華陽院を訪ねる
語り：春風亭昇太
静岡鉄道・新静岡駅近くの華陽院には、徳川家康の祖母、源応尼の墓があります。
竹千代と呼ばれた頃の家康が今川氏のもとに送られたとき、祖母、源応尼も竹千代とともに駿府に移り住みました。当時、このあたりに暮らしていた源応尼は、家族と離れて寂しい思いをする孫に深い愛情を注ぎました。今川義元が桶狭間で討ち死にし、家康は岡崎の家族のもとに戻ることができましたが、源応尼はその直前に駿府で亡くなりました。
天下人となったのち、大御所として駿府に戻った家康は、源応尼の50回忌法要のため、ゆかりのこの地に華陽院を建立しました。そして、少年時代に駿府でともに学んだ僧侶・文慶(ぶんけい)を探し出し、この寺の住職に迎えています。幼くして母と生き別れた家康にとって母親代わりだった祖母への深い想いがここに込められていたのでしょう。
源応尼の墓の隣には、4歳で亡くなった家康の娘・市姫（いちひめ）が眠っています。66才の時に生まれ、愛しんだ五女の死を家康は大変悲しみました。ここは、可愛がってくれた祖母と、愛しい娘が眠る、家康にとって特別な場所だったのです。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。（毎週日曜日ひる12時54分放送）
