小島藩と小島陣屋を訪ねる
語り:春風亭昇太
江戸時代、現在の静岡市清水区小島(おじま)地区にあたる小島村には、石高1万石の小さな藩、小島藩がありました。東海道から甲州への入りにあたるこのあたりは、江戸幕府にとって、戦略上重要な地点だったのです。
2代藩主・松平信治が宝永元年(1704年)、小島村に陣屋を構え、その後、小島藩は明治維新で廃藩になるまで10代にわたり、安倍、有度、庵原三郡に点在する30カ村を治め、駿河半紙と呼ばれた、和紙の生産などに力を入れました。陣屋とは、小島藩のように、城をもつことが許されなかった小大名が屋敷を置いた所を言います。
小島陣屋の跡地は、江戸時代中期の大名陣屋の構造を伝える貴重な遺構として平成18年に、国指定史跡に認定されました。明治に入り小島藩の建物の一部は、小学校の校舎として、利用されるようになりました。
昭和3年に小学校が移転し、その建物のほとんどが、取り壊されましたが、御殿の書院は移築され、現在、小島町文化財資料館になっています。
小島陣屋があった高台のすぐ下には、臨済宗の寺、龍津寺(りょうしんじ)があります。小島藩主の瀧脇松平氏は、江戸に菩提寺がありましたが、龍津寺を庇護し、中でも3代・昌信(しげのぶ)は、生前の意思によって、この龍津寺に眠っています。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。(毎週日曜日ひる12時54分放送)