【「成瀬は天下を取りにいく」スタンプラリー】大津市で二つの企画が同時期に開催。ゆかりの場所を巡ろう
滋賀県とびわ湖大津観光協会が主催
(山田)滋賀県の大津市を歩き回ったんですか。(橋爪)はい。2泊3日で、「成瀬」シリーズのスタンプラリーに挑戦しました。
(山田)へええ。
(橋爪)あらためて「成瀬」について説明しておきますね。2023年春に出た「成瀬は天下を取りにいく」。この作品はその年の12月に「第11回静岡書店大賞」に選ばれ、そして2024年4月に「2024年本屋大賞」に輝きました。続編の「成瀬は信じた道をいく」を合わせた2冊の販売累計は80万部を突破です。かなりの大ベストセラーと言ってもいいでしょう。
(山田)宮島さん、デビュー作ですよね。それでこれだけヒット。
(橋爪)大津市ではこの作品をテーマにしたスタンプラリーが今、二つ同時に行われているんです。滋賀県主催は4月からずっとやっていて、それとは別にびわ湖大津観光協会主催が7月23日にスタートしています。スタンプラリー花盛りの昨今ですが、小説というコンテンツを基にしたものが同じ時期に同じエリアで二つスタンプラリーを実施するのは非常に珍しいと思います。
(山田)「成瀬」ブームにがっつり乗っかっていこうというわけですね。
(橋爪)滋賀県主催は当初6月末までの開催でしたが、会期延長の声が全国から届き、来春までに伸ばしました。全13ポイントにあるQRコードを読み取って集める、デジタルスタンプラリー形式です。県に聞いたら、8月中旬段階で4千人以上がチャレンジしているそうです。
(山田)暑い中、皆さん歩き回られたわけですね。
(橋爪)そうですね。私はお盆期間中に行ったんですが、気温が35度を超えていました。かなり消耗しましたね。スタンプラリーそのものの話の前に「成瀬」シリーズの概要をおさらいしておきましょうか。
(山田)そうですね。
小説に出てくる店を巡って
(橋爪)このシリーズは、大津市に住んでいて、抜きんでた発想力、行動力を持つ成瀬あかりと周辺の人々を描く、ちょっとコミカルなヒューマンストーリーです。成瀬さんは行動が突拍子もないので友達が少ないんですが、めちゃくちゃ頭が良くて、作品の中では県内屈指の進学校「膳所高校」から京都大に進みます。相棒の島崎みゆきさんと「ゼゼカラ」という漫才コンビを組んで活動しています。(山田)M-1にも出てましたね。島崎さん目線で話が進むんですよね。
(橋爪)そうそう。凡人を自覚する島崎さんの目線で、かなり変わったキャラクターの成瀬さんを眺めるのが、この作品の妙です。
(山田)それが愛くるしい。
(橋爪)そうですね。いきなり坊主にしてきたりね。この小説、一部名称はいじっているんですが、大津市に実在する店や名所旧跡が頻出します。滋賀県のスタンプラリーは、小説に出てくる「あの場所」「この場所」をいろいろ訪ね歩く、というスタイルのものです。全部で13カ所。
例えば、成瀬さんと島崎さんの自宅マンションの最寄り駅JR膳所駅。実際に行くと、駅のコンコースには成瀬さんと島崎さんを描いた巨大な〝壁画〟があります。漫才コンビ「ゼゼカラ」の決まり文句「膳所から世界へ!」というのをもじった「世界から膳所へ!」とあって、成瀬さんと島崎さんの絵が描かれているんです。
(山田)逆パターンですね。
(橋爪)駅を出て琵琶湖の方に向かうと、こじんまりとした商店街の中にいくつかスタンプポイントがあります。商店街の名前、「ときめき坂」っていうんですね。坂の途中の広告スペース成瀬さんの大きな看板。地元に愛されているなという印象ですね。成瀬さん行きつけの美容院の「美容プラージュ膳所店」や島崎さんのお気に入りのパン屋「よりみちぱん」などもスタンプポイントになっています。
