうするかということで、そこに佐藤さんのこれまでの経験、知見をアドバイスしていただきながら作って行ければ」
いわば、静岡茶の存在感をグローバルに拡大するという壮大なプロジェクト。ただ、引き受けた佐藤さんには、気になることがあるようです。
<佐藤さん>
「静岡でお茶を作っているのは分かってるんですけど、静岡茶みたいなブランドの意識はなかった。産地は分かるがそれがブランドなのかと」
<茶農家>
「静岡茶って何かって言われて、答えられている人は少ないですよね」
静岡県内には複数の茶どころがあり、それぞれ特徴のあるお茶づくりを目指してきました。これまでは、生産量が日本一という肩書はあったものの、県内で生産されたということ以外に「静岡茶とは何か?」という共通認識があるようでないというのが1つの課題です。
<佐藤さん>
「コアとなる強みを整理して、皆さんに共有していく。強みの整理やそれを可視化する。それを静岡の皆さんに共有して一丸となってやって行く」
<社会部 寺坂元貴記者>
「一見同じように見えますが、各地の農家が築き上げてきた静岡茶。そのブランドをどう再構築するか、佐藤さんと県の手腕が問われます」