
「1日あたり5~6時間、安全に配慮して作業している」。こう話すのは、廃止措置工事課の担当者。2号機原子炉建屋では原子炉圧力容器の上ぶたが外され、放射線防護服を着た作業員が切断装置を操作していた。切断できる速度は1分でわずか1ミリ。装置は大型バンドソーと呼ばれ、帯状ののこぎりがゆっくり回転しながら金属製の設備を細断していく。
原子炉領域は〝原発の心臓部〟に該当する。核燃料が入っていた圧力容器そのものを撤去するため、作業時の被ばく防止など安全管理の徹底が求められているという。
建屋内には至る所に、設備解体で出た解体撤去物が放射能汚染レベルごとに整然と並ぶ。廃止措置では1、2号機合わせて解体撤去物が約45万トン発生する見込みで、このうち2万トンは最終処分地が決まっていない低レベル放射性廃棄物だ。堀正義廃止措置専門部長は「処分地が決まるまでは1、2号機の建屋の中で厳重に管理しながら解体するしかない」と話す。
浜岡原発の廃止措置は2009年度から始まったが、これからが難関。1号機も、年内に原子炉圧力容器の解体撤去に着手する見込みという。堀専門部長は「建設から廃炉までの原子炉サイクルをしっかり確立することがわれわれの使命」と話した。