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意外と知らない火災保険のチェックポイント!水災も補償対象?

近年増えている水害……対象になる保険は?

熱海の土砂災害で、水害の恐ろしさを再認識したという方も多いと思います。命を守ることを最優先にしつつも、水害により建物や車が被害を受けてしまった時に頼りになるのが保険です。All About「家計簿・家計管理」 ガイドもつとめる、二宮清子さんに、「水害と火災保険・自動車保険」について教えていただきました。
※8月10日にSBSラジオ、IPPOで放送したものを編集しています。
火災保険
牧野アナ:
台風シーズンで、今後も大雨による水害には十分注意しなければいけない時期ですが、それでも被害にあってしまった場合、保険に入っていたことで経済的に救われるということはありそうですよね?

二宮さん:この数年、台風以外にもゲリラ豪雨(集中豪雨)による大規模な被害が起きています。先日も熱海の土砂崩れによって、多くの被害が出ました。このような土砂災害で自宅に被害が出た場合、火災保険でカバーするのが一般的ですが、「水災」の補償がついている火災保険であることが補償対象の条件ということをご存知でしょうか? まずは自分の火災保険の補償内容に「水災」が入っているかを確認しましょう。
 
実はお住まいがマンションの3階以上という場合、「水災」を外して契約しているケースが多いです。一戸建ての場合でも、高台だから、近くに川がないからと「水災」を外す方もいます。
 
牧野アナ:水害は、水災をつけていれば火災保険がカバーしてくれるんですね。保険に入っていれば、全額が補償されるのか……実際にはどのくらい補償されるものなんですか?
 
二宮さん:基本的には被害が出た分だけ補償するというものなので、自宅の修理に500万円かかれば500万円支払う「実損払い」という契約がほとんどです。
 
一方で3万円・5万円といった自己負担額(免責)を付けている方が多いと思います。5万円の自己負担額を付けていたら、500万円の修理費でも5万円を引いた495万円しか出ません。
 
他にも古い保険の場合、保険金の支払いを修理費用の◯◯%までといった定率払いにしているケースもあります。例えば70%で設定している場合、修理費が500万円かかっても70%の350万円までしか支払われないというのが定率払いです。保険金の支払い方がどのようになっているのか、改めて確認しておくといいですね。
 
牧野アナ:他にも火災保険での確認ポイントはありますか?
 
二宮さん:他には、建物と家財道具、両方に対して火災保険をかけているかも確認してみてください。よく見かけるのは、建物にだけかけていて、家財道具には火災保険をかけていないケースです。
 
台風や集中豪雨などで床上浸水した時は、家財道具の多くに被害が出ます。電化製品や家財道具の多くが1階部分にあるというご家庭は、多くの物を揃え直さなくてはいけません。家財道具に対しても火災保険をかけているか、もう一度確認しましょう。
 
牧野アナ:「家財」に含まれるものはどんなものですか?
 
二宮さん:「家財」とは、住宅の中にある、動産(動かせるもの)を指すので、テレビ、タンス、食器、冷蔵庫、洋服などがあたります。逆に含まれないものは建物に取付されており、動かすことができないものです。たとえば、システムキッチン、バス、トイレ、エアコン、床暖房、エコキュート、などは家財ではなく、建物に含まれます。 

車を水害から守ってくれる保険は

牧野アナ:あと、水害では外に置いてある車も水没などで被害を受けることもありますよね?
 
二宮さん:近年、集中豪雨が多くて毎年大きな被害が出ていますね。実は我が家でも、以前たまたま車を修理に出している時に豪雨があり、預け先のディーラーで車が水没被害にあったことがありました。
 
牧野アナ:そんな時のために、何かアドバイスはありますか?
 
二宮さん:水害に遭って、改めて自動車保険に特約を付けていて良かった~というのがいくつかあったので紹介したいと思います。
 
まずは車が水害などで水没した場合、「車両保険」に入っていないと補償されません。車両保険に入っていたら、損害による修理費用が支払われたり、全損扱いになれば車両保険金額が支払われます。
 
水害の場合は、エンジンや電気系にダメージが及んだ時に、修理不可能となり全損扱いとなることが多いようです。そうなると車両保険金額が支払われますが、この時に新しい車であれば「車両新価特約」が付いているかどうかがポイントになってくるんです。
 
我が家の場合、新車購入から3年も経っていない時に水害で全損事故に遭ったので、もう一度同じような車が欲しいと思いました。しかし、300万円で買った新車も年数と共に車の価値は減るので180万円位しか自動車保険から保険金を受け取れません。いわゆる時価ですよね。
 
牧野アナ:でも300万円で買った車が水没したら、また同じクラスの車に乗りたい。ですから300万円補償してもらいたいですよね?
 
二宮さん:そんな時にとても役に立ったのが「車両新価特約」でした。300万円の新車を買った場合、自動車保険を契約する時に300万円の車両新価特約で付けることで、時価が180万円に減っていても、300万円を上限とした車の購入費用が補償されます。「車両新価特約」は新車時(初度登録年月日)から、約5年以内の車が加入できるのが一般的です。我が家もまだ買って3年経っていなかったので、この車両新価特約を使ってすぐに新しい車を買うことができ助かりました。
 
その時に、もう一つ、自動車保険に付けていて良かったと思った特約が「レンタカー特約」です。レンタカー特約とは、車の修理期間中にレンタカーを借りることができる特約のことです。車が事故や故障で走行不能になった場合や、修理期間中、使用30日又は15日を限度にレンタカーを使用できるという内容になります。レンタカー特約を利用するにあたりレンタカーの金額は1日5,000円や7,000円といった上限はありますが、使った日数分の補償金額がおりるようになっています。
 
牧野アナ:でもディーラーに修理に出せば代車を貸してくれるから、わざわざ「レンタカー特約」をつけなくてもいいんじゃないですか?
 
二宮さん:災害時は町全体が被害に遭うので、ディーラーや修理工場の代車だけでは圧倒的に台数が足りません。代車がない、となると日々の生活はどうなるのか? 明日からの仕事とは?と、すごく困ることになるので、日々の生活に車が必要な人ほど、レンタカー特約は大事だなと思いました。
 
牧野アナ:このように自分の入っている自動車保険が水害の時に役に立つのかどうかをあらためて見直すことも大事ですね。私も実は車が水没したことがありまして。3カ月くらい経ってから不具合がいっぱい出るようになったんですよ。時間が経ってから不具合が出た時の対応はありますか?
 
二宮さん:こちらも車両保険がついているかがポイントです。エンジンまで水に浸かったな、というときは直後に修理工場に見てもらう、保険会社に伝えておくことが大事。時間が経ってしまうと、水害が原因であるかどうかの認定が難しくなってしまいます。
 
牧野アナ:二宮さんの話を早く聞きたかった……。もしも水没したら、写真に撮っておくのも有効ですか?
 
二宮さん:証拠になるので、全体と詳細を全部写真にとっておくことが大事です。
 
牧野アナ:もしものときは、ぜひみなさんも記録しておいてください。それがその後の自分への助けになります。
 
今回、お話をうかがったのは……二宮 清子 (にのみや きよこ) さん
ファイナンシャルプランナーの資格を持つ2児の母。オールアバウト「家計簿・家計管理」マネーガイドをつとめ、身近なお金や家計について情報を発信中。
 

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