
災害時に不足がちな車をスムーズに貸し出すための仕組みが、静岡県富士市に導入されました。自治体同士の連携で成り立つ仕組みで、担当者は静岡県内に「備え」の意識が広まることを期待しています。
5月8日、富士市が8人乗りのミニバンの引き渡しを受けました。5月に発足する「富士市スポーツコミッション」が使う公用車で、日本カーシェアリング協会から1年契約で借り受けました。
<東部総局 金原一隆記者>
「富士市が借りた車、災害が起きて公用車が足りなくなり、困っている自治体を助けに行きます」
<富士市産業交流部 岡利徳部長>
「通常時は安価に車が使用できて、で、いざ、全国で災害が発生した時にはこの車が被災地に送られて、そこで被災者支援に充てられるという仕組みになっている」
「災害時返却カーリース自治体プラン」という被災地の自治体を支援する新たな取り組みで、静岡県内では初めての導入です。
<日本カーシェアリング協会 石渡賢大広報・渉外部長>
「被災された自治体も同じように車がなくて困ってるということを、まざまざと目にしてきた。自治体の車は自治体同士でちゃんと助け合えるような仕組みを作る」
従来だと災害が発生してから車を募集するので、被災地に車が届くのは約1か月かかるといわれます。

新たなプランでは、契約自治体が借りている車を災害発生から10日以内に協会に返却する約束。そうすることで、届くまでの期間を数日から2週間以内に短縮することができるといいます。
自治体のメリットは『リース料金の安さ』。このミニバン、新品ではなく寄付された中古車で、月額1万9800円。この車の相場の4分の1ほどで格安。車検代や自動車税なども協会が負担するので、一般的なカーリースよりコストを抑えられます。
<石渡広報・渉外部長>
「この1台から始まったものが、静岡県内の35の自治体にどんどん広がることが実は各地で災害が起きた時の備えにつながると思う」