
廃線小路を訪ねる
語り:春風亭昇太

川根本町の千頭を出発する大井川鉄道井川線の終点、井川駅。井川ダムのほとりにあるこの井川駅の先に、かつては堂平(どうだいら)という駅がありました。廃線となった井川駅から堂平駅までの線路跡は、現在、遊歩道となっています。
堂平駅は、井川ダムの建設工事のためにつくられ、昭和29年から昭和46年まで、貨物駅として利用されました。昭和61年から平成7年にも、建設資材の荷下ろし場として使われました。廃線から18年を経て、平成25年、井川〜堂平間の線路跡を活用し、井川湖のほとりを散策できる遊歩道が整備されました。当時の線路がそのまま残されたこの遊歩道は「廃線小路」の別名を持ち、「廃線ウォーク」が出来る貴重なスポットになっています。
井川線のレール幅は、千頭までの大井川本線やJRと同じ1067ミリ。それは、木材輸送や資材輸送の貨車を本線と直通させるためだったといいます。
廃線小路にはトンネルも当時のまま残されています。トンネルに書かれた65の数字は、千頭駅から数えて65番目のトンネルだったことを表しています。
井川線の千頭-井川間の一部では、急勾配を上り下りするためにアプト式電気機関車が連結されます。機関車の床下に歯車があるアプト式鉄道は、スイスの登山鉄道などでよく見られますが、日本国内で運行しているのは、現在、この井川線だけです。紅葉の名所でもある井川。これから一番の見頃を迎えます。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。(毎週日曜日ひる12時54分放送)