「何度も作ることでよりリアルな防災につながる」避難ルートが一目で分かる『逃げ地図』みんなで一緒に作って高める災害への意識【わたしの防災】

地震や洪水などが起きた場合に備えいち早く避難するルートを日頃から考えることが大切です。よりよい避難ルートをどのように決めたらよいか、色分けで一目でわかるようにする方法があります。

<ファシリテーター>
「今度は色鉛筆変えます。黄色になります。(歩き始めから)9分後に歩ける(到達できる)場所をお願いします」

6月、静岡県磐田市で避難経路を考えるワークショップが開かれました。取り組んだのは、その名も「逃げ地図」。安全な避難ルートを色塗りして表示することでより直感的に理解できるようにしたものです。

使うのは「白地図」「色鉛筆」「ひも」の3つ。避難場所までの道を、高齢者の歩く速度に合わせてひもで長さを測りながら、所要時間ごとに色を変えて塗っていきます。

<逃げ地図を推進している 損害保険ジャパン 福山愛さん>
「逃げ地図づくりは、ハザードマップなどの災害情報と照らし合わせながら、白い地図を準備してやっていくもので、後期高齢者の逃げる速度でどのくらいの時間がかかるのかっていうのが一発で分かるものになっている」

「これが農業高校で…幹線道路で…分かんねえな、この道。車で通るのになあ」

逃げ地図作りに取り組んだのは、磐田市にある自動車部品メーカーの社員たちです。2024年の春、浜松市から移転してきたばかりのため、地元の地理を詳しく理解し防災意識を高めようと開きました。色塗りをしたのは磐田市の市街地です。

建物が密集しているので巨大地震が起きた時には火災が心配です。社員たちは地元に詳しい市の職員からアドバイスを受けながら取り組みました。

<市の職員>
「木造家屋が密集している」

<ファシリテーター>
「じゃあ火事の時、ここがものすごく燃える可能性がある」

<市の職員>
「逆にここに(市民を)誘導させてもらえればありがたい」

<参加者>
「いやあ、火事になった時に上に避難して降りられない、外階段がなかったり、だからそれってどうなんでしょうっていう課題感は持っている」

約1時間かけて地図を完成させました。

<参加した社員>
「いま私たちがいる場所はここら辺。実際にこっちの場所に行くときには時間が掛かるよね、みたいな話が出て、もし自分たちが勤務していたときに災害が起こった時には、エヌワン・ラボ(この場所)自体の安全性を高めた方が良いんじゃないかみたいな話も出ました」

<参加した社員>
「頭の中では分かってるんですけれども、何かきっかけがないと、なかなか考える機会がないということで、すごく参加者自身が考える機会をいただいた」

<参加した社員(新入社員)>
「以前は自分が分かってないのにどうやって人に教えるんだろうっていう不安があったんですけど、今は割とどこに避難するかとか、どういう可能性がある、どういう危険があるっていうのは、ある程度理解しましたし、困った時に助け合える関係性ってすごく魅力的だなと思うので、地域の方とそういう面でもあの一緒に歩んでいきたいっていう気持ちはとても強くなった」

<福山さん>
「今回作成した地図を見て、実際はここが液状化しやすいから、本当にここに逃げていいのかな、みたいな気づきだったりとか。いろんな想定をしながら、何度も何度も作ることで、よりリアルな防災につながるのかなと思うので。何度も繰り返し同じ場所で実施していただけたら良いのかなという風に思う」

逃げ地図は、色塗りで避難ルートを分かりやすくするメリットに加え、みんなで話し合いながら取り組むことでいざという時にどうするかを考え、共有することにつながります。

この日は、外国人の社員も参加しました。言葉の壁を超えながら、老若男女楽しめるのも、逃げ地図づくりの特徴です。またこの企業は夏に地域住民も招待した上で、再度実施する予定です。

逃げ地図づくりが生まれたのは、東日本大震災がきっかけです。簡単なワークショップを通してリスクコミュニケーションを促進させることが目的で、その第一歩としての「逃げ地図づくり」です。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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