廃止措置中の浜岡原発2号機 原子炉解体現場を公開 圧力容器の上ぶた、慎重に切断

大型バンドソーで分割作業が進む原子炉圧力容器の上ぶた部分=22日午前、御前崎市佐倉の浜岡原発 中部電力は22日、廃止措置中の浜岡原発2号機(御前崎市佐倉)で、商業炉としては国内初となる原子炉領域の解体現場を報道陣に公開した。全4段階の工程のうち第3段階にあたる原子炉領域の解体工程は3月に始まっていて、作業はこれから本格化する。国内では東京電力福島第1原発を除く18基の廃止決定が行われ、〝大量廃炉時代〟を迎える中で、浜岡の廃炉作業はモデルケースになるとみられる。
 「1日あたり5~6時間、安全に配慮して作業している」。こう話すのは、廃止措置工事課の担当者。2号機原子炉建屋では原子炉圧力容器の上ぶたが外され、放射線防護服を着た作業員が切断装置を操作していた。切断できる速度は1分でわずか1ミリ。装置は大型バンドソーと呼ばれ、帯状ののこぎりがゆっくり回転しながら金属製の設備を細断していく。
 原子炉領域は〝原発の心臓部〟に該当する。核燃料が入っていた圧力容器そのものを撤去するため、作業時の被ばく防止など安全管理の徹底が求められているという。
 建屋内には至る所に、設備解体で出た解体撤去物が放射能汚染レベルごとに整然と並ぶ。廃止措置では1、2号機合わせて解体撤去物が約45万トン発生する見込みで、このうち2万トンは最終処分地が決まっていない低レベル放射性廃棄物だ。堀正義廃止措置専門部長は「処分地が決まるまでは1、2号機の建屋の中で厳重に管理しながら解体するしかない」と話す。
 浜岡原発の廃止措置は2009年度から始まったが、これからが難関。1号機も、年内に原子炉圧力容器の解体撤去に着手する見込みという。堀専門部長は「建設から廃炉までの原子炉サイクルをしっかり確立することがわれわれの使命」と話した。

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