幻の寺・建穂寺を訪ねる
語り:春風亭昇太
徳川家康が480石の領地を与えた、駿河屈指の大寺院、 建穂寺。学問好きの家康は、建穂寺などの僧たちを、駿府城に集め、お経の解釈を議論させていた、と言われています。明治3年の火災で焼失したこの寺は、「幻の寺」ともいわれ、現在、観音堂に残る仏像の数々に、かつての繁栄を偲ぶことが出来ます。
この不動明王立像は、鎌倉時代、13世紀後半の作とされています。ご本尊の千手観音は、年に一度の御開帳で公開されます。普段は閉じられている扉の前には、本尊を守るように別の千手観音が、安置されています。村人の尽力で火災の難を逃れ、現代に伝えられた仏像たちが居並ぶ姿は、奇跡にも思える光景です。
静岡浅間神社 廿日会祭の稚児舞は、もともと建穂寺の観音様に奉納されたものが、今川の時代から、浅間神社でも舞われるようになりました。建穂寺があった場所の一角には現在、建穂神社があります。かつて参道には、建穂寺ゆかりの僧たちが開いた小さなお寺や宿坊が連なり、桜並木は、「駿河屈指の桜の名所」であったと言われています。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。(毎週日曜日ひる12時54分放送)