【浜松まつり】初子の成長願う「子ども練り」 静岡新聞の記者がラッパ隊体験 “見習い隊員”音出しに苦労

子どもラッパ隊に参加する静岡新聞社の記者(左から2人目)=4日午後、浜松市中央区 浜松まつりの練りや凧(たこ)揚げを元気良く盛り上げる子どもラッパ隊。浜松市中央区寺島町は3、4の両日、小学生らが町内を練り歩き、初子の健やかな成長を願う「子ども練り」を行った。静岡新聞社の記者も1カ月前から練習に参加し、まつりの華を担う行列に同行して一緒にラッパを鳴らした。
 「喇叭隊(らっぱたい)」のたすきを身につけた法被姿の小学生16人が公会堂に集まった。1月から本格練習に励んできた。本番を前にはしゃいでいる様子だったが、楽器を構えると表情が変わって引き締まった面持ちに。初子の家を目指し、堂々とした様子で歩き始めた。
 約1キロの道のり、旧日本陸軍の「駈歩(かけあし)行進」が元になったとされる行進曲や、勇壮なファンファーレで町民の行列を威勢良く先導した。曲には参加町ごとにリズムやかけ声に独自のアレンジが組み込まれ、長年吹き継がれてきた。寺島町の子どもラッパ隊は管を3回巻いている「三連ラッパ」を吹き鳴らし、太く力強い練りを演出した。
 まつりの信号ラッパは、息の早さや唇の振動を微調整して音を変化させるため、音を出すことも一苦労だった。練りの間に口の形が崩れ、空気が漏れて音にならない場面も。そこで、「ろうそくの火を吹き消すように」と息の吐き方について指導されたことを思い出す。緩んだ口元を締め直して大きく息を吸い“見習い隊員”の意地を振り絞った。
 初子宅に到着すると、新たに生まれた「町の宝」とその家族が待ちわびた様子で出迎えた。隊員と町民の高らかな万歳三唱が響き渡り、次代の担い手は、うれしそうにその光景を見つめていた。「ラッパ隊の音色は昔とぜんぜん変わらない」。初子の父親の蓑尚優さん(28)は、自らも隊員だった幼き日を振り返る。脈々と伝えられてきたラッパの音色が、寺島の魂も継承しているように思えた。

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