
災害が起きたとき、赤ちゃんや幼児など小さな子どもと一緒に避難生活を送るのはとても大変なことです。そこで避難所生活の課題を親子で一緒に考える宿泊訓練が5月17日、静岡市で行われました。
静岡市で行われたのは164人が参加した宿泊型の防災訓練。このうち15人は乳幼児です。
<参加した親>
「自分一人とこどもが1歳と年中と小学校1年生で参加。ほぼワンオペでどうなるのかと思って」
<静岡県立大学短期大学部社会福祉学科 江原勝幸准教授>
「自分の家族の防災の力を高めてほしい。実体験をしないと備えは進まないので」
1つ目のポイントは、食事です。
「お米が80グラムあるんですけどお水が1.5倍、80グラムに120cc」
ガスや電気が止まった場合を考えて、カセットコンロを使った「パッククッキング」を提案しました。ポリ袋に水を多めに入れると、乳幼児に合わせたやわらかいご飯を炊くことが出来ます。
「おいしいね」
<参加した親>
「こどもが温かい物が食べられるのはホっとできるし小さい子だと離乳食だったり、場合によては高齢者の方だったら柔らかいご飯がいいじゃないですか。すごいですよね、この方法」
さらに、避難所では子どもたちが性被害などの危険にあう恐れもあります。
<助産師 中川恭子さん>
「東日本大震災の時に行われた調査では報告された暴力のうち、性暴力は9件ありました。実際にはもっと起きていてもおかしくない現状」
助産師の中川恭子さんです。東日本大震災が起きた時、山形県に住んでいた中川さんは、被災地で子どものプライバシーが守られていないと感じたと話します。周りの目を気にせず、授乳やおむつ替えができるスペースの設置などを提案しました。
<中川さん>
「ママが被害者になることも防ぐのもあるし、おむつ替えをする子供が周りに見られたり、性被害にあうリスクも減らせると思う」
訓練が進むと、親たちからは活発に意見が出されました。子どもたちの世話で手いっぱいの中、避難所生活の流れに乗ることの難しさなど、新たな課題を見つけました。
<参加した親>
「ご飯を配ってるのにそのタイミングではそこに行けない。無理に連れて行こうとするとこどもはわーとなって、焦りとか不安とかが出てくる」
<参加した親>
「1人トイレに行きたい、1人遊んでる、性教育の話で誰かがやられてしまったら、守れないじゃん」
就寝時にも課題がありました。心配になったのは「音」だといいます。
<参加した親>
「自分たちが音とかを出してしまうと寝られなかったり周りも気になるので場所も考えなければ」
<助産師 中川恭子さん>
「避難所ってこういうイメージだったと災害があった時につながってくると実感に勝るものはないので参加した方はそういうところを感じてくれれば」
幼い子どもにとって厳しい避難所生活。準備し続ける大切さを訴えました。誰でも安心して避難できるよう、みんなで助け合える避難所作りを目指すことが必要です。
【子どもがいる家庭で日頃から備えたいポイント】
▼在宅避難の準備
・1週間分の備え(食事・水・トイレなど)
・カードゲームなど電気のいらない子どもの娯楽
▼近所の人との交流
・助け合える人脈作り