
6月3日は「測量の日」。今から76年前に現在の「測量法」が公布された日にあたります。高度な測量技術は、まちの災害リスクなどをまとめた「ハザードマップ」に生かされ、住民の防災意識を高めています。
<講師>
「田子地区の人、ちょっと来て」
地図を広げたのは、静岡県西伊豆町の中学2年生。大雨の災害を想定し、自宅周辺の白地図に学校や避難場所などを示すシールを貼りました。
静岡県が開いた図上訓練で、町が作ったハザードマップを参考にしました。ハザードマップには建物の形のほか、道路や河川の幅などが正確に記されています。
<生徒>
「小学校の頃もやったことがあるので3回目ぐらい。道の正確さとか、すごいなと思っています」
西伊豆町のハザードマップは、大手住宅地図メーカーの「ゼンリン」が手掛け、2022年3月に完成しました。
<西伊豆町教育委員会 山本諭さん>
「自分の家が本当に浸水域に入っているのかどうか、そういったものをはっきり目で見て、確認できるようなマップ、それを何とか提供したいという思いでおりました」
当時、町の防災課に所属していた山本さん。町が利用していたゼンリンの住宅地図サービスに、土砂災害警戒区域や洪水浸水想定区域などの情報を重ねてもらうことで、精密なハザードマップが出来たと話します。
<西伊豆町教育委員会 山本諭さん>
「自分の家がこの地図の中にあって、どこに避難すればいいんだというところも、細かさのおかげで分かりやすくなっている」
色あいや、色の濃さ、薄さを細かく調整し、建物の形がよく見えるように工夫しました。
場所によっては、土砂と洪水の2つのリスクが重なっているエリアもあります。
<ゼンリン岐阜営業所 松尾一郎所長>
「このあたりがかなり危険なエリアだといえるかと思います。ここに建物がいくつかあり、どの建物が危険かということが分かる」
川の勾配が変わる地点も示されていて、勾配が急な山側では「土石流」、緩やかな海側では「浸水被害」の危険性があるといいます。
建物一軒一軒の形まで正確に表示できるのは、調査員が現地を歩いているからで、自動車による計測や航空写真、衛星画像なども使って、地図の精度を高めています。
<ゼンリン(愛知県調査担当)石田一樹さん>
「住宅地図を作る調査以外にも、自治体が発行する広報誌でしたり、新聞、建設会社様のホームページ、もしくは直接取材するなどして、日々情報の収集を調査部門では努めております」
これから、どんな建物ができるのか、事前に取材もしています。
東海地方はまもなく梅雨入りし、本格的な大雨シーズンを迎えます。大雨が降る前にハザードマップを見て、身近な場所のリスクを確認しておくことが大切です。
<ゼンリン岐阜営業所 松尾一郎所長>
「避難所にはどういった経路で行ったらいいのか、自宅にはどういった危険があるのか、そういったことをあらかじめ確認いただいて、防災の意識を向上していただければ」
災害リスクは、自治体によって違いがあり、ハザードマップは、それぞれの特性を生かして作られています。自分のまちのリスクを知ることが大切です。