
本格的な雨のシーズンを前に、生活に欠かせない車を水害から守る取り組みが広がり始めています。静岡市は、民間企業と連携し水害時の車の避難場所となる駐車場の確保を進めています。
<望月秀美さん>
「雨の音で目が覚めまして、外を見たら、車のここまで水が溜まっていて」
静岡市清水区に住む望月秀美さんです。静岡県内に甚大な被害をもたらした2022年9月の台風15号。望月さんの自宅は浸水し3台の車が水没しました。
<望月秀美さん>
「もう、だめですね、もう見た瞬間にだめだって思って。この一帯の車は全部だめだったので、探してもないし、すぐ手に入るものじゃないので、3か月くらいかかったんですけど、その間、親戚の車を借りて行動するしかなくて
JAF(日本自動車連盟)の調査によりますと、2022年の台風15号では2000台を超える車が被災し、業界関係者の見立てでは、静岡県内の約3万台の車が水に浸かったとされます。
<マツダオートザム清水 浜崎秀之店長>
「ドア開けていただくと、フロアがあるんですけど、室内の方にも水が入ってしまったとなると、もうほぼその車については、エンジンかけるとか、その後に使うことは諦める必要が出てくる」
Q.どうして、その状況に?
「最近の車はこの床の上に、リチウムイオンバッテリーが搭載されていまして、ここが完全に水に浸かってしまうと、その後、継続的にお使いいただくことは、かなり危険が伴う」
静岡市清水区にある自動車販売店では、台風15号の後、被災した車の対応に追われたといいます。
<浜崎秀之店長>
「朝、お店を開けてからの電話はもうひっきりなしだった。もう車が浸かって動けない、車を引き上げてほしいというご依頼がほぼすべてでした」
こうした災害の教訓をもとに静岡市も動き出しています。
<静岡市 難波喬司市長>
「この協定によりまして、水害時に市民が車両を避難しやすい体制が一層整うことになります」
静岡市は水害時の車の避難場所として立体駐車場を使えるよう商業施設「マークイズ静岡」と協定を結びました。水害が予想される場合、マークイズ静岡の6階の駐車場の一部200台分が開放され、無料で車を停めることができます。
<三菱地所プロパティマネジメント 永井孝郎商業運営二部長>
「当施設は上層階に駐車場があり、災害、水害の時も被災する可能性は低いのではないか、地域の皆さんに幅広く広く使っていけいただけるのではないか」

静岡市内の民間企業の協力駐車場は10施設、2371台となり市の公共施設と合わせると3401台の駐車スペースを確保できました。
<静岡市危機管理課 野崎達也主査>
「災害時の施設利用について今後も募集を続けていく中で、1台でも市民の方が車両を避難させる選択肢が増えるような形でやっていきたい」
台風15号で3台の車が水没した望月さんは、大雨の前に車を市の協力駐車場などに避難させています。
<望月秀美さん>
「避難させるタイミングが難しくて、まだ大丈夫じゃないかと思えば考えてしまうし、そんなことしている間に近くの高台の駐車場は満車になってしまう(行政が)分かりやすい言葉でしっかり情報提供いただいたら、これからの雨の時も皆さん不安が軽減されるのではないか」
静岡市では、今後も水害時の避難場所になる駐車場を確保するため事業者との調整を進めていく方針です。