
建穂寺観音堂を訪ねる
語り:春風亭昇太

飛鳥時代に創建されたとする 建穂寺は東大寺の建立に力を尽くした名僧・行基のもとで、栄えたと伝えられています。鎌倉時代には、久能寺と共に駿河の仏教文化の中心的な寺として栄えましたが明治3年の火災によってその姿は失われてしまいました。
しかし、火災の中、貴重な仏像の数々は信仰あつい村人たちによって運び出されました。昭和50年に地元町内会の寄付により建てられた観音堂には、難をのがれた仏像たちが、安置されています。江戸時代には、徳川家康から、駿河で随一の480石を与えられました。学問の寺として、「駿河の高野山」と称された、大寺院にふさわしい、およそ60体の仏像が残ります。
観音堂の正面には、金剛力士像。口を開けている阿形(あぎょう)と口を結んでいる吽形(うんぎょう)、対で「あうん」となるこの像は、3mを超える堂々たる姿です。また、この阿弥陀如来坐像は、「円空仏」で知られる 江戸時代初期の修行僧、円空の作であるとされています。
この小さなお堂の中には、平安時代後期から鎌倉時代、南北朝時代、室町、桃山、そして江戸時代の仏像たちが時代を超えてズラリと並び、幻の寺と言われるかつての建穂寺の姿を、偲ぶことができます。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。(毎週日曜日ひる12時54分放送)