「成瀬は天下を取りにいく」聖地巡礼スタンプラリーに記者が挑戦!その成果はいかに?(びわ湖大津観光協会主催編)

富士市出身の宮島未奈さんが書いた「成瀬は天下を取りにいく」、続編の「成瀬は信じた道をいく」のスタンプラリーは滋賀県主催だけではない。

7月27日に始まったびわ湖大津観光協会の企画は、A4判4ページの琵琶湖周辺マップに10カ所のスタンプを押印する。デジタルスタンプではなく、いわゆる「ハンコ」を集めるスタイルだ。
主人公の成瀬あかりが「びわ湖大津観光大使」を務めたエピソードにからめ、大津市内の寺社や名所を巡る。作品の内容とはリンクしていない場所も多い。スタンプ設置場所は全10カ所。各地を巡った。
(文・写真=論説委員・橋爪充)

天台宗総本山延暦寺を歩く

天台宗総本山の延暦寺を「成瀬きっかけ」で初めて訪れた。国宝の根本中堂(こんぽんちゅうどう)を2016年から改修中。本堂屋根のふき替えや塗装彩色の修理などを天候に左右されず行うため、堂全体を覆うように別の建物を仕立てて作業を進めていた。

スタンプ設置場所は無料休憩所「一隅(いちぐう)を照らす会館」内にある。駐車場からアップダウンの道のりを10分ほど歩く。汗をかきながら、やっとたどり着いた。

天台寺門宗総本山園城寺(三井寺)にもスタンプが。かなり奥まった場所に設置されていた

大津市の歴史と文化を学ぶ

大津市歴史博物館は、有料ゾーンにスタンプ台を置いている。スタンプラリーを迅速に進めるためにそのまま別の場所に急いでもいいのだが、せっかくの機会なので館内の展示を鑑賞。

水運・漁業で栄えた堅田地区、 門前町として発展した比叡山とその麓、港町・宿場町として繁栄した「大津百町」など、各エリアごとの歴史と特色が分かりやすく説明されている。ジオラマが多用されているのも特徴だ。陸運と海運が交わる、かつての大津のにぎわいがはっきりイメージできた。

大津祭曳山展示館は、国指定重要無形民俗文化財の「大津祭」をさまざまな角度から紹介する施設。原寸大の曳山模型の足元にスタンプ台が設置されていた。

延暦寺僧侶の隠居所だった「旧竹林邸」。情感あふれる庭園が見事

 

遊覧船「ミシガン」で琵琶湖クルーズ

大津港から出る遊覧船「ミシガン」は、シリーズ2作にたびたび登場する重要スポット。「レッツゴーミシガン」というタイトルの1編もある。単行本を持参し、窓口で提示すると成瀬の名言カードがもらえる。2冊持って行き、カードを2枚もらったが、同じ内容だった。ほかにどんな「名言」がカードになっているのか、気になる。

出港合図としてドラが3回打ち鳴らされる。スタンプ台はドラが据えられた船内ステージの脇にあった。真夏日が続いていたが、デッキの日陰は湖上を吹く風が流れ込み、意外に涼しい。近江富士や比叡山を湖越しに眺めた。

遊覧船ミシガンは船体後部のパドルだけで推進。その動きと水しぶきに思わず見入ってしまう

石山寺で大河ドラマ館も楽しむ

NHK大河ドラマ「光る君へ」にも登場する石山寺は、同時期に開催されるさまざまなスタンプラリーの拠点でもある。「成瀬」だけでなく、JR西日本主催の「めぐり逢ひて、紫式部 其の弐」デジタルスタンプラリーや「源氏物語と大津スタンプラリー」も押印。

大河ドラマ館は撮影時の衣装や出演者のサインを展示。隣のスペースで展開する「源氏物語 恋するもののあはれ展」が素晴らしい。「源氏物語」の恋物語を現代的な解釈でイラスト化していて、「人を想い、人に恋い焦がれる」心はいつの時代も不変、というメッセージが伝わってくる。

コンプリートならず

今回は日、月曜の2日間をスタンプラリーに費やした。だが、2日目に訪れる予定を組んでいた義仲寺は「月曜休」だと、1日目夜に気づいた。不覚。スタンプ3個の賞品の缶バッジは得たが、9カ所の押印にとどまった。

スタンプ台紙を郵送すると、押印数に応じて抽選で豪華賞品が当たる。主なものを列挙すると、スタンプ10個で「ミシガンロイヤルルーム貸し切り乗船」、スタンプ6個で「ハンバーグステーキ松喜屋ペア食事券」。どちらも「成瀬」ファン垂ぜんの賞品である。大津市再訪のきっかけになるのも心憎い。

スタンプラリーは10月31日まで実施され、応募締め切りは11月10日だ。コンプリートを目指し、もう1回大津を訪れようか。

京阪電鉄協力の本企画。京阪電車石山坂本線ではラッピング電車も運行

京阪電車石山坂本線の各駅には、スタンプラリーのポスターを掲出


<DATA>
■びわ湖大津観光協会
電話番号:077-528-2772

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静岡新聞の論説委員が、静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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