
東海道に近く、甲州への入り口にあたる要所だった小島に、瀧脇松平氏を藩主とする、小島藩の陣屋がありました。城郭風の陣屋敷を小島の町が一望できる高台に構え、人の背丈よりもはるかに高い立派な高石垣を多用した小島陣屋は、城と呼んでも おかしくないほどの作りをしていました。
正門にあたる大手には、4mを超える見事な高石垣が、階段状にのびています。大手石垣の脇に、もう一つの入り口があり中に入ると クランク状に折れてから奥に進む、桝形と呼ばれる構造になっています。これは、侵入してくる敵の勢いを抑えるための工夫で、駿府城などの城郭の門に、よく見られるものです。藩主が暮らした御殿があった主郭にも、3.5m程ある高石垣が積まれています。一段下の石垣と比べると、明らかに石が大きく、大手の石垣とともに、より豪華な造りに仕上げられていることが わかります。敵の侵入に備えた桝形虎口や巧みに積まれた高石垣。ここには、小さな城郭とも呼べる作りを備えた、かつての小島陣屋の面影が遺されています。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。