
春山さんは1991年、航空自衛隊に入隊。2014~17年の3年間、ブルーインパルスの隊員として活躍し、編隊の先頭を飛行する1番機を務めた。マッハ約0・9(時速約1040キロ)を出す機体を操り、全国各地の空に白線の軌跡を描いた。任期を終えた後は県内外の基地で教官などを務めた。
50代を迎えると「納得できる人生を歩みたい」と思い、起業を考えた。思い切った選択だったが、妻に「辞めるわ」と言うと「もういいんじゃない?」と快く背中を押してくれた。
定年まで6年残して昨年3月末に退職した。鹿児島県の義母が手がけるポン菓子の製造を学び、開店準備を進めた。店舗は知人を介して見つけた。天竜川に近い国道152号沿いの自然に囲まれた地域の店で、のどかな雰囲気が気に入っている。
ぽんやを訪れた広島県の主婦秦由紀さん(61)は春山さんのファン。秦さんは「パイロットとして活躍していた頃の姿もかっこいいけれど、店で切り盛りしている姿もかっこいい」と話した。
「ブルーインパルスに乗っていた時と今の仕事はつながっている」と春山さん。多くの人たちに夢や希望を伝えようと機体を操った時の思いは、目の前の人を喜ばせたい現在の仕事と似ている。「自分の仕事で誰かの笑顔を見るのが好きなんです」と笑う。
今後は会社と工場の設立が目標だ。「生涯現役でチャレンジしていきたい」と新たな目標への“フライト”は始まったばかりだ。
ぽんやは土日と祝日の営業(時間は午前10時~午後4時)。