ウナギ養殖に下水処理の廃熱 浜松の運営会社が試み 温水かけ流し技術確立へ、CO2削減も

下水処理の廃熱を利用して養殖されるウナギ=14日、浜松市中央区の西遠浄化センター 浜松市から公共下水道終末処理場の運営を受託する浜松ウォーターシンフォニー(同市中央区、内野一尋社長)は14日、下水処理の廃熱を利用したウナギの養殖試験を始めたと発表した。浜名湖養魚漁協が協力し、温水をかけ流しで使う養殖技術の確立を目指す。2028年3月までに試験結果をまとめた後、事業として成り立つか検討する。
 同区の西遠浄化センターに700リットルの水槽を2基備え、汚泥の焼却で発生する廃熱で28度に温めた水を注ぎ続ける装置を設置した。投資額は約1千万円。出荷サイズに満たない約100グラムのウナギ計210匹を4月に投入した。3~4カ月で200グラムに育ててかば焼きに加工し、下水道事業や地域のイベントなどで無料提供を予定する。
 温水を再利用する循環方式と比べて水質管理がしやすく、ハウス養殖よりも狭い面積で育てられる利点があるという。
 同社によると、下水処理で再利用が進んでいない100度以下の廃熱を全て利用できれば、二酸化炭素(CO2)を年約3500トン削減できる可能性がある。中村匡志COO(最高執行責任者)は「下水道事業の新たな価値を創出したい」と強調。同漁協の徳増源登専務理事は「透明度の高い水の影響やウナギの成長に興味がある。一緒に勉強したい」と語った。
 市公共下水道終末処理場は官民連携の手法「コンセッション方式」を18年度から全国で初めて導入し、同社が運営する。市内から排水される下水の5割以上を処理している。

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