
石橋は東洋経済新報社などを経て、47年に当時の衆院静岡2区から出馬し初当選。56年に首相に就いた。戦前、軍事力による領土拡大に反対し、旧来の領土で経済合理性を重視して発展を目指す「小日本主義」を唱えた。首相として「1千億円減税、1千億円施策」の積極経済を掲げたほか、冷戦構造を脱却する日中米ソ平和同盟を構想した。
石橋に注目が集まったのは昨年の臨時国会での所信表明演説だ。石破茂首相は「力を合わせるべきことについては相互に協力を惜しまず」との石橋内閣の施政方針を引用し、少数与党の国会で与野党の合意形成に努める考えを示した。その後の論戦でも石橋に言及。「経世済民という考え方を体現した人。大きな業績を上げた内閣だった」と評した。
2023年に始まった超党派の勉強会は、有識者を招いて定期的に開かれている。自民党の岩屋毅外相、立憲民主党の篠原孝衆院議員、国民民主党の古川元久代表代行が共同代表を務める。石破氏も首相就任前はたびたび出席した。
国会内で9日に開かれた勉強会では立正大の増田弘名誉教授(日本外交史)が講演で、政治家としての石橋の魅力について「孤立を恐れず、常に自分が正しいと信じる道を進んだ」と紹介した。古川氏は「貿易政策、経済政策における石橋湛山の考え方を時代が求めている。ぜひ政権運営にいかしてほしい」と語る。
勉強会には本県の議員4人も参加している。事務局長を務める立民の小山展弘衆院議員(静岡3区)は「参加議員それぞれの立場で、勉強会での学びを活動に生かしてほしい」と述べた。