(山田)一番気になるのが、西武大津店跡地。シリーズの第1話に出てくるんですよね。
(橋爪)「ありがとう西武大津店」に出てくる西武大津店跡地ですよね。今は15階建ての壮麗なマンションになっています。きょう、入居者募集のチラシを持ってきました。最多販売価格は4000万円台。「シエリアシティ大津におの浜」、全708邸の分譲マンションです。膳所駅まで徒歩7分。京都駅まで3駅12分。
(山田)成瀬ファンの方、いかがでしょうというところですね。
(橋爪)今契約すると、宮島未奈さんのサイン本がプレゼントされるそうです。
(山田)すごいな宮島さん。大津市に君臨していますね。
「フレンドマート」に読者の声多数
(橋爪)ここから徒歩3分のところにあるのが、成瀬さんがアルバイトしているという設定の「フレンドマート大津テラス店」。成瀬さんの店舗制服姿の等身大パネルが飾られていて、実際の店の制服、エプロンを借りて写真撮影もできます。(山田)成瀬になれるんですね。
(橋爪)ここにはファンの声を集めた「読者様のお声」のパネルがあって。過去10日分ぐらいを掲出しています。全国から来ていて120枚ぐらいありました。沼津市や富士市からいらした方もメッセージを残していました。このスタンプラリー、コンプリートすると特製のしおりが1枚もらえます。
(山田)しおり1枚…。もうちょっと何かもらえても良かったんじゃないですか。
(橋爪)続いて観光協会主催のスタンプラリーです。こちらは紙の台紙にハンコを押すスタイル。京阪電鉄が全面協力しているので、スタンプ台紙が駅のラックや観光施設などあちこちに置いてあります。駅構内には必ずポスターが貼ってあるので、小説を読んでいない方も成瀬の顔はおなじみになったはずです。
(山田)こちらの企画のポイントは?
(橋爪)必ずしも物語とリンクしていないことですね。成瀬さんが「びわ湖観光大使」だったというエピソードから、大津市内の有名な寺社などを10カ所を巡る仕立てになっています。
例えば天台宗総本山比叡山延暦寺、 天台寺門宗総本山園城寺、三井寺ですね。小倉百人一首かるたの聖地・近江勧学館や石山寺もポイント地点です。
(山田)滋賀県の名所を回れということですね。うまいなあ。
(橋爪)うまいと言えばこれ、拝観料を払わないとスタンプが押せないんです。ちゃんとお金が落ちる形になっている。琵琶湖の遊覧船ミシガンもポイントになっていて、スタンプ台は船の中にあります。スタンプがほしいので、1時間のクルーズに参加しました。大人2400円。
(山田)満喫してきましたね。
(橋爪)でも結局コンプリートはできませんでした。2日目に訪れる予定を組んでいた義仲寺が「月曜休」だったんです。
(山田)あ、本当だ。全部押してあるのに1個だけ押していない。
(橋爪)ただ、スタンプ3個の賞品の缶バッジはもらえました。スタンプ台紙を郵送すると、押印数に応じて抽選で豪華賞品が当たるんです。主なものを列挙すると、スタンプ10個で「ミシガンロイヤルルーム貸し切り乗船」、スタンプ6個で「ハンバーグステーキ松喜屋ペア食事券」。高級肉屋さんですね。ファン垂ぜんの賞品がそろっていますね。
(山田)聖地巡礼っていいですよね。アニメや小説に関して、自分の思い描いていた街をリアルに見られる。僕、主人公たちがここで生活していたんじゃないかって想像するのが好きなんです。
(橋爪)そうですね。今回のスタンプラリーも、どこか街角で成瀬さんや島崎さんとすれ違うんじゃないか、という気持ちになりました。
(山田)放送を参考にして、大津へスタンプラリーに出かけてみてはいかがでしょうか。今日の勉強はこれでおしまい!
